49:決戦
〜トーラス国軍〜
「報告します!未だ敵の姿が見られません!!」
「なんだと!?どういうことだ!!」
もう一人が指揮官の元へ走ってくる。
「報告します!ビスケス国に取り残された民によると、ビスケス国軍はリブラ国に向かったとのことです!」
ビスケス国を捨てる気なのか!?
「よし!4部隊はリブラ国へ移動しろ!!残りの3部隊は引き続きビスケス国を!!」
『はっ!!』
〜カンケル国軍〜
「トーラス国軍から伝達です!!ビスケス国に敵の姿なし!4部隊を派遣するとのことです!」
「なに?トーラス国軍は何のつもりだ!」
「ビスケス国軍に取り残された民からの情報だとのことです!!」
「スピードを落とせ。トーラス国軍が到着してから、一気に畳み掛けるぞ!!」
「了解しました!!」
〜クリオス国軍〜
「報告!!トーラス国軍4部隊はリブラ国に移動!カンケル国軍と合流するとのこと!」
「やはりか......問題ない!そのまま突き進め!!」
その後、トーラス国軍4部隊はリブラ国の北側から攻め入り、カンケル国軍は東側から攻め入る。進軍するも敵は一向に姿を現さず、リブラ国王がいる城が先に姿を現した。すると、カンケル国軍の望遠鏡を覗いていた兵が声を上げる。
「て、敵を確認!!敵は城の周りを囲っています!!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
リブラ国の国境付近に転移した俺たちは、水葉誠について行く。リブラ国とカンケル国の国境付近には川と山がある。リブラ国が始めにビスケス国を攻めたのは、この川と山を越えてないといけないカンケル国は時間と労力がかかるからだろう。すると、水葉誠が俺たちの方に手のひらを向け、待ての合図を送る。
すると、複数人の足音が聞こえてくる。少しだけ顔を出して、様子を伺う。よく見ると、旗はカンケル国のものを持っていた。水葉誠が小さな声で俺たちに喋る。
「カンケル国軍がリブラ国に攻め入っている。おそらくこれは最後尾部隊。通り過ぎてから動く。」
息を潜めて、通り過ぎるのを待った。だんだんと足音が遠くなっていくと、水葉誠は指で動く合図を送る。それに従ってついていくと、少し開けた場所に出た。そこには水葉誠と同じような格好をした人物が複数人いる。
「ここで全面協力国軍同盟の動きを見る。それ次第、私たちも動くぞ。」
「全面協力国軍同盟の動きを見るなら、もっと上の方がいいんじゃないか?」
俺は疑問に思い、水葉誠に尋ねた。
「私たちはリブラ国王のいる城さえ、見れればそれでいい。」
少しマナがビクッと震える。俺は聞きたいことがまだあるが、マナのいる前では聞けない。とりあえず、俺たちは水葉誠の指示があるまで待機する。谷沙耶は水葉誠に話があるらしく、ついて行った。
「ミナト。私たち大丈夫かな?」
ウタは不安そうな声で俺に尋ねてきた。ミシリ以外はみんな表情が暗く、自信が無くなっている。戦う決意をしたとて、いきなり戦うのには時間がいる。
「大丈夫だ。俺が出会った頃から、みんなは成長している。」
そう言っても、みんなの表情は硬い。
無理に緊張を解いてもよくないよな...てか、ドルボの件はどうすれば...
「ドルボも協力するとは言ったけど、わかってないよな...このこと...」
俺が呟くと、みんなはポカンとした表情をしている。
「どうした?」
『ドルボって誰?』
ウタ、マナ、ミシリ、ミントが口を揃えて言った。
「は?」
「ミナト君、前もなんか言ってたよね。ドルボ?の時に死神になったとか。」
ミントが思い出しながら言う。
こんな状況の時に嘘つく...か...?え?嘘だろ?
「な、何言ってんだよ。エルフ族のドルボだって!」
俺は声を震わせながら言った。
「エルフ族って...ミナト会ったことあるの?」
ウタがびっくりした顔で聞く。
「いやいや、みんな会ってただろ?」
「先輩。大丈夫ですか?」
は?ミシリまで?どういうことだ?
俺は辺りを見渡し、水葉誠を探す。まだ谷沙耶と話しているようだが、俺は立ち上がり水葉誠の方へ駆け寄る。
「誠!」
俺の声に反応して水葉誠と谷沙耶が振り返る。
「どうした?」
「エルフ族で何か知ってることはないか?」
「エルフ族?たしか、創設者は会ったことがあるとか聞いたことがある。でも、エルフ族は何年もの間、姿を現してない。おそらく、絶滅しただろうな。」
「は?」
「今はそんな戯言に付き合ってる場合はないんだ。すまないな。」
水葉誠は谷沙耶との会話に戻った。
なんで...どういうことだ...
俺の手にはアーシャからもらった綺麗な指輪がはめてある。忘れるわけがない。心配になったのか、俺の元にウタたちが駆け寄ってくる。
「ミナト。大丈夫?」
ウタは心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
「ごめん、大丈夫。俺の記憶違いみたい。」
俺は笑いながら、元場所にみんなで戻った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
〜カンケル国軍〜
「トーラス国軍が到着しました!!」
「おう!一気に畳み掛けるぞ!!いけぇぇぇぇ!!!!」
指揮官の合図によって、カンケル国軍は城の方へ攻め込む。トーラス国軍もその合図で少し遅れて動き出した。
城の周りにいた兵は動き出し、2方向からの攻撃が始まる。
「つぶせぇぇぇぇぇぇ!!」
「やられるなぁぁぁぁ!!」
「ころせぇぇぇぇぇぇ!!」
城の周りは戦場となり、一瞬にして血の海をつくった。優勢なのは、全面協力国軍同盟。徐々に城の方へと攻め込んでいく。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「全号を出せ。」
「ぇ...?」
「あまり駒を無駄にしたくない。」
「ですが、2号は...」
「2号は出さなくていい。」
「...了解しました。」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「今、始まった。すぐ撤退するだろうから、準備しといてくれ。」
水葉誠は俺たちにそう言って、仲間の方へ戻っていった。
「みんな大丈夫か?」
尋ねると、強張りながら頷いた。不安でしかない。でも、もう引き返せない。
「最後までやりきるぞ!」
俺はみんなの目を見ながらそう言った。
最後まで読んでいただきありがとうございます!!
明日、50話で完結します。




