第05話 誰だ!こんなことをしたのは!
遅くなりました5話です。
今回は姉視点で進みます。
「誰だ!こんなことをしたのは!」
テストプレイヤーたちが閉じ込められた日の夜、私は激怒していた。
「今日の朝、私が確認したときにはプログラムに何の問題もなかった!つまり、確認してからテストプレイ開始までの間に誰かがプログラムを書きかえったってことだ。私は安全のためにログアウトの方法をいくつかに分けてあった。そのすべてが消されていた。つまり、これを知っているはずの人間が消したってことだ!」
「まあまあ、暁さん。少し落ち着いてください。怒鳴ったところで犯人は出てきません。この会議はこの現状をどのように解決するかです」
そういったのは、私の右腕とも言える部下で琴峰蔵乃。とても、役に立つやつだ。
「わかっている!
では、報告頼むぞ。蔵乃」
「はい。現状ですがログアウトができなくなっている理由が判明しました。ログアウトのために用意してあった、すべてのプログラムが消されていました。VRというシステム上、ログアウトは必須です。そのため、暁さんが作るときにログアウトのプログラム自体を複数入れるように命令されました。そして、その複数のプログラムですが、作られたキャラ・ゲームの全体・フィールドそのものなどなどたくさんの場所に作ってあるのをすべて確認してありました。
ですが、すべてではありませんがログアウトのプログラムが消されていることを確認できました。そのため、ログアウトがまったくできない状態となっています。なお、そのほかのバグに関しましては誰かがログアウトのプログラムを消したことによる、プログラムの誤作動であると考えられます」
報告が終わる。私はあらかじめ考えていたことを言った。
「どちらにせよ、このことは世間に公表せねばならん。皆、誰のせいだかはわからんが、もし仕事を続けたいならこのチームを抜けてくれてかまわない。世間への報告は私が行う。どちらにせよ多くの賠償金が必要なのは明白だ。もし、このゲームにとらわれている人たちを解放し、無事に発売されたとしても、売り上げはすべて消えるだろう。だから、ついてきたいものだけがついて来い。
もしも、ついて来るならば共に彼らを救う為に全力を尽くそう。では聞く。ついてくるか?やめるか?」
問う。どちらにせよ会社には多大ね迷惑をかけることになった。これできっと私の首は飛ぶだろうが楽しみにしていてくれる人たちの為にこのゲームは完成させたい。そのためには皆の協力は必要不可欠だ。
だからこそ、問いたかった。皆が私について来てくれるのかを。
正直、皆自分の方が大事だろう。だから、当然皆やめていくものだと思っていた。一緒にやってほしいのにやめていくものと決め付けている。ふっ。全く、言いようも無いな…。
だが、皆の反応逆だった。
「私たち全員、水無月暁プロデューサーについていく所存であります。故に、これから何を行うのか教えてください」
まさかの言葉だった。涙がこぼれたよ。
その後、皆に説明し、その日の会議は終わった。
( ノ △ ・ 。 )
私は会議が終わり、皆が帰った後も会社に残っていた。明日、しかるべき記者会見に備えなければならなかったし、何より黄昏を巻き込んでしまったことが何よりも悔しかった。
だからこそ、私は早くこの事件を解決してしまいたかった。早くちゃんと顔を見て黄昏と話をしたかった。
そう考えながら、プログラムを紐解いていく。起動している以上書き加えたり、消したりすることはできない。だから、どこがどうなっているのかを確認するだけだ。
眺め続ける。私はプログラマーではないがプログラムを理解できる程度の知識は持っている。だから、この程度ならばどこがどうなっているのかの理解くらいはできる。
だからこそ、ここに手がかりが残ってないかを調べていた。プログラムには意外と癖が出る。だからこそ、消したならば矛盾が出ない程度に書き換えるはずだ。まあ、その程度で見つかったら苦労はしないのだろうが…。
私にとってオンラインゲームはかなり重要な意味を持つ。だからこそ、この仕事を選んだ。がんばって今の地位まで若くして上り詰めた。
皆が楽しみ、皆が笑いあえる。そんなオンラインゲームが作りたくてここまで来たんだ。
だからこそ、こんなことをしたやつが許せない。皆が笑いあえる空間をこんな風に歪めてしまうやつが憎かった。
だが、私にできることは限りがある。だから、今できることをしたい。だから、プログラムを見つめ続ける。
かなりの時間がたったころ、そばに蔵乃がきていた。
「暁さん。根を詰めすぎです。まだ、何もできないというわけでは無いですし、僕たちにできることをしましょう」
「ああ、そうだな。だが、悔しいんだ…。皆が笑えるそんなゲームを守ってやれなかったことがな…。
死なないとはいえゲームから二度と復帰できないかもしれないんだ。私にできるだけの事はせんとな。罰が当たる」
実際にそう思う。できたはずのことをできなかった。それが悔しい。
「そうですか…。では、僕も手伝います」
そういって、蔵乃は準備を始める。
「すまんな…。助かる」
「いえ、一応、暁さんがこの会社に入った理由も知ってますし、僕も悔しいんです。起動する前にチェックすべきだったのにそのまま起動してしまった自分がね…」
「そうか…。そうだったな。なら、敬語はやめてくれ。
明日には皆に言うつもりだが、もう、上司とか関係なくいきたい。仲間としてやっていきたい」
「わかりまし…いや、わかった。一緒にがんばろう。暁さん」
「ああ、蔵乃」
そうして、夜が更けていった。
その夜、会社の部屋で一人の男がほくそ笑んでいた。
「ふふふふふ…。これで、ようやくあいつが消える…。ようやく俺の時代がくるんだ…。ふっはっはっはっは……」
その声は、闇に吸い込まれていく…。
まだ、抜け出すことができぬゲームは始まったばかりである……。
まともに進みませんね。
次回は早く投稿できるといいな…。
 




