39:主人
湊の視界が真っ暗になった時のお話です。
(38話の始め、湊の部分に繋がります。)
助けてくれ...ミシリ...ウタ...マナ...ミント...
俺は目の前が暗くなった瞬間、目の前が徐々に明るくなり、ゆっくりと視界がはっきりとしてくる。
ここは...どこだ?
視界がはっきりした頃には謎の研究室のような部屋にいた。目の前には柵があり、その柵にうっすらと自分が映る。
これは俺なのか?よく見えないな...
「No.0001 成功率は徐々に低下しています。」
「何故だ?原因は?」
「本人による拒否反応です。私たちでは、どうにもなりません。」
「関係ない。無理やり遂行しろ。」
「で、ですが...」
「壊れたならそれまでだ。また、作り直せば良い。」
「了解...しました。」
顔がよく見えないが、二人のやりとりを俺は上から眺めていた。
何が起きているんだ...あの二人は何者なんだ?
二人は会話を終えると、一人は部屋から出ていき、もう一人の研究者らしき人物はパソコンを操作している。早いタイピングで何かを入力している。
それに...No.0001って誰だ?そんな番号のやつなんて俺の時はいなかったぞ...
何かを入力し終えた後、研究者らしき人物が背を伸ばした。その時、俺に気がついた。
「あっ」
目が合う。
「なんだ、また、君か?」
俺は意思に反して勝手に階段を降りて、その研究者らしき人物の方に近づいた。
「抜け出したらいけないだろ?まったく...今日も見せてやろうか?」
顔に黒いモヤがかかって見えない...それに見せる?なんのことだ?
「相変わらず反応しないな〜ほれ。」
そう言って研究者らしき人物が自分の脇に両手で掴み抱っこする形でどかに向かった。わからないまま、連れて行かれた先は外だった。どうやら、ここはどこかの屋上のようだ。
「あちゃー。今日は曇りかぁ...」
空を一緒に眺めるも、曇りで夜空を見ることができない。
「残念だね。また、次の日見ようか...てか、勝手に抜け出しちゃダメだぞ!」
笑いながら、軽く叱る。
これは一体なんなんだ...訳がわからない。
「今日は戻ろう。」
そう言って研究者らしき人物はまた俺を抱っこして連れて行った。
何も動かせない。ただ、勝手に体が...これは過去の記憶か...?いや、俺にはそんな記憶がないぞ...
「さぁ、布団に入るんだ。」
俺はもう一度、意思に反して入らないように試みたが、無意味だった。
「おやすみ。良い子でいるんだぞ。」
そう言って部屋から出て行った。周りには他の子が寝ている。
今、俺の視点は昔の俺なのか...それとも、別の人物なのか...今の情報だけでは何もわからない。ただ、自分の意思で声も出せない...動けない...
ただ決められたルートに沿って動いているのかようにも感じられる
その時、いきなり大きな爆発音とともに部屋が大きく揺れ出す。
な、なんだ!?何が起こってるんだ!
俺は勝手に起き上がり、扉の前に立った。扉の向こう側は騒がしく、何かが起きているのは間違いなかった。何が起こっているのか知りたいが、動けない。その時、後ろから肩を叩かれた。振り返ると、そこには周りで寝ていた子が全員起き上がって俺の方を向いていた。俺の肩を叩いた子がゆっくりと喋り出す。
「だめだよ...勝手に抜け出しちゃ...ルールだよ。」
全員が俺の方を表情なく見ている光景に不気味さを感じた。そして、目の前にいる全員が喋り出した。
『主人の命令は絶対。我ら、主人の駒。』
何を...言っているんだ...主人?
その時、俺の後ろにある扉が開いた。振り返ると、さっき研究者らしき人物と話していた人物が立っていた。
「避難しろ。今すぐだ。」
『はい、主人。』
その人物は俺の方をジッと見つめているのだろうか、顔に黒いモヤがかかって見えない。
「返事は?」
「......はい、主人。」
そう言うと、素早く立ち去った。立ち去ると、すぐに全員が部屋から出ていき避難した。それにつられるように自分も避難する。自分と同じようなぐらいの子が他の部屋からも出てきて避難している。
俺たちは一体...なんなんだ...この体も、あの爆発も...何が起こっているんだ...
避難をしている最中、さっきまでいた研究室らしき部屋の前を通った。そこには人が群がっており、その人と人の隙間から部屋の状況が伺えた。そして、俺の目に映ったのは
両腕を失い、服が血で染まっている
夜空を一緒に見ようと抱っこしてくれた研究者らしき人物だった。
最後まで読んで下さりありがとうございます!!
投稿が遅くなってしまい申し訳ありません。
40話は来週の土曜日18時頃に投稿予定です。
よろしくお願いします。




