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第19話 貴様は何を考えている!

 ついに俺達は犯人にたどり着いた。


琴峰(ことみね)、お前だったとはな」


「ふ、そうですよ?何か問題があるんですか?」


 イラつく奴だ。


 調査を進めるうちにこいつのおかしな行動が目につくようになってきていたから問いただせばあっさりと白状しやがった。


「問題あるかだぁ!問題しかねぇんだよ!貴様のせいでどれだけの人間に迷惑をかけていると思っている!」


「関係ないですね」


 思わず殴りそうになった。だが、殴っても意味はない。むしろ、今問いただすべきは……。



「ログアウトする方法は残しているんだろうな?」



 これだけだ。これが分らなければ俺達の作ったゲームにとらわれている人たちを救えない。


 俺達は彼らを救いだし、無事に現実へと導かなければいけないのだから。



「あるわけないじゃないですか」



 その言葉に耳を疑った。


「そんなものを残しておいたら意味がないでしょ?」


「貴様は何を考えている!」


「あなたの失墜ですよ」


「な!」


「だってそうでしょ?あなたさえいなければ私はプロジェクトマネージャーから降ろされることはありませんでした。そう、あなたさえいなければね?」


「貴様!」


 俺は琴峰の胸倉をつかみ上げた。


「貴様が何をしようがどうでもいい!だがな、貴様がやったことがどういうことか分かってるのか!一般の人間を巻き込むな!ゲームを楽しみにしてきてくれた人達に迷惑をかけるな!」


 俺はそのまま琴峰を床に投げ捨てる。


「蔵乃」


「はい」


「警察に連れてけ!」


「はい!」


 蔵乃はそのまま琴峰を連れて出て行った。



「くそ!」



 近くにあったゴミ箱を蹴り飛ばした。


「何が俺のせいだ!やりたいなら言えばいい!やりたいならやればいい!諦めているだけだろ!」


 そんな事を叫び、茫然としていると声をかけられた。


「暁さん」


「ん?」


 声をかけてきたのは月島礼(つきしまれい)だった。


「来ていただけますか?」


「ああ」







 (  ̄ ー  ̄ ) ニ ヤ リ ッ







 笑ってしまう。いや、笑いがこみあげてきた。


「ははは……。まさかな……」


「はい。私もびっくりしました」


 それは、俺が最後の最後に組み込んだプログラムだった。



 ラストクエストプログラム。



 最後のダンジョンとクエストを追加するためのプログラム。ほかの皆には秘密裏に用意し始まる前に組み込んだ最後のキークエストプログラムであり、正式稼働するときの引き継ぎをするためのもの。


「奇跡ですね」


「ああ。忘れていたがこれならばいける……。皆を助けられる……」


 この日俺は久しぶりに泣いた。

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