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我ら非リア充昆虫隊!  作者: 玉本綜
第一章「人間達の思い」
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初夏の花見&突然の遭遇

「きれいだな……」

 時間にして昼ちょっと前。オレ達は花を見に、とある河原の近くに来ていた。

 オレの第一声は、素直な感想だった。

「でしょう? 私、この場所が大好きなんです」

 バターちゃんも上空から、一面に広がる色とりどりの花を眺めながら、うっとりとした声色で言う。

 河原から坂になった道を上って来ると、この場所に来ることができる。多くの河原が、このような造りになっているだろう。

 そしてここは、理由は分からないのだがたくさんの花が植えられ、歩道の脇を彩っていた。

 種類にして、ガザニア、アジサイ、カーネーション、キンセンカなど……初夏に咲く花たちが、晴れた空の下で見事に開花していた。

「バターちゃんが好みそうな場所だな」

「そうですね、私、蝶ですもんね」

 本能的に、こういう場所を好くもんなのだろう。むろんオレも、花は嫌いじゃない。ただ、オレはミツバチじゃねぇからな……花に何するってわけでもないのだ。

 しばらくの間何も喋らずに、オレとバターちゃんは黙って花を眺めていた。

 愛しの女の子と二人で、こうやって花を眺める……なんて幸せなんだ。やっぱりオレ、非リア充昆虫隊を卒業しようかなぁ……。

 またまた危ない考えが、オレの脳裏をよぎる。と、その時だった。

「……?」

 ふいに、横から視線を感じた。横からといっても、オレの隣にはバターちゃんしかいないはず。と、いうことは……。

「どうしたんだ?」

「っ! あっ、いえ……」

 オレに視線を寄こしていたのはやはりバターちゃんだったようで、オレの問いかけに彼女はびくっと肩を震わせた。

「ご、ごめんなさい……他の虫からの視線、気になりますよね……」

 バターちゃんは申し訳なさそうに謝罪してきたが、オレは特に気にしてなかったので、

「別に? なんか用あるんだったら、言ってくれよ」

 そっけなく、そう答えておいた。その言葉にバターちゃんは、異常に反応している。

 表情が引きつってるし、何か言いたげだし……本当に、なんもないんかなぁ?

 心配になったオレは、もう一度だけ、聞いてみることにした。

「バターちゃん、ほんとに何にもないのか?」

 するとバターちゃんは、さっきとは違う答えを返してきた。ぶるぶると体を震わし、かなり緊張しているというのを態度に出しながら、

「いえ……その……何もないというわけでは、ないです」

 遠まわしにだが、『貴方に話があるんです』と言っているようにオレには聞こえた。なら、バターちゃんが『これは言いたい』と思うのなら、この場で言ってもらいたい。そうしないと、何となくモヤモヤするだろ?

「なんだ? なんでも聞くぞ?」

「で、でも……別に後でも、大丈夫なので……」

「バターちゃんはよくても、正直なところオレはよくない」

 オレがきっぱりと言うと、「どうしてですか?」とバターちゃんが首を傾げてくる。

「これは自分勝手な理由だが、オレはバターちゃんに我慢させるという行為をさせたくない。バターちゃんが、オレに言いたくても言えないようなことがあったら……言えなくさせてるのは、オレの責任だからな。……だから迷ったら、どんな些細なことでもいいから、言ってほしいんだ」

 我ながらいい台詞だ。オレは自分に感心してしまう。

 はたから見れば、コイツどんだけ自惚れた虫なんだよ……と思うところだろうが、今はほっといていただきたいぜ。

 一方バターちゃんは、まだ何かを躊躇しているようだったが――オレの素晴らしい台詞で腹を決めたのか、ぐっと俯けていた顔を上げ、

「でしたら言います! 私――、」

 オレへのメッセージを、告げようとした。しかしその声は、


「あれっ? ビィくん?」


 聞き覚えのある声に打ち消されてしまった。

 オレはその声に驚き、顔ごと地面へと視線を向ける。続いて、そこにいたのがオレの知人であることに驚き、

「おっ、お前っ……どうしてここにっ……!」

 語尾を跳ね上げさせながら、そう口にした。

 バターちゃんも声の主を見て目を丸くし、口に手を当てながら、

「あ、あなたは……」

 小さな声で呟いていた。

 そうか……バターちゃんも、コイツと会ったことあるんだもんな。だって、バターちゃんはコイツにオレ宛てのラブレターを渡したんだもんな。

 ラブレターだということは知っていたが、その内容を全く知らないコイツは、

「ビィくん……こんなところで、何してるの?」

 可愛らしい仕草で、不思議そうに首を傾げていた。

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