誰も死なない世界を下さい ~短命の死神~
僕は、死神だ。
けど、書きたいんだ。それしか、できないから。
平和な世界を望んで。
『18歳までに死ぬ』
これが、僕の運命。
産まれたときに、分かった。
『魔族との戦争が何十年も続いている』
という世界なのに、なんということ。病弱なのが、これまた憎い。
僕に、何ができるのか? 体が弱くて、何もできない僕に。
考え抜いた結果、『キジ』を書いて配ってもらうことにした。
魔族との戦争で、大活躍している人たち。
そんな人たちを。
僕のキジで、残す。
「勇者で、ボス級の魔族をたった1人で何体も殺している、と」
「すげえだろ、何せ勇者だからな! 神がオレを選んでくれたんだ!」
勇者は、珍しい存在。誰よりも頑丈で、誰よりも強い。めったに産まれないらしい。
「15歳、ですか」
「まだまだ若い、これからたくさん殺すぜ! 皆のために!」
確かに、若い。僕より、1つ下だ。
そして、『シュザイ』をはじめる。
小さかった頃の逸話、何を考えて魔族と戦うか。
そして、この世界が平和になったら、どう暮らしたいか。「この国の長になる!」らしい。
「ありがとうございました、シュザイを受けて下さり。本当に、尊敬します」
「おう! オレは勇者だからな!」
「ああ、またか」
また、僕は人を殺してしまった。
『勇者、雑魚ゴブリンに負ける!』
負ける、と書かれているけど、実際は、殺された。殺される、だと士気が下がるから負けるって書く。
皆、わかっている。けど、やっぱり、違う。
「僕が、書いたからだろうか」
死の神だ、僕は。僕の書いた人で生きている人は1人もいない。僕が書いたから殺されたんだ、何かが食い違って。
誰も死なない世界が欲しい。死を知る度に、そう思ってしまう。誰も死なない、平和な世界。
そのために、僕は。
死の神ってのは分かってるけど、誰かのためになるのなら。1人でも多く『世界平和』のために、動いてくれるなら。そう願って、書くしかないんだ。僕は、戦えないから。
誰も死なない世界。
魔族との戦争が終わったら、誰も死なない世界になってくれるだろうか?
神様、誰も死なない世界を下さい。
読んでいただき、ありがとうございました。貴方の幸せを祈ります。




