特別閑話:爆裂!地獄の解体新書 〜師匠の口撃は牙より鋭い〜
本編では「命を糧に変える神聖な儀式」なんてエモく語られたけど、現場のリアルは血と罵声のワンダーランド!
老料理人による「ノンストップ精神口撃マシンガン」が、ロビーの空気を切り刻む!
1. 血抜きへの「温情」と内臓摘出
「……始めるぞ」
師匠が包丁を構えた瞬間、空気は一変。
若手たちは蛇に睨まれた蛙!
「おい、クマ! 本来なら仕留めて即座に血を抜くのが鉄則だ。だが今回は、お前がバットで粉砕し、レイジが頸動脈を槍で突いたおかげで、図らずも放血は進んでおる。……運のいい『素人』どもめ、そこだけは評価してやるわ!」
「へ、へい……! ありがたき幸せ……!」
師匠の意外な言葉に一瞬喜ぶクマさんだが、地獄はここからだった。
「だが喜ぶな! 腹を切るなら慎重にやれ! 腹腔ふくくうを傷つけて胃や腸の中身をぶちまけてみろ。肉に臭いが移って、台無しだ! この『鼻詰まり』めが!」
クマさんは爆弾処理並みの手つきで、食道から直腸までを一気に繋げて摘出する。重い内臓と格闘する背中に、師匠の怒号が突き刺さる。
2. 皮剥ぎと脂の罠
「おい、レイジ! そこでボサッとするな! 足首の皮を切って吊るせ! 逆さ吊りにして重力を利用するんだ!」
「吊るす……って、これめちゃくちゃ重いっすよ! 兄貴、手伝って――」
「甘えるな、この『もやしっ子』め! 自分の獲物くらい一人で吊るせんか! さっさとやれ!」
なんとか吊り上げたものの、レイジは剥ぎ取りに大苦戦。
「馬鹿者が! 牙の表皮はラノリン質の脂が詰まっておる。刃を立てるんじゃない、皮下組織と真皮の境界を見極めて、手で剥がすように引け! そこで無理に包丁を使えば、皮に傷がついて防護服にも使えんゴミになるぞ! 膜一枚残すのが、肉の鮮度を守る唯一の手段だ。精神がひょろひょろしておるから、刃先まで震えておるわ!」
3. ボーンアウトの泥沼
皮が剥がれ、ついに核心の「脱骨」工程へ。
ここからが本当の地獄だった。
「よし、次はバラしだ。クマ! 股関節、肩甲骨つきの肩関節、そして頸部に一気に刃を入れろ! 脚、腕、頭、胴体にテキパキ分けんか!」
「わ、わかってますよ……! でもこいつ、骨の嵌まりが複雑で……ぐぬぬ!」
クマさんが巨大な脚を力任せに回そうとすると、師匠の杖が飛ぶ!
「力で解決しようとするな、この『脳筋熊』が! 関節の隙間に刃を滑り込ませれば、指一本で外れるわ!」
横ではレイジが肉を剥がすのに四苦八苦。
「いてっ! 滑る! この肉、変なところにスジがあって全然きれいに剥がれないっすよ!」
「丁寧かつ、迅速に、きれいに剥がせと言っておろうが! もたもたして肉の温度を上げるな! 骨に肉を一切残すな! 一滴の血、一欠片の軟骨すら無駄にせぬのが『礼儀』というものだ!」
「わ、わかった! 丁寧に、かつ早く……ああっ、またスジを噛んだ!」
「遅い! それでは日が暮れるどころか、来年になるわ!」
4.賢者の沈黙と「無」の境地
最後は肉の部位分けと、内臓の精査だ。
「……おい、レイジ! そこで死にそうな顔をしているなら、その辺に落ちている牙のクソでも掃除してこい! 排泄物を見ればそいつの代謝状態と、何を食ってきたかがわかる。早く行け!」
少し離れた場所で、兄のゼロは静かに目を閉じ、自分に火の粉が飛ばないことを祈りながら、ひたすら槍の穂先を研ぎ続けていた。
「……ねぇ、兄貴。師匠、牙より怖くねぇ?」
弟の切実な訴えを、ゼロは無言でフル無視。
今ここで目を合わせれば、自分まで「刃の研ぎ方が0.1ミリ寝ておる! 刺さる時の抵抗を考えろ!」と杖の餌食になることを本能で察知していた。
その隣では、カイのじいさんが地獄絵図をBGMにのんきに茶を啜っている。
「フォッフォッ、今日も元気がいいのぉ」
結局、解体が終わる頃には、クマさんとレイジの目は完全に光を失い、魂が抜けたような「虚無」の状態に。
彼らにとって、牙はもはや恐怖の対象などではなく、**「二度と思い出したくもない超過酷な労働」**そのものへと成り下がっていたのである。合掌!




