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学者
夫は目覚めると、寝巻き姿で髪をくしゃくしゃと指でいじりながら掻きむしり起きてきた。夫は普段から朝食を取らない。下手すると会社の昼休みに昼食も食べなかったりする。フルーツジュース、特にグレープジュースはよく飲む。だから絶対に冷蔵庫に常備しておく。
髪をいじりながらやってきた夫は反対の手でヘブライ語の本を持っていた。独学でヘブライ語の本と辞書を取り寄せて勉強している彼。夫はヘブライ語を始めたとき、一日でヘブライ語の文字と読み方、ようするにアルファベットを覚え書くことができ、単語や簡単な会話ができるようになった。こういうとき、私は「はぁー、すごいなー」と本当に彼の集中力と頭の良さに感心するのだ。
夫は夫も私も負け組だとよく言う。「負け組」って流行ったワードだけど、あまり好きではない。私はとりあえず置いといて、夫には頑張って彼らしい生き方をして、学者になりたいのならばいつかはなってもらいたい。




