45:谷沙耶
前世、俺と同じラックキルに所属していた!?でも、俺の記憶には谷沙耶という人物はいない。ということは、偽名を使っているのか...?
「そ、それはどういうことだ?」
「そのままの意味よ。あなたとも任務を遂行したことがあるとか言ってたわよ。」
「嘘だろ...そ、その谷沙耶って...」
「ちょうど、明日来るわ。」
北中穂乃果は紙に時刻をメモする。
は、話が早すぎる...でも、谷沙耶...一体何者なんだ...
「はい、これ。」
俺は軽く頭を下げながら受け取った。この後、北中穂乃果はまだ仕事があるらしく、部屋から出て行った。ここに長居する意味はないため、受付の方にお礼を言って病院を後にした。
にしても谷沙耶...俺のことを知ってて、ラックキルが裏にいるのも知っている...どうやって知ったんだ...
考えながら宿に戻っていると、良さそうな飲食店を見つける。ウタたちは旅の疲れもあるだろうし、今日は早めの夕食にして、体を早めに休めた方がいい。
「ご飯いくぞ〜。」
部屋に着くとウタたちは寝ていた。着替えもしていることから、先に風呂に入ったのだろう。なんか、申し訳ない。俺はシャワーを浴びて寝ることにし、服を脱いでシャワールームの扉を開ける。1人分のスペースしかなく、とても狭い。
てか、明日は朝早いなぁ...
北中穂乃果からもらったメモを思い出す。夜明け前に来てっていう曖昧なメモで、早く行かないといけない。そもそも、そんな早くから北中穂乃果がやっている病院は開いていない。
明日、どこから入ればいいの...?
シャワーを浴びた後、用意されている寝巻きに着替えた。ベットに入って目を閉じるも、早すぎるのが原因なのか、なかなか寝付けない。何度か寝る姿勢を変えてみても変わらなかった。体は疲れているはずなのに。
「先輩、大丈夫ですか?」
いきなり、ミシリが小さな声で俺に尋ねてきた。
「あ、す、すまん。うるさかったか?」
「いえ、先輩が帰ってくる前に起きてましたよ。」
「そ、そうか...」
すると、ミシリはゆっくりと起き上がって俺のベットに入ってくる。
「え!?ちょっ!」
ミシリは人差し指を口元に添える。俺は何を考えて入ってくるのかが、さっぱりわからない。
「ど、どうした?」
「ふふ。ところで、先輩の目的は果たせたんですか?」
「ま、まだだよ。ところでさ...明日、一緒に来てくれないか?」
「え?」
ミシリは目を点にする。
「嫌ならいいんだ。出るのは夜明け前で早いし...でも、ミシリにも知ってもらいたくて...それに、ミシリも元ラックキルだし...」
「先輩のお願いなら、行きますよ。」
微笑みながら俺の目を見て言った。すぐに目を逸らしたが、顔がだんだんと熱くなっていくのがわかる。少し落ち着いてからゆっくりとミシリの方に目を向けると、気持ちよさそうに眠っていた。その姿を見ていると、急に眠気が襲ってくる。俺は気がつけば眠っていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「先輩、起きてください。」
体を揺らされて、目が覚める。窓の方を見ると、まだ真っ暗だった。ミシリはすでに着替えて、いつでも出られる状態だった。
「お、おはよう...すぐ、準備するよ。」
俺はさっと起き上がり、顔を洗って寝巻きから着替える。その間、ミシリは外の様子を伺っていた。ベットの方に目を向けると、まだウタたちは寝ている。お金と昨日、見つけた飲食店の名前を紙に書いておいた。
「行けるか?」
支度を終えた俺は、ミシリに尋ねる。
「はい。行きましょう、先輩。」
宿から出て、北中穂乃果がやっている病院へと向かう。病院に着くと、ドアの取手部分に紙が結ばれていた。それを手に取り、紙を広げる。
開いてるから、昨日と同じ部屋に入ってきて。
穂乃果より
達筆な文字で書かれたメモ通り、ドアは開いていた。中は薄暗く、なんとか手探りで部屋に着く。ミシリと俺は椅子に腰を下ろして、北中穂乃果を待った。数分ぐらい待っていると、扉の向こうから足音が聞こえる。ミシリは怖いのか、俺の腕を優しく掴む。
「ごめんね。待ったかしら?」
『うえ!?』
片手にランプを持ちながら入ってきたが、その姿が下着姿だった。片手に持っていたランプをテーブルに置いて、俺の対面に座る。
「な、なんでし、下着姿なんですか!?」
「え?私は寝る時、裸よ。」
「は、はだゃか...」
頭から湯気を出しながらミシリはテーブルに伏せた。
「まだ、あなたたちには早かったかしら。」
ニヤニヤしながら俺の目を見て言ってくる。俺は慌てて、上着を北中穂乃果に被せた。
「お、俺も男ですよ。少しは気にしてください...あと、風邪引きますよ...」
「そう...案外優しいのね。」
北中穂乃果は俺から受け取った上着に腕を通した。少し落ち着こうと椅子に座ろうとした時、背後から気配を感じて、反射で姿勢を低くして回し蹴りをしてしまった。
「きゃっ!」
大きな声を出しながら、尻餅をつく。すると、北中穂乃果が大きな声で言う。
「ちょっと!その子が谷沙耶よ!」
「え!?す、すまん!つい、反射で...」
俺は慌てて手を差し伸べると、手を掴んで言った。
「さすがですね。獅子湊、いや、死神さん。」
窓から少しずつ、光が差し込む。
「お、お前...」
窓から差し込む光が谷沙耶の顔全体を照らす。
俺の目に映ったのは、No.8073だった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!!
明日も投稿予定ですので、よろしくお願いします(*゜∀゜*)




