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我ら非リア充昆虫隊!  作者: 玉本綜
第一章「人間達の思い」
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見つかった『探し物』

 しかし……ハチクマのくちばしからは逃れられたが、ハチクマ本人から逃れられたわけじゃない。

 ハチクマだって、さっきまでの攻撃は、手加減していたんだろうな……。そうじゃなきゃ、オレはとっくに死んでいる。

 さぁどうする、ここからどうやって逃げようか?

 全速力で飛んだところで、追い付かれて今度こそ喰われて終わりだ。

「くっ……」

 オレは、残された少ない時間を使って、どうすればここから逃げられるのかを必死に考えた。

「兄ちゃん……何に対してか分からんが、迷ってるようだな……」

「ったりめぇだ!」

 いちいちオレの癪に障ることを言う……! いい加減にしてくれないかな……?

 怒っている暇はないというのに、ついつい感情的になってしまう。そんな自分にも、腹が立ってきた。

「ああっ、なんか方法はねぇのかよっ!」

 口から自然に出た本音――それに答えてくれたは、


「諦めるな、ビィ!」「助けに来てやったぜぇ~」


「フライル! モース!」

 オレの仲間、フライルとモースだった。

 お前ら……わざわざこんなとこまで来てくれて……。

「ビィ、さぁ……出かける時は、ちゃんとオレっち達に言えよなっ! したくないってのにさぁ、心配しちゃうだろぉ~?」

 素直じゃないモースが、ポリポリと頭を掻きながら言った。

「勝手にいなくなるなんて、二度とするなよ……馬鹿が」

 フライルの言い方は一見すると冷たいのだが、オレには優しさが感じられた。

「それに……お前が頑張る理由は、もうなくなったぞ」

「えっ?」

 今、なんて……。

 目を丸くして驚くオレを前に、フライルは珍しくにっこりと笑みを浮かべた。そして、モースへと顎をしゃくって何かの合図をする。

「へいへ~い」

 モースがその一言を発した、その時だった。

「ビィくん!」

「アント!」

 モースの背中から、アントがひょっこりと顔を出した。アントも笑顔を作り、オレに手を振ってくる。

「アント、お前……」

 なんで二匹と一緒なんだよ! そう聞こうとしたオレに、フライルの厳しい声がとんだ。

「詳しい話はあとだ! 今は、そこにいるデカブツをどうにかするのが先だ!」

「お、おう……そうだったな!」

 いけない、すっかり忘れていたぜ、ハチクマのことを。オレは気を取り直して、ハチクマをギラリと睨みつける。

 ハチクマもまた、険しい目つきは変えずに、じっとオレ達を睨みつけた。

 その視線は鋭く、オレの心臓に穴でも開くかと思ったが……自然と、怖くはなかった。

 きっと、今はオレ一匹じゃないからだろう。フライルとモース、そしてアントが傍にいてくれている……。それだけで、安心しちまうんだよな。

「ハチクマさんよぉ……オレをこんな血だらけにして、たたで済むと思うなよ……」

 オレはなるべく低い声で、唸るようにそう言ってやった。

「分かってるさ、兄ちゃん。仲間も揃ったみてぇだし、アントちゃんも見つかったみてぇだし……今の兄ちゃんは、闘ったら結構強いんじゃねぇか?」

「望むところだ! いくぞ、みんな!」

 オレの呼び掛けに、

「ああ!」「おっけぇ~!」「おーっ!」

 フライル、モース、アントと、全員が続いた。

 オレ達四匹が集まれば、怖いモンなんてないはずだ。どんなにオレ達より大きな動物でも、四匹でかかれば倒せるはずだ。

 オレは三匹を信じて……ハチクマに、一直線に突っ込んでいった。

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