見つかった『探し物』
しかし……ハチクマのくちばしからは逃れられたが、ハチクマ本人から逃れられたわけじゃない。
ハチクマだって、さっきまでの攻撃は、手加減していたんだろうな……。そうじゃなきゃ、オレはとっくに死んでいる。
さぁどうする、ここからどうやって逃げようか?
全速力で飛んだところで、追い付かれて今度こそ喰われて終わりだ。
「くっ……」
オレは、残された少ない時間を使って、どうすればここから逃げられるのかを必死に考えた。
「兄ちゃん……何に対してか分からんが、迷ってるようだな……」
「ったりめぇだ!」
いちいちオレの癪に障ることを言う……! いい加減にしてくれないかな……?
怒っている暇はないというのに、ついつい感情的になってしまう。そんな自分にも、腹が立ってきた。
「ああっ、なんか方法はねぇのかよっ!」
口から自然に出た本音――それに答えてくれたは、
「諦めるな、ビィ!」「助けに来てやったぜぇ~」
「フライル! モース!」
オレの仲間、フライルとモースだった。
お前ら……わざわざこんなとこまで来てくれて……。
「ビィ、さぁ……出かける時は、ちゃんとオレっち達に言えよなっ! したくないってのにさぁ、心配しちゃうだろぉ~?」
素直じゃないモースが、ポリポリと頭を掻きながら言った。
「勝手にいなくなるなんて、二度とするなよ……馬鹿が」
フライルの言い方は一見すると冷たいのだが、オレには優しさが感じられた。
「それに……お前が頑張る理由は、もうなくなったぞ」
「えっ?」
今、なんて……。
目を丸くして驚くオレを前に、フライルは珍しくにっこりと笑みを浮かべた。そして、モースへと顎をしゃくって何かの合図をする。
「へいへ~い」
モースがその一言を発した、その時だった。
「ビィくん!」
「アント!」
モースの背中から、アントがひょっこりと顔を出した。アントも笑顔を作り、オレに手を振ってくる。
「アント、お前……」
なんで二匹と一緒なんだよ! そう聞こうとしたオレに、フライルの厳しい声がとんだ。
「詳しい話はあとだ! 今は、そこにいるデカブツをどうにかするのが先だ!」
「お、おう……そうだったな!」
いけない、すっかり忘れていたぜ、ハチクマのことを。オレは気を取り直して、ハチクマをギラリと睨みつける。
ハチクマもまた、険しい目つきは変えずに、じっとオレ達を睨みつけた。
その視線は鋭く、オレの心臓に穴でも開くかと思ったが……自然と、怖くはなかった。
きっと、今はオレ一匹じゃないからだろう。フライルとモース、そしてアントが傍にいてくれている……。それだけで、安心しちまうんだよな。
「ハチクマさんよぉ……オレをこんな血だらけにして、たたで済むと思うなよ……」
オレはなるべく低い声で、唸るようにそう言ってやった。
「分かってるさ、兄ちゃん。仲間も揃ったみてぇだし、アントちゃんも見つかったみてぇだし……今の兄ちゃんは、闘ったら結構強いんじゃねぇか?」
「望むところだ! いくぞ、みんな!」
オレの呼び掛けに、
「ああ!」「おっけぇ~!」「おーっ!」
フライル、モース、アントと、全員が続いた。
オレ達四匹が集まれば、怖いモンなんてないはずだ。どんなにオレ達より大きな動物でも、四匹でかかれば倒せるはずだ。
オレは三匹を信じて……ハチクマに、一直線に突っ込んでいった。




