7:不可解なダンジョン(1)
お、落ち着くんだ俺...逃げながら攻撃すれば...ウッ!
殺せ...殺せ...殺せ...殺せ...
こ、この声...やばい...ポーション...
俺はポーションを2本飲み、体力を回復させた。回復した途端、キングレッドウルフは火炎放射のような攻撃をしてきた。
あれは多分スキルのフレイムスロワーか...それにいつまで吹き続けることがでるんだ...俺の避けを予測してズラされたりしたら、ひとたまりもないぞ...
俺がずっと逃げ切っているも、フレイムスロワーが止んだ。
今だ!スキル弱点把握! 顔、首、足、腹部か...厄介だ...
俺はただ突っ込むのではなく、左右に避けながら近寄る。もし、真っ直ぐに突っ込むと避けるのが大変だ。俺の狙いは足!
スパン!スパン!
右の前足と右の後ろ足に攻撃を与える。しかし、傷が浅い。
クソ!一回の攻撃じゃまともに与えられないのか...なら何回も攻撃を与えるのみ!
俺は避けながらも攻撃を繰り返した。
次は火炎玉か...なら右に避けて...ッッ!
俺が避けた途端、下から炎が噴き出た。
ブォォォォォオ!!!!
やばい...一回の攻撃が強すぎる...
俺はすぐにポーションを使って体力を回復させた。しかし、回復ポーションではないため、傷は癒やされない。
もう...ポーションがない。これで決めるしか...いや、もういっそ...
俺はこの聞こえてくる声に任せてみようかと考えた。俺はやっぱり自分の才能を過剰評価していた。いくら才能があったとしても、才能には限界がある。俺もある程度努力はしていたが、才能でどうにかなっていたような気がする。
いや...違うな...ここで任せてしまったら、逃げることと同じだ...変わらなければならない!
俺は深呼吸をして攻撃を再開した。
スパン!スパン!..........
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『キングレッドウルフを討伐』
『レベルが計150上がりました。』
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俺は機会音声が聞こえた途端に全身の力が抜けて倒れた。俺はあの声にも負けず耐えて、自分の力で勝った。その喜びと同時に疲労がきたのだろう。俺は気を失った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「次の階で100階か?」
「そうですね...90階層から魔物が強くなったので、100階は気を引き締めないといけません。」
「そうだな、みんな準備はいいか!」
「いいぜ!」
「いけます!」
「いけるわ!」
「う、うん...」
「よし!行くぞ!」
Sランク冒険者パーティーが100階層の扉を開けた。
「お、おい!だ、大丈夫か?」
隊長の目に映り込んだのは、黒の服を着た男性が倒れていた。
「た、隊長!魔物の可能性があります!」
「えっ?いや、でも...」
「嫌な予感がします。」
隊長と副隊長がやり取りを行なっている中、倒れていた黒い服の男性が立ち上がり、
「感のいい冒険者は嫌いだな...助けた瞬間にヤろうと思ったのに...」
隊長は返す。
「お前は誰だ!」
「俺か?俺は...獅子湊っていうヤツだ。コイツの体使いやすいからな!今は利用しているだけだ!」
「乗っ取っているお前は誰だ!」
「誰が言うかよ!まぁそんなことはいい!殺す!」
隊長に向かってものすごいスピードで距離を縮める。しかし、
「た、隊長大丈夫ですか⁉︎」
「ありがとう、ウタ!おかげで助かった。」
ウタの防御魔法によってギリギリ隊長のレオが守られた。ここでSランク冒険者パーティーは察した。コイツには勝てない。圧倒的なスピードと攻撃力。Sランク冒険者よりも上の相手だ。
「終わりか⁉︎こんなところで終わらねーよな!」
獅子湊を乗っ取っているヤツは後ろにいる冒険者はもう一度隊長を狙う。
バァァァァァァアン!!!!
「たっ隊長!!」
「だ、大丈夫だ...お、お前ら撤退し...ろ...」
隊長レオはそう言って倒れた。
「え〜もう終わり?つまんないなぁ〜あっ!クソ!時間がない...今日は運が良かったと思えよ!ジャーナ!」
ニヤリと笑って獅子湊は倒れた。
副隊長のウタがヒーラーのミントに言う。
「隊長に治癒魔法を!それに、その補助をミシリがやって!」
「了解!」
「う、うん」
2人が治癒魔法をかけている間に副隊長とケルンは倒れた獅子湊の方へ近づく。
「お、おい!大丈夫か?」
「こんなヤツほっとこうぜ〜」
副隊長のウタが声をかける。
「と、とりあえず、獅子湊を運ぶぞ!ケルンも手伝え!」
ケルンは嫌々手伝った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
目が覚めた時、俺の周りには複数の人がいた。
だ、だれだ...ここは?
「目が覚めたか⁉︎大丈夫か?」
俺は戸惑いながらも体を起こして聞いた。
「大丈夫です。あなたは?」
「私はSランク冒険者パーティーに所属しているパンク•ウタだ。」
「え?Sランク?どうして?ここは5階層ですよ...」
「何を言っているここは100階層だ。」
100階層⁉︎俺は気を失った時は5階層だった。そこから100階層なんてどうやって...
「君は乗っ取られていたらしい...私たちもわからないが、いきなり襲われて...」
話を聞いた所、俺はあの声の主が勝手に暴走したと推測した。あの声の主に任せると、俺自身より強くなる。一番このスキルの使い方を知っているヤツだろう。でも、何のために...
「ほ、本当にごめんなさい!隊長のレオさんは大丈夫ですか?」
「ああ、今はぐっすり眠っている。大丈夫だ。」
俺は一安心した。そっから俺は副隊長のウタから色々なことを聞かされた。どうしてここにいるのか?乗っ取られた時の自覚は?乗っ取られる前何をしていたのか?など、俺は質問全てにわからないと答えた。本当にわからない事もあるが、Eランク冒険者の俺がキングレッドウルフを倒したことを話すと怪しまれるだろう。
俺ら冒険者パーティーを含めて、怪我人もいるため一度ダンジョンから抜け出すことにした。
でも、俺らはのちのち後悔することになるなんて思ってもいなかった。
最後まで読んで下さりありがとうございます!!
今日の18時頃に第8話を投稿する予定です!!
読んでもらえると嬉しいです!!