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誰も死なない世界を下さい ~短命の死神~

作者: ナベノヂ
掲載日:2025/10/06

僕は、死神だ。

けど、書きたいんだ。それしか、できないから。

平和な世界を望んで。

『18歳までに死ぬ』

これが、僕の運命。

産まれたときに、分かった。

『魔族との戦争が何十年も続いている』

という世界なのに、なんということ。病弱なのが、これまた憎い。

僕に、何ができるのか? 体が弱くて、何もできない僕に。

考え抜いた結果、『キジ』を書いて配ってもらうことにした。

魔族との戦争で、大活躍している人たち。

そんな人たちを。

僕のキジで、残す。




「勇者で、ボス級の魔族をたった1人で何体も殺している、と」

「すげえだろ、何せ勇者だからな! 神がオレを選んでくれたんだ!」

勇者は、珍しい存在。誰よりも頑丈で、誰よりも強い。めったに産まれないらしい。

「15歳、ですか」

「まだまだ若い、これからたくさん殺すぜ! 皆のために!」

確かに、若い。僕より、1つ下だ。

そして、『シュザイ』をはじめる。

小さかった頃の逸話、何を考えて魔族と戦うか。

そして、この世界が平和になったら、どう暮らしたいか。「この国の長になる!」らしい。

「ありがとうございました、シュザイを受けて下さり。本当に、尊敬します」

「おう! オレは勇者だからな!」




「ああ、またか」

また、僕は人を殺してしまった。

『勇者、雑魚ゴブリンに負ける!』

負ける、と書かれているけど、実際は、殺された。殺される、だと士気が下がるから負けるって書く。

皆、わかっている。けど、やっぱり、違う。

「僕が、書いたからだろうか」

死の神だ、僕は。僕の書いた人で生きている人は1人もいない。僕が書いたから殺されたんだ、何かが食い違って。

誰も死なない世界が欲しい。死を知る度に、そう思ってしまう。誰も死なない、平和な世界。

そのために、僕は。

死の神ってのは分かってるけど、誰かのためになるのなら。1人でも多く『世界平和』のために、動いてくれるなら。そう願って、書くしかないんだ。僕は、戦えないから。

誰も死なない世界。

魔族との戦争が終わったら、誰も死なない世界になってくれるだろうか?

神様、誰も死なない世界を下さい。


読んでいただき、ありがとうございました。貴方の幸せを祈ります。

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