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我ら非リア充昆虫隊!  作者: 玉本綜
第一章「人間達の思い」
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オレとアントの秘密(?)の会話

 時間はとんで、夜。

 オレ達は、全員河原で就寝することになった。こういう日は、別に少なくはない。

「はぁ……」

 時刻は十一時。よい子は寝る時間だが、オレはなかなか寝付けずにいた。

 オレは全然『よい子』じゃねぇし、そもそも夜ふかししたからといって怒られるわけでもないからな。

 なんで寝付けないのかは、不明だった。昼間あんなに運動したのに……というかバトルをしたのに、どういうことだか目がさえちまってな。

 ゴロンとその場に横になってみるも、全く眠れそうになかった。

 頭上では、少しだけだが星が瞬いている。ここは都会でも田舎でもないため、ビルやら店やらの明かりで星が全く見えないとか、光がないので満天の星空が楽しめるとか、そういったことはないのだ。

 オレとしては、なんでも丁度いいのが一番だと思うけどな。

 なんて、ぼーっと星空を眺めていると、

「ビィくん、隣……いいかな?」

「アント……」

 ほとんど気配を感じさせずに、アントが静かに近づいてきた。

「隣はいいけど、お前、眠くないのか?」

 アントが睡眠不足になるのは可哀そうだと思い、オレなりに気遣って声をかけてやる。

 するとアントは、ちょっと憤慨したという表情を浮かべ、

「もうっ、いつまでもボクを子供扱いしないでよねっ!」

 珍しく反論してきた。

 いやいや、子ども扱いするなって、子供が言う言葉だぞ? それに、お前はまだガキじゃねぇか。

「別に子供扱いしてるわけじゃないんだが……ほら、お前今日は疲れただろ? だから、ゆっくり休んだ方がいいんじゃねぇかなって」

「ビィくんの方が、大変だったでしょ。ボクは勝手にお散歩して、みんなに迷惑かけて、最後にちょっとだけ闘っただけだから……」

 アントは苦笑しながら、手を振って否定の言葉を述べた。

 そんな腰が低いアントに、オレは「へっ」と吐き捨てるように笑ってから言ってやった。

「いいや、あれはアントがいなかったら、成功しない作戦だった。お前のおかげで、あのおっかないハチクマから逃げることができたんだ。……感謝してるぜ」

 オレの言葉を、目を丸くして驚きながら聞いていたアントは、

「えっ、あっ、そ、そっかぁ……」

 やがて顔を赤らめながら、後頭部を掻いていた。どうも仕草が可愛らしい。アントは男だが、同性から見ても、『可愛い』と思うような行動をとる時がある。

 そんな意図を抱きつつ、オレがアントをじっと見つめていると、

「あ、あの、どうかした?」

 ふいに視線をこっちに動かしたアントと、目が合ってしまった。

 なんだか妙に恥ずかしくなってしまい、「な、何でも」と言いながらオレは視線を逸らす。

 なんだこの……美少女と喋ってるみたいな感覚は! 落ち着けオレ! 相手は確かに可愛いが、れっきとした男だぞ!

 オレは頭をブンブン振りまくり、変な想像を散らした。そして、

「お、お前こそ、急にどうしたんだよ」

 話題を変えようと、アントに話を振る。

 尋ねられたアントは、「あ、あぁ、うん」と前置きをしてから、ちょい答えづらそうに言った。

「ちょっと、聞きたいことがあって……い、いいかな?」

 聞きたいこと? 何だろうな、アントがオレに聞きたいことって……。

 もちろん気になったオレは、「おう、いいぜ」と頷く。

 するとアントからは、予想もしなかったとんでもない質問が投げかけられた。


「ビィくんって……好きな女の子とか、いる?」


「ブッ――!」

 思わず吹いてしまった。

 い、いきなりなんてこと質問すんじゃオラァ! オレはアントを押し倒す勢いで、アントにぐいっと近づいた。

「わっ?」

 その勢いに驚いたアントが、少し身を引く。しかしオレは構わずに、さらにアントとの距離を縮めていった。

 ゆっくりとだが、オレ達の距離は確実に縮まっていく。

「び……ビィくん……?」

「あ、アント……てめぇ……」

 ――何ってこと聞きやがる!

 その言葉が、喉まで出かかった。しかし、言わずに留めておく。

 理由はもちろん、モースとフライルが寝ているから起こさないようにするためと、昼間のようにアントに怖がられないようにするためだ。

 オレとアントの距離は、もう数センチしかない。暗闇の中だが、こんだけ近ければ相手の顔がよく見えるってもんだ。アントの顔は硬直しきっていて、オレのことを怖がっている様子がうかがえる。

 しかしオレは距離を離すことはせず、アントへの接近をやめて一言。

「なんでそんなこと聞くんだ?」

「ふぇ?」

「なんでいきなり変なこと聞くんだって、聞いたんだ」

 目に少しだけ涙を浮かべているアントに、オレはさっきと同じことを、言葉を少しだけ変えてもう一度言ってやった。

 アントはややあってから、

「な、なんとなく、かな……?」

 とだけ答えた。

 なんとなくでそれ聞く? それにオレの返事をもらって、お前はなんの得をするっていうんだ!

 思いっきり叫びたかったが、さっき言ったのと同じ理由でそうはしなかった。

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