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我ら非リア充昆虫隊!  作者: 玉本綜
第一章「人間達の思い」
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空の闘い

「……ふん、よく言うな! 兄ちゃんは!」

 オレの答えを耳にしたハチクマは、なぜか嬉しそうに叫んだ。

「俺に目をつけられて、捕獲までされて……そんなこと言ってきたのは、兄ちゃんが初めてだ!」

「それは嬉しいぜ!」

 別にやけくそになってるわけじゃあない。ただ、こんな時は……こんな時だからこそ、前向きに考えようって思ってるだけだ。

 ハチクマは飛び続けながらも、容赦なくオレを噛みちぎろうと、くちばしを体に刺し込んできた。

「っ……! うぐぐ……!」

 やるんならひと思いに、と言ってしまいたくなるほど、それは辛いものだった。

 ハチクマは一気にオレを喰ったりはしない。何度も浅く、くちばしをいろんな箇所に刺しまくり、いたぶりながら殺して……オレが完全に死んだのを見届けてから、丸飲みしようとしているのだ。

 なんつー野郎だ……残酷を好みやがって……!

 しっかし、鳥のくちばしっていてぇな。まぁ、それもそのはずだ。インコだって、本気で噛まれたら結構なダメージを食らうのに……ハチクマじゃ、その何倍も痛いんだからな。

 オレは痛みで気を遠くしながらも、それでも気力だけは失わなかった。

 そもそも、なんでオレはこんな目にあっているんだ……。そうだ、アントを探してたんだっけな。

 いきなり姿をくらましたアイツを探してて……そんでコイツに捕まっちまって……。

 はっ、考えてみれば、何やってんだよ、オレ。何だか、自分が情けなく思えてきたよ。

 アントを見つけて、連れて帰らなきゃいけないってのに……オレまで変な奴に捕まっちまってさ。本当に、何やってんだろうな。

 そうだ……ここで死ぬわけには、いかないんだ……。

 死ぬにはまだ早い。せめて、アントを連れて帰ってから、死のう。アイツの無事を確認して……いや、アイツに少しでも会えれば、あとはもうオレなんてどうなったっていい。

 だから今は……まだ、死ぬわけにはいかないんだ……!

「う、うわああああああああ――――――――――――――っ!」

「っ! お、おい兄ちゃ……!」

 オレは、何とかしてハチクマから逃れようと、とにかく必死で羽を動かした。ブ――――ンと、聞き慣れた自分の羽音が、途切れ途切れにだが聞こえた。

「おっ、オレは……死ぬわけにはいかねぇんだ!」

 気合を入れる為に、オレは叫んだ。

「まだ死ぬわけには、いかねぇんだよ! こんなところでくたばってたら、この先やっていけねぇしな!」

 そうだ、ハチクマごときに殺されたりしてたら、オレの寿命はいくつあっても足りねぇよ!

 意識がもうろうとして、自分が何を言ってるのかも、自分の体がどうなっているのかも、周りはどんな状態なのかも、ぼんやりとしか分からない。

 だけど、自分が今、『生きよう』としていることだけは、はっきりと分かった。

「オレはっ、オレはっ、オレは――――――――――っ!」

 喉を痛めながらも叫び続けるオレに、

「こっ、この!」

 ハチクマは、容赦ない一撃を食らわしてきた。ぐさっと勢いよく、オレの背中にハチクマのくちばしが刺さる。

 その刺さり方からして、今度は本気のようだった。

「兄ちゃんうるせぇぞ!」

「うるせぇのはテメェの方だ! いいか? オレはお前なんかには、ぜってーに負けねぇ!」

 実際うるさいのは、まぎれもなくオレの方なのだが……。今はそんなこと、関係ないだろ!

 とにかくオレは、お前のくちばしから逃れてやるぜ!

 体は傷だらけで、頭もろくにまわらなくて、ほとんど何も考えられない状態だけど――!

 一つだけ……こんな状態でも、ちゃんと考えていることがある!

 それは――、


「アント! お前はオレが、必ず見つけ出す! だからオレは、お前を見つけるまで……死なねぇ―――――――――っ!」

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