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我ら非リア充昆虫隊!  作者: 玉本綜
第一章「人間達の思い」
5/38

最後の同志登場!&喧嘩

「とっ、とにかく……なんでおまえがここにいんだよ?」

 お漏らしなんて嘘に決まっているのだが、なんとなく恥ずかしくなってしまった。

 オレは話題を変えようと、モースに疑問を振る。

「えっ? なんでオレっちがここにいるかってぇ? う~ん……運命に導かれたかな?」

「無駄にかっこいいこと言ってんじゃねぇ!」

 完全にかっこつけの笑みを浮かべながら得意げにそう言ったモースを、オレは手加減なしにぶん殴ってやった。

 モースは「いてぇ!」と短く悲鳴をあげ、

「やってくれんじゃん。オレっちがバカになったら、どう責任とってくれんスかぁ~?」

 涙目になりながら、それでも強気になって言った。

「はぁ? おまえは元から馬鹿だろ。今さら『馬鹿になる』とか言われてもなぁ……」

「んだぁ? オイオイ、今のはさすがに言い過ぎぃ~。ちょっと、謝ってくれませんかねぇ~?」

「おまえに謝るために口から排出される二酸化炭素が、もったいないだろ?」

「こしゃくなぁ~……!」

 とうとうオレとモースは、お互いに睨み合うほどの喧嘩を始めてしまった。そのかたわらではアントが、

「だっ、ダメだよ、ケンカなんて……」

 実に弱々しい声で、喧嘩の仲裁をしてくれようとしていた。しかし、アントなんかに止められるような雰囲気でもなく、

「おまえ蛾のくせに、蜂であるオレに逆らうんじゃねぇ!」

「は? ま~た見た目で虫を判断しちゃうの?」

 ついにオレ達は、相手の胸ぐらを掴んでの至近距離での睨み合いを始めてしまった。

 まさに一触即発の空気の中――、


「てめぇら、喧嘩してんじゃねぇ!」


 その場に、野太い怒鳴り声が響いた。

 部外者であるアントがなぜか体をこわばらせ、さすがのオレも喧嘩を中断し、声の主に視線を送る。

「まーたおまえらか……ちっとは成長したらどうだ?」

「フライル……」

 声の主は、アント、モースに次ぐオレの同志、フライルだった。

 フライルはハエである。非常にうるさい羽音をたてながら、上空からオレ達を見下ろしていた。

「フライルさん、こんにちは」

「おう、アント」

 アントの挨拶に、フライルは手をあげながら挨拶をかえす。そして、オレとモースの近くまで高度を下げてきた。

「ちすちすち~っす! フライル元気ぃ?」

「元気だ。……それよりモース、もう喧嘩をふっかけるのはやめろ」

 注意されたモースは、ちっちっちっと指を軽く振り、

「ふっかけてきたのは、ビィの方っスよ。オレっちはなぁんにも言ってねぇしぃ~」

 超ドヤ顔で、真っ赤な嘘をついてきた。にゃろお……この嘘つきめ……!

「本当か、ビィ」

 今すぐにでも怒鳴りたいのを我慢して、オレは極めて冷静な口調で、本当のことを話した。

「いや、ソイツの言ってることは、嘘だぜ。元はといえば、モースが変なこと言ってきたから喧嘩になったんだよ」

「変なこと? あぁ、お漏らしか。だってそう見えたんだも~んっ」

「そう見えたからって、何でもかんでも口にしていいってわけじゃねぇだろ?」

 オレは若干口調を荒げる。

「え? ダチなんだから、別にいいっしょ?」

「親しき仲にも礼儀ありだ、バ――――――カ!」

「ちょっと、ビィくん……」

 アントになだめられ、オレははっと我に返る。つい、また挑発的な台詞を口にしてしまったらしい。

 しっかし……ムカつくなぁ、このモースって奴は。

 ムカつくぜ。ムカつくんだけど……でもやっぱり、オレ達は友達なんだな。少なくとも、オレはそう思っている。

 きっとモースも、そう思っているのだろう。

キャラクター紹介 3


《フライル》

分類:ハエ  一人称:俺

名前の由来:ハエの英語(フライ)から

ビィの仲間で同志。

落ち着いた男らしい性格で、些細なことでは騒いだりしない。

ただし、本気で怒らせた時にはプロレス技のようなものをしかけてくるので、注意が必要。

他の虫のことは、基本は呼び捨てにしている。

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