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第08話 今日だけは休みましょう

時間を開けてすいません。

「今日だけは休みましょう」


 僕はパーティーメンバーにそう告げました。


 そうするとやっぱりクルスが、


「なんでだ?」


 と聞いてきました。


「昨日の戦闘で相当疲れましたから。確かにゲームなんで休めば体力は大丈夫でしょうが精神的にはきついです。

 それに昨日あのドラゴンからドロップしたアイテムも整理すべきです。それに、狩場は逃げませんし明日一日こもればいいじゃないですか。

 もし、何かしたいのであれば今日は自由行動ってことでいきませんか?」


「そうだね。私としてもそのほうがいいと思う。クルスさんはウィングさんに聞いた例のユニークスキルを習得してくるといい。私たちが整理をするからさ」


「いいのか?じゃあ、ヴァルサス行こうぜ」


「うん。わかった~」


 そう言って二人が出ていきました。


「じゃあやろうか黄昏君」


「はいルナさん」


 僕たちは整理を始めました。







 ポ リ ポ リ ( ・ ・ * ) ゞ







 黄昏君と二人でドラゴンのドロップ品一つ一つを確認していく。


 正直私にとってこの状況はうれしくもあり苦しくもありだ。


 私は留学して来るまで基本的には自宅で家庭教師に教えられていた。理由は親が忙しくてかまってられないし、かと言って目の届かない学校に行かせるのも不安だということだった。


 正直に言うが私はうんざりしていた。私だって友達は欲しかったし一人で家にいるのはもう嫌だったのだ。


 で、私は親が珍しく休みの日にそのことを相談した。そしたらこう言った。


『ならば、日本にいる親戚のもとに行ってみるか?ちょうど、あの人も一度来いと言っていたしちょうどいいだろ』


 そんな感じで私は日本に留学することになった。


 そして、留学先の学校で私は黄昏君を見て一目で恋に落ちた。一目惚れというのだろうか。何故かは分からない。だけど、一緒にいたいと思えたんだ。


 だから、いくらゲームの中で性別が逆転していて見た目が変わっているとしても、私は黄昏君と一緒にいてドキドキする。


 だけど、私はこの気持ちを伝える勇気がない。いや違うな。自信が持てないんだ。


 なぜ一目惚れをしたのかが分かっていない。それが一番不安なんだ。この気持ちをどう伝えればいいのかが分からない。まあ、そういうことだ。


 まあ、そんなことはいいとして、意外とドロップ品が多い。というか、不思議な点がある。


「なあ、黄昏君。このドロップ品の武器だけど、名前が刻まれているんだが」


「そうですね。僕もそれは気になっていました。なんなんでしょう」


 そう。ドロップ品すべてに私たちの名前が刻まれていた。というよりも私たちそれぞれが装備できる武器がドロップしていてなおかつ個人の名前が刻まれているみたいだ。


「つまりこの武器たちは私たちがあのドラゴンを倒したことによって貰えた専用武器なんじゃないかな?」


「かもしれませんね。姉さんに確認してみます」


 そう言って黄昏君は暁さんに連絡を取り始めた。







 ( 」 ° ロ ° ) 」 オ ー イ ! !







「つまりだ、そのドラゴンは今回のテストプレイでの専用装備をくれるやつだ」


『ということは、名前が入ってるやつは売れないし、個人で使うしかないってことですか?』


「そうだ。ちなみにだが、テストプレイでのレベル制限は100でな。100までいった奴には特別クエストが渡されてな、それでそのクエストをクリアすると今回のテストプレイでのデータを引き継げるようになる。だけど、それを受けるにあたってそのドラゴンを倒しとくのが条件の一つだな」


『そうなんですか。ところで、そちらの状況はどうですか?』


「残念ながら全く進歩がないな。データ解析だけでも後2週間はかかるな。見るだけじゃわからんことを調べんといかんからな」


『そうですか…。では、僕の方は今日は休みますので』


「そうか、ゆっくり休め。進歩状況の報告ありがとな」


『いえ、では』


「ああ」


 俺は黄昏からの連絡を受け、ドラゴンについて聞かれた。まあ、あいつにたどり着くまでもう少しかかると踏んでたんだが意外と速かったな。


 まあ、それはともかく、探査は依然として進まない。


 目での確認は終わり、今はプログラムを書きうつしそれに解析をかけている。だが、遅々として進まない。データ量だけども膨大なのだ。それのデータ確認を眼だけで一週間ほどで終えたこと自体が異常なのだ。


 まあいい、とりあえず社長からは頑張れと激励を受け今回の事はどうにかするといわれた。まあ、どのみち俺は切られてしまう可能性が高いんだが。







 (  ̄ 。  ̄ ) ホ ー ー ォ 。







「姉さんに聞いたところやっぱり専用装備になるらしいです」


「そうかい。じゃあ、あとはこの笛に関してか…。なんだろうな?」


「フィールドで調べてみましょう。あ、装備に関してはウィングさんも呼んでおかないと。全部僕たちが回収しちゃってますし」


「そうだね。今すぐ呼ぶよ。たしか今日があの人の休みの日だよ」


「そうですね。じゃあ、呼んでおいてください。その間に武器をまとめておきます」


「ああ、わかった」


 そうして、僕たちの午前は過ぎて行った。もちろん、ウィングさんに来てもらって武器は渡しました。笛も渡しましたが後で確認して詳細を送ることになりました。




 午後になって笛の確認をしようということになりモンスターの出ないフィールドにやってきました。


「じゃあ、使いますよ?」


「ああ、頼むよ」


 僕は笛を取り出し吹いてみる。



 ブフォ~~~~~~~



 ん~。何も起きませんね。


 と思っていた矢先、突然地面に魔法陣が出現です。え、何なんですか?



 と思っていたら乗れるくらいの大きさのドラゴン(?)が出てきました。



「へ?」


「おいおい、どうなってるんだ?」


 僕は慌てて、改めて笛のアイテム名を見てみました。先ほどまでは???で表記されていたんですが今度はこう表記されてました。



 雷龍の笛。



 なんですか?つまり龍を使役できる笛ですか?


「雷龍の笛だそうです…」


「つまり龍を召喚し、使役できるかもしれないってことか?」


「そうです。ルナさんの方の笛はどうですか?」


「まだ???だよ。試してみる」


 僕はとりあえず出てきた龍を送り返すことに成功し、ルナさんにやるように促す。


「じゃあ、やるよ」



 ブフォ~~~~~~~



 やはり僕と同じように魔法陣が現れる。それで、出てきたのは…


「ペガサス…」


 かの有名な羽付きの馬でした。


「あり得んな…」


「そうですね。でもいいんじゃないですか?便利ですし。とりあえず、ウィングさんには人のいないところで試すことと送還方法を教えておきます」


「ああ、そうしてくれ」


 なんというか、休んでいるはずなのに疲れがたまっていってる気がします。というか、このアイテム普通に使ってたらいろんな意味でアウトですね…。




 とりあえず、必要なことが終わったので街に戻りルナさんと一緒に街を見て回ります。こっちに来た時からあまり街を見てないのでじっくりとみようとのことです。


 なんだか、デートみたいなんですが、僕はどう見ても幼女ですしルナさんはイケメンの高身長。釣り合いがとれませんね。って僕は何を考えているんでしょう…。


「うん、やっぱり暁さんはすごいな」


「姉さんがここまで作ったわけじゃないですよ?作ったのはグラフィックデザイナーです」


「そうだろうけど、VRをゲームにしてそれをさらにここまでのレベルまで作り上げたあの人の考えがすごいと思うんだよ」


「そうですね」


「ところでだが、何か買って食べないかい?」


「いいですね。じゃあ、何を食べましょうか?」


「中央広場でクレープでも食べよう」


 僕はその言葉に頷き、ルナさんとともに中央広場に行きます。


 着いてみるとさすが中央広場かなりのプレイヤーの人たちがいました。とりあえず、クレープを売っている露店を探しましょうか。


「あ、ライト。あったぞ」


「はい、行きましょうか」


 露天にたどり着き注文をする。


「ストロベリーミックスをお願いします」


「私はバナナチョコを頼む」


「了解しました。お二人さんカップルか何か?」


「い、いえ。違います。リアルの知り合いではありますが…」


 なぜかルナさんが残念そうに言う。そういう僕もその言葉にちょっと心にちくっとした痛みが走りました。本当に何なんでしょう…。


 商品をもらいベンチに座る。


「これおいしいですね」


「ああ、おいしい」


「よかったら僕の食べますか?」


「い、いいのか?」


 ルナさんの顔がものすごく赤いですけどなんででしょう?


「ええ。いいですよ?というか食べます?って聞いたんですからいいに決まってるじゃないですか?」


「そ、そうだな。ではいただく」


「はい、あ~ん」


「う、うむ。あーん」


 ルナさんが赤い顔のままかぶりつく。ルナさんがおいしそうに食べてくれている。嬉しくなりますね。


「わ、私のもよかったら、た、食べるか?」


「もちろん!」


 僕は甘いものは大好きです。ですけど、僕は小食な方なのであまり食べれません。ですから、一口貰えるとかいうのはものすごくうれしいんです。


「では、あーん」


「あ~ん」


 かぶりつき咀嚼します。


「ん~。おいしい♡」







 ( * ^ ▽ ^ * )







 私は黄昏君もといライトに一口もらったので私も進めてみる。というか、嬉しいのだがものすごく恥ずかしいな…。


 というかだな、これはもうデートでいいのか?そうなのか?どうなのか?


 混乱しているな少し落ち着こう。どちらにせよ、黄昏君はデートだとは思っていないだろうしな。


 いつかは黄昏君とちゃんとデートに行ければとは思う。だけど、たぶん私には無理だろうと思う。


 でも、いいか。今はこの幸福をかみしめよう。







 (  ̄ ω  ̄ ; ) エ ー ト ォ . . .







 現状を説明しようと思います。



 ルナさんが攫われました。



 どうやらPKをやっていたグループの一つが、僕らを狙っていたようで、僕たちが話しながら歩いていて油断丸出しの状態だったのをいいことに、ルナさんが攫われてしまいました。


 僕は何をしていたんでしょう…。街の中じゃ襲われないとでも思っていたんでしょうか。街の中では戦闘行為は決闘の成立以外ではできません。ですが、危害を加える。つまり、それ以外の行為ならできるんです。

 前にもそれを利用していろんなことをしでかしたアホなPCたちを検挙したんですけど…。


 とりあえず、ルナさんを救出しないと。


 僕はそう思いつつ、仲間たちに連絡をかけた。

次回は暁さん視点の話です。

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