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彼は寝ている  作者: 国見あや
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夫の気持ち、私の気持ち

夫はIT関係の仕事が多い。今の仕事は具体的には夫が話さないから私は知らないが夫も本当は本を執筆したい、という気持ちが強くある。是非書いてほしい。とても楽しみだ。夫の書く内容は小説ではきっとないだろう。多分専門書みたいなもの。IT関係などのことではなく、社会学や哲学もしくは宗教学などのどれかで彼の個人的に独学で勉強してきたものの集大成になるのではないかな。

夫はよく寝ている、と伝えているが彼は読書をするとき布団に入って仰向けに寝て両手で本を持ち、腕をあげた姿勢で延々と長時間読書をしている。東大博士課程時代は工学部という専門の領域が嫌で図書館にこもり、文系の本を読み漁っていたと聞いている。確かに本を喉から手が出るほど読みたい、という気持ちが彼にはあるということはよく理解できる。早く何かを書いてほしい。そんな思いは昔からあって、彼には結婚式のお祝いの記念にモンブランの万年筆をプレゼントした。

しかし、全く使ってくれなくて1年以上過ぎ、もったいないので今は私が使っている。昨日の公募でダイニングに忘れたモンブランの万年筆を夫は今朝、「大切なものでしょう?」とどこか大事にしまうようにと促した。私の繊細な気持ちが彼には理解できるのだろうか。本当は私よりもあなたに使ってほしかった万年筆なのに!

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