50:攻撃力1の元暗殺者が隠れスキルで世界最強
「このまま進めぇぇぇ!!」
城の周りにいる兵たちは次々にカンケル国軍とトーラス国軍、クリオス国軍に倒されていく。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」
「逃げろぉぉぉぉ!!」
前線付近で戦っている兵が声を上げる。さっきまでの勢いが徐々に無くなり、押し返されていく。
〜トーラス国軍〜
指揮官の元へ慌てて一人の兵がやってくる。
「ほ、報告します!!ヤツらが現れました!!」
「なんだと!?太刀打ちできないのか!?」
「無理です!!勢いが!!」
「クッ...て、撤退だぁぁぁぁ!!!!」
〜カンケル国軍〜
「トーラス国軍が撤退をはじめました!!」
「なんでだ!!まだ、始まったばかりだろ!!」
「ヤツが現れたそうです!!」
「魔法は使えないのか!?」
「無意味です!!」
「チッ...撤退しろぉぉぉ!!」
〜クリオス国軍〜
「トーラス、カンケル国軍は撤退をはじめました!!」
トーラス国軍のいうヤツらが現れたのか...まだ、始まったばかりだというのに!!
「...撤退しろ!!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「撤退している。私たちの出番だ。」
水葉誠は再び、俺たちに言いに来た。
「え?嘘だろ!?」
「嘘じゃない。ついてきてくれ。」
驚きを隠せないまま、俺たちは水葉誠についていく。さっき、準備しろと言われてから30分も経っていない。この30分以内に何があった...?
水葉誠に案内されると、そこはリブラ国王がいる城を見れる場所だった。暗くてよく見えないが、目を凝らしてみると、城の周りは赤く血で染まっていた。そして、徐々に撤退している動きが見える。俺はみんなが見ている最中に小声で水葉誠に尋ねた。
「なんでリブラ国王のいる城を監視したんだ?」
「別にリブラ国王のいる城だけを監視した訳じゃない。前々から様子を伺っていたが、リブラ国王の城にビスケス国軍が移動しているのを目撃したからだ。」
「そうなのか...」
話し終えると、水葉誠は俺たちに作戦を教えてくれた。全面協力国軍同盟が撤退した後、少し時間を空けてから攻める。今ここにいる俺たちとピークは東側から攻め込む。北側には、また別のピーク数人がいるらしい。ラックキルに対して、圧倒的に人数が少ないが、ピークは全員隠れスキル持ちだ。
「私が隠れスキル転移で北側の合図に合わせて、東側の城壁辺りに転移させる。」
「誠は?」
「私は、戦える隠れスキルを所有していない。すまない。私は戦えない。」
「そうか...」
俺たちは北側にいるピークの合図を待つ。誰も喋らず、ただ冷たい風が俺たちの頬に当たる。鼓動が早くなるのを感じた。すると、北側の方から星のように小さく光った。
「健闘を祈る。全員、無事で帰ってきて。隠れスキル...転移!!」
足元から青白い光が俺たちを包み込んだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「なぁ3号。もう終わりかぁ?」
1号は子供のように駄々をこねる。周りにいる4号、5号は呆れた顔をしている。
「こんなもんだよ。人間は弱いんだ。」
「でも、3号。2号、コテンパにやられたんだぜ?」
1号は地面に寝そべりながら言った。
「1号。寝そべるな。」
4号がゴミ虫を見るような目をしながら言った。
「4号。その性格なおs...」
奥の方から青白い光が1号、3号、4号、5号を照らす。その光は少しずつ弱まり、獅子湊たちが姿を現す。
「誰だぁ?」
1号はゆっくりと起き上がり、獅子湊たちの方に目を向ける。すると、5号がボソッと呟いた。
「お客様だ...」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺たちの目の前に4人の人物が目に映った。
「隠れスキル...死神!!」
俺のスキル発動と同時にウタ、マナ、ミシリ、谷沙耶、ピーク数人が走り出した。ウタとマナは走りながら魔法を放ち、ミシリは片手にナイフを、ミントは後方で全員に強化魔法をつける。
ドカァァァァーン!!
ウタとマナの魔法は直撃し、煙が立つ。ウタとマナは立ち止まり、真ん中から魔法を打ち続ける。俺とミシリ、ピーク数人は走り続けて接近戦を行う。
「やってくれるじゃねーかぁ!!」
うっすらと煙が落ち着いた時に4人のうち1人が俺に目掛けて、ナイフを飛ばしてくる。それを構えていたナイフで弾いた。
カキィィィィン!!
おそらく、この4人の中で地面に座っていた奴が厄介な気がする...
俺は足を止めて、そいつとの距離を保つ。
「テメェが獅子湊だろ?俺は1号だぁぁぁ!」
またしてもナイフを投げてくる。
「ご丁寧な挨拶ありがッとう!!」
俺は地面を強く蹴ってナイフを弾きながら、一気に距離を詰める。
先輩はおそらく地面に座っていた人を狙うはず...だったら私は!そのお世話係みたいな人を狙う!!
「火球魔法!!」
「ぬるいよ。」
直撃するも一気に距離を縮められ、ナイフで防御する。
「3号だよ。君は?」
防御していても、押されてしまう。もう片方からナイフを取り出して振りかざし、縮められた距離を離す。
「名乗る必要はない。」
3号は鼻で笑いながら、指を指す。
「光芒。」
体を傾けたが間に合わず、左耳に光の筋のようなものが直撃する。
「クッァァ!!」
左耳から血が溢れ出し、地面には焦げた耳の一部が落ちていた。
「避けるとは...すごいじゃないか。」
やばい...これでは、負ける...
再び、3号はニヤニヤしながらミシリに指を指す。
光芒...光の筋...まさか...
ミシリは両手に持つナイフに目を向ける。
一か八か...賭けるしかない...!!
「ウタ、マナ!防御魔法を!!」
左耳に激痛を感じるも、歯を食いしばって立ち上がる。ウタとマナがミシリに強力な防御魔法をかける。
「終わりだよ。光芒。」
両手に持っていたナイフをバツの字にして光芒を防ぐ。
手がッ...熱い...
左手に持っていたナイフは溶けるも、右手のナイフがかろうじて3号の方に反射させた。
「クハァァッッ!!!」
3号は左目辺りに直撃し、両手で左目を押さえる。その隙にミシリは右に弧を描くように近づき、右手のナイフで3号の首に突き刺す。3号の叫び声とともに、体がビクビクと少し痙攣し、それが止まるまでナイフを押し込んだ。
「...殺った...?」
辺りを見渡すと先輩の姿はなく、ピーク数人が他の2人と殺りあっている。優勢なのは、ピーク数人。
ここは任せて...先輩の元に行かないと...
「そんなんじゃ当たらねぇぇぇよ!!」
1号は右手を素早く振りかざし、俺の首を狙う。かろうじて左腕で防ぐも、重い。
「クッッ!!」
一歩下がろうとした時に、地面にできた血の海で足がとられる。
しまったッッ!!
「チャンスッッ!!!!」
1号は右太もも部分に備えておいた刃渡り20cmのナイフを取り出し、俺に向かって振りかざす。
パッッキィィィィィィィン!!!!
アーシャから貰った指輪が青く光って、俺の目の前に精霊が現れた。1号のナイフを受け止めて、指でソッと撫でると、ナイフが割れる。それと同時に俺がはめていた指輪も割れた。
「なにッッ!!??」
今しかない!!!!
俺は立ち上がると同時に右足で1号の顔を回し蹴りし、体勢の崩した1号の首を狙ってナイフで斬り落とした。1号の首からツーっと血が垂れていき、頭と胴体がゆっくりと分離する。
アーシャの指輪...
俺はつけていた指を見る。地面には粉々になった指輪が落ちていた。
それどころじゃない!!先に行かないと!!
俺はみんなが戦っている最中を潜り抜けて、城壁を越えた。
やはり、前とは変わってないな...
パチ パチ パチ パチ
拍手をしながら、暗い扉の向こうから誰かが向かってくる。
「ここまで来たことに祝福しよう!!」
城の上から姿を現したのは、リブラ国王ジュゴスともう1人、芝竜人だった。
「なんで芝竜人が!?それに、あなたが...」
「まぁまぁ、落ち着きなさい。祝福だ。」
ジュゴスは芝竜人に指示を出し、芝竜人が何かを投げた。俺の方に向かってコロコロと転がってきたのは、芝大翔の頭部だった。
「はっ?なんで?」
「ネズミは排除しなきゃだろ?それに、久しぶり会えたじゃないか。」
「おと...おとうとだろ!!」
俺はゆっくりと芝大翔の頭部を抱きかかえて叫んだ。
「裏切る者は弟なんかじゃない。」
「お前のために、ひろと...ひろとは!!」
「だまれ!!もう、終わりだ。」
「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!!」
後ろから腕を掴まれる。慌てて振り返ると、ミシリだった。
「あ...」
ミシリは俺が持っていた芝大翔の頭部を見て、口を押さえる。俺はゆっくりと芝大翔の頭部を置いて、言った。
「ミシリ...離れていてくれ。」
芝竜人はゆっくりと、俺とミシリの方へ向かってくる。
「お話は終わりか?」
ニヤニヤしながら尋ねてくる芝竜人。
「お前が終わりだよ。」
右手にナイフをしっかりと握りしめて、目を閉じて数秒間息を吐く。
スパァァァン!!
地面を蹴飛ばし、芝竜人の首を斬った。
「おいおい!何してぇ...ん...だ...?」
芝竜人が首を捻ろうとした時、首が徐々にズレて地面に落ちる。
ドサッ
「すごいじゃないか!!獅子湊!!」
笑いながら拍手するジュゴスは人間ではなく、モンスター。もう、人間の領域を超えている。こんな状況で笑っているなんて狂気だ。
「ミナトー!!」
後ろからウタとマナ、ミント、ピーク数人が走ってやってくる。
「え?お父様...!?」
マナは震えながら、その場に崩れ落ちる。
「マナか...でもな、お父様なんかじゃない!!」
ジュゴスは首に手をかけて、何かを引きちぎる。
まさか...
「私の本当の顔だ...」
今までフェイスマスクをしており、本当の顔は俺が見たことのある顔だった。
「主人...」
「そうだ。思い出したか?」
すると、後ろの方から走る音が聞こえる。
「お前がぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
谷沙耶がジュゴスの方へ走っていく。
「お父さんを!!!!」
「まて!沙耶!!」
俺の呼びかけにも応じずに、ナイフを振りかざす。
「愚かな娘だな...」
ジュゴスが指をパチンと鳴らすと、後ろから小さな子供が谷沙耶を蹴り飛ばす。
「グハァッッ!!」
谷沙耶は蹴飛ばされて、頭を強く地面に打ちつける。
「あれって...まさか...」
『主人の命令は絶対。我ら、主人の駒。』
後ろから大勢の子供が姿を現し、口を揃えて言う。
「これが私の本当の!!子供たちだ!!!!」
狂ってる...狂ってる...!!!!
「マナ!!君は人間族なのに、エルフ族が使える魔法を操れるのは私の実験が成功したからだ!そもそも、君に母親なんてものと父親というものは存在しない!!」
ジュゴスは拳を掲げて娘に言った。
「ならば、私たちが親になりましょう。」
後ろからやってきたのは、エルフ族の族長、ドルボ・メルンだった。
なんで...ここにいるんだ!?
ドルボはアーシャを連れて、俺に近づいてくる。
「シシミナト様。約束を果たしにきました。」
「なんで...ここに...?」
俺が尋ねると、アーシャは俺の手を取った。
「ここにあった指輪が教えてくれたんですよ。」
アーシャは俺の目を見て言った。
「この指輪が...?」
「シシミナト様。お仲間の記憶を勝手に消してしまったことをお許しください。」
ドルボは頭を下げて謝罪した。
「べ、別にな...」
「なぜ!!エルフ族がぁぁぁぁぁ!!!!」
ジュゴスが大声で叫び出した。
「お前たち!!やれぇぇぇぇぇ!!」
その合図でジュゴスの後ろにいた大勢の子供たちが俺たちの方へ向かってくる。
「アーシャ!!」
ドルボはアーシャに指示する。
「かまえろぉぉぉ!!!!」
アーシャの合図で後ろのエルフ族たちが杖を上に向ける。
『我ら精霊を敬い、精霊を愛する。我らエルフ族は精霊の力を欲する。』
上空に緑色の魔法陣が展開する。それでも、子供たちは足を止めない。
『解除魔法!!』
上空から緑色のキラキラしたものが雪のように落ちてくる。すると、俺たちの方へ向かってくる子供たちはゆっくりとフラフラして倒れた。よく見ると、眠っている。
「クソッッ!!」
ジュゴスは城の方へ逃亡しようとする。俺はそれを見逃さず、地面を蹴飛ばしジュゴスを後ろから押さえつける。
「殺せ!!殺せ!!」
シダバタと暴れるが、力で押さえ込む。
「お前は簡単に死なせない!!」
ドカァァァァーン!!!!
いきなり俺の目の前で爆発が起きる。爆風で俺は吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「ガハァァッッ!!」
目の前がぼんやりしている。
「絶対に殺す!!」
爆発を起こしたのは、谷沙耶だった。
「獅子湊先輩。今までありがとうございました。最後まで迷惑かけてすみません。」
谷沙耶は俺に謝罪した後、ジュゴスの方へ近寄る。
「く、来るな!!来るんじゃない!!」
「絶対に...殺す!!」
谷沙耶はジュゴスに抱きつく。
ドッッカァァァァーン!!!!!!!!!!
「さやぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ミシリの叫び声と爆発音が響き渡る。俺はドルボの障壁魔法でなんとか、爆発に巻き込まれることはなかった。
「撤退するぞ!!こっちに来てくれ!!」
この声は...水葉誠か...
俺は水葉誠に担がれて、みんなが駆け寄ってくる足音が聞こえる。
ミシリは...大丈夫なのか...?
そんなことを思っていると、下から青白い光が俺たちを包み込み、どこかへ転移した。
あれから5日が経った。俺は北中穂乃果に治療をしてもらい、無事に退院することができるらしい。ミシリは左耳を抉られてしまったため再生不可能だったが、聴覚は失っていないようだ。ウタ、マナ、ミントは特に目立った外傷なく、終えることができたと聞いた。
羽尾奈美はラックキルのボス、ジュゴスと灰となって亡くなった。爆発の影響で城は崩壊し、火事が起きたそうだ。眠っている子供たちはエルフ族が保護しているらしい。それに、ギリギリ水葉誠の隠れスキル転移で避難することができて良かった。しかし、それ以来水葉誠とは会っていない。今どうしているのだろうか。
「ミナト〜!」
ウタが俺の病室に入ってきた。
「ミナトくん大丈夫?今日退院できるって聞いたけど...」
「大丈夫だよ。ありがとう、ミント。それにウタは相変わらず元気だな。」
「うへへ...」
ウタはなぜか、照れている。
「マナとミシリは大丈夫か?無理しなくても...」
「先輩、私は大丈夫です。」
「ミナトさん。ショックもありましたけど、そこまで私たちは弱くありません。」
ミシリとマナは元気そうで良かった。今日は、みんな俺の退院する準備を手伝ってくれた。北中穂乃果に最後の挨拶して病院を後にした。
「先輩...」
ミシリが俺の腕をつっついた。
「うん?」
「わ、私の名前...」
「ああ、古六詩音だな。」
「はい!」
詩音は嬉しそうに俺の前を歩く。すると、ウタが尋ねてきた。
「どうするの?ミナト。」
「ああ...俺はあまり、この世界を知らない。もっとこの世界について知りたいと思っているんだ......付き合ってくれるか?」
ウタ、詩音、マナ、ミントは顔を合わせて笑った。
『もちろん!!』
俺たちはこの世界をもっと知るために冒険していく。
それは、また別の物語だ。
〜完〜
《後書き》
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自分の思いつきから、完結も何も考えずに無我夢中に書いていました。「ここの表現どうすれば...」など詰まることは多々ありました。しかし、評価とブックマークが増える度にやる気をもらっておりました。
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『抱いていたいほど美しく輝く日々を!』
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