38:死神
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『解除成功』
『隠れスキル暗殺者の強化を行います』
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......
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『強化成功』
『隠れスキル暗殺者から死神』
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そこで俺の意識は途絶えた。目の前が真っ暗になり、人格が乗っ取られたことを悟った。この暗闇から抜け出したい。みんなと会いたい。
助けてくれ...
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「いきなりどうした...ブラザー...」
レオはふらふらになりながらも、湊の様子を伺う。湊は立ち尽くしたまま、ゆっくりと息をしていた。
「おい...降参か?」
話しかけても魂が抜けたように反応がない。遠くから見れば、立ったまま死んでいるように見える。レオは嫌な予感がし、湊との距離をとる。
距離をとって湊の様子を見ている時、レオの左手に何かが流れてきた感覚があった。レオは手を確認すると、左手は血で真っ赤に染まっていた。
「は?」
レオはどこから出血を確認するため、右手で出血箇所を探る。手首、腕、肩。出血箇所が見当たらない。そして、ゆっくりと首の方へ右手を持っていくと、首に深い溝があった。その瞬間、レオの目の前にさっきまで死んだように立ち尽くしていたはずの湊が現れる。
「いつのまッ...」
ゆっくりと視点が左の方へズレていく。やがて、レオの視点は地面に落ちた。何が起きたのかわからず、ゆっくりと視点がおぼやけ、真っ暗になった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
私にもっと体力があれば...技術があれば...
ミシリは湊に退避の指示を受け、戦場から離脱した。少し戦場から離れた河川付近で傷の手当てをした。傷といっても大した傷ではないが、服を破り傷口を保護する。
なんで、あの時退避の指示を出したんだろう...やっぱり私の力不足かな...
川の音を聞きながら、心と体を休める。
先輩...大丈夫だよね...いつもマナさんに魔法...違う...
ミシリは湊がマナに精霊魔法をかけていないことに気がつく。思考より先に体が動く。すぐに湊の方へ向かった。戦場からはそんなに離れていないため、すぐに戻ってこられることができた。
そこでミシリが目にしたのは、立ち尽くす湊とふらふらしているレオの姿だった。今の状況がどうなっているのかが理解ができなかった。
かと思えば、立ち尽くしている湊はゆっくりと呼吸し、落ち着いている。
「いきなりどうした...ブラザー...」
ここから見ている限り、優勢劣勢はない。
「おい...降参か?」
レオはそんなことを言いつ、距離を取る。その時、湊は瞬時に小型ナイフを拾って投げる。その動きは速すぎて湊の残像が見える。ミシリはかろうじてその動きを読み取れた。
レオの首からは血が垂れ流れている。首を斬られたことに気づいていないのか、血が左手まで流れ落ちると、気づいた。そして、湊はありえないスピードでレオとの距離をつめ、ナイフで首を斬った。ゆっくりと、レオの頭は落ちた。
あれは...本当に先輩なの...?み、みんなに知らせないと!
ミシリは自分たちが泊まっていたエルフ族の本部の方へ気配を消しながら向かった。裏から回り込んで知らせるため遠回りするが、敵に見つかれば足止めを喰らう。今はそれどころじゃない。
本部の裏に回って侵入したが、抜け殻状態だった。部屋中探し回ったが、誰一人いない。
みんな逃げた?でも、どこに...?
その時、本部の中を通ってエルフ族の負傷者を運ぶ看護師に遭遇した。
「あなたは...」
「ミシリです。マナさんは?」
「ああ、転移者様の仲間の方...それなら、この建物の裏口から真っ直ぐ奥に避難されております。」
「ありがとうございます。」
そう言って、裏口から真っ直ぐ走った。走っていると、奥から灯りが見える。無我夢中に走った。
「あ、あなたは!?」
灯りに近づくと、エルフ族の兵の人たちがミシリのことにら気がつく。マナたちを呼ぶようにミシリは指示して、奥からマナが出てくる。
「ミシリさん!」
「ま、マナさん!ま、まずいことに...」
息を切らしながら湊の状態を説明した。マナ自体もこんなことは初めてであり、どう対応するべきなのかわからなかった。ウタとミントの顔は常に曇っていた。
「ミシリさん。案内してください。ウタさんとミントさん。ここ任せても大丈夫ですか?」
「...ええ。わかったわ。ミナトをお願い。」
「マナさん。お願いします。」
ミシリはマナを連れて湊の元へ向かった。
最後まで読んで下さりありがとうございます!!
39話は再来週の土曜日18時頃に投稿予定です!!




