48:ピーク
「なんでこんなに増えてんのよ。」
北中穂乃果はドスのきいた声で俺に言ってくる。怖くて顔を合わせられない。
「その...仲間...なんですよ...」
「はぁ...」
小さなため息をついた後、部屋の奥から椅子を取り出してくれた。ウタたちはしっかりとお礼を言った後、椅子に座る。そのタイミングで窓から谷沙耶が入ってきた。
なんで窓からなんだよ...
谷沙耶は俺たちの方を綺麗に二度見した。北中穂乃果と同じことを思っているだろう。谷沙耶は北中穂乃果の隣に座って俺に尋ねた。
「この方達は...?」
「俺と詩音の前世を知ってる...旅仲間です...一緒に話をと思いまして...」
「あー...多分、大丈夫だと思います...」
うん、これダメかも。流石に5人は多すぎたか...
谷沙耶曰く、もうすぐ来るということなので大人しく椅子に座って待つ。すると、谷沙耶と同じように窓が開いた。その姿は全身真っ黒の布で覆われており、目だけが出ていた。
に、忍者だ...!
謎に俺とミシリは心の中でそう思った。
「こんなにいるとは聞いてないぞ、沙耶。」
その人物はそう言いながら、谷沙耶の椅子に腰を下ろした。
「私もですよ...」
「まぁ...いいが。私は、水葉誠。それで獅子湊だな?」
俺を見る水葉誠の目はナイフのように鋭かった。この人物はただ者ではないと、すぐにわかる。
「ああ...そうだ...」
「沙耶からいろいろ聞いている。私たちは、この世界の平和を望む者たちが集う『ピーク』という組織だ。ピークの大半は、転移者で構成されている。そこでだ、獅子湊。ピークに入らないか?」
「入らない。もう、組織とか信用していない。俺たちはただ、ラックキルを潰すことが目的だ。」
「そうか、すまない。さっきのことは、忘れてくれ。だが、その目的が達成したら、今後はどうするつもりだ?」
「そんなことは、目的が達成された後に考えればいい。そもそも、ラックキルを潰すのはもう少し時間がかかるだろ?」
水葉誠は腕を組み直して再度、俺と目を見て言う。
「何も知らないんだな...深夜、"全面協力国軍同盟"がビスケス国、リブラ国に攻めいる。」
水葉誠の発言に全員の心臓を大きく動かせた。
今日、国兵を見かけたのはそういうことだったのか...!
「どこでその情報を!?」
隣にいた谷沙耶は水葉誠の肩を揺らす。
「言えない。だが、この情報は極秘だ。つまり、そういうことだ。」
おそらく...この情報は、国民は知らない。ラックキルに対して奇襲をかけるつもりだろう...
「ピークは全面協力国軍同盟が撤退すると同時に攻め込む。」
「ピークと全面協力国軍同盟は繋がっているのか?」
「繋がっていない。全面協力国軍同盟は最後の最後まで抗ってもらう。」
「それだと...」
「それだと、多くの死者出る。」
俺の心を読まれた!?
「しかし、獅子湊。戦いにおいての死は付きものだ。」
「ピークはラックキルに勝てると思っているのか...?」
「...100%負けるだろう。だから——」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ビスケス国にいる兵をリブラ国へ輸送が完了しました。」
「そうか。城の周りに兵を配置しろ。」
「了解しました。」
「全面協力国軍同盟が攻め込んでくる。指揮はお前に任せる。」
「...了解しました。」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
〜トーラス国軍〜
「報告します!配置が完了しました!」
「よし!クリオス国軍の合図があるまで士気を高めておけ!」
〜カンケル国軍〜
「配置が完了致しました!!」
「おう。クリオス国軍の合図があるまで殺気を放っておけ!」
〜クリオス国軍〜
「報告!!全国軍の配置完了とのこと!!」
「ふむ...合図を出せ!!!!」
指揮官の声と同時に空に一本の細い光が放たれる。
トーラス国軍とカンケル国軍は合図によって、国境を越える。トーラス国軍は二手に分かれ、リブラ国とビスケス国を攻め、カンケル国軍はリブラ国、トーラス国軍はビスケス国を攻める。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「——獅子湊の隠れスキルが必要だ。」
「俺の隠れスキルを知ってるのか?」
「私が持っている隠れスキルは解析だ。獅子湊のステータスを見させてもらった。このステータスは、ピークの創設者と似ている。俺たちには攻撃力や防御力、HP、MPなどが表示されるが、獅子湊には表示されていない。」
俺は唾を飲み込む。
「隠れスキル『死神』」
『し、死神!?』
この場にいた全員が口を揃えて驚いた。
「み、ミナト!隠れスキルって暗殺者じゃないの!?」
ウタは声を震わせながら尋ねる。
「前までは暗殺者だった。だけど、ドルボの時に強化されたんだ。黙ってて悪かった...」
俺は頭を下げて謝罪した。すると、水葉誠は急に立ち上がる。
「今からリブラ国へ行く。用意してくれ。」
『い、今から!?』
「正気か!?国一つ越えないといけないんだぞ!!そんなの無理に決まってる!」
俺は声を上げて、水葉誠に言った。
「隠れスキル転移。」
「は?」
「私は隠れスキルを2つ持っている。」
隠れスキルを2つ!?
「まぁ、そんなことはどうでもいい。それに、北中穂乃果。君はこのまま病院に残って置いてくれ。」
「そのつもりよ。言われなくてもわかってるわ。」
「ならいい。それ以外は外に出てくれ。」
俺たちは言われるがまま、外に出た。外は少し肌寒かった。北中穂乃果は少し離れたところで俺たちを見ていた。
「私の周りに集まって。隠れスキル...転移。」
下から青白い光が湧き出て、俺たちは一瞬でリブラ国の国境付近に転移した。
最後まで読んでいただきありがとうございます!!
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