35:No.5640
そんなことを考えているうちに、部屋の前に着いていた。
とりあえず、荷物とか置いて、アーシャを探すか...
俺は部屋のドアを開けて、部屋に入った。すると、ミシリがベットで寝ていた。ミシリだけ寝ているのか疑問に思ったが、起こさないように静かに荷物を置いた。そして、逃げるように部屋から出ようとすると、
「なぜ声かけないのですか?」
と言いながらベットから体を起こす。
「寝ていたから、起こさないようにと...」
いや、寝ている人に対して普通、声かけないよっと心の中で思ったが、ミシリは何か尋ねてほしいそうな目で俺を見ていた。俺はそれを察して尋ねる。
「ど、どうして寝てるんだ?」
「先輩のことが心配だからですよ。」
「いや意味がわからないんだが...」
俺が困惑していると、ミシリが指で椅子を指す。
座れってことなのか?本当にどうしたんだ...
俺はミシリを本当に心配しながら、ミシリが指す椅子に座った。
「やっぱり...あ、あのh...」
ミシリは俺に何か言いたいことがあるらしいが、聞こえない。言葉が詰まっている。
「どうした?本当に体調でも悪いのか?」
俺がそう聞くと、ミシリは下を向きながら
「本当に一人でやるつもりなんですか?」
やるって...明日のことか...
「ああ、そのつもりだし、みんなはここで待っていてくれ。」
「どうしてなんですか?」
「どうしてって...できるのは俺しかいないし...」
「私たちでは力不足なんですか?」
ミシリの口調が少しずつ強くなっていく。
「力不足っていうか、俺にしかできないんだよ。」
「そうですか...やっぱり"あの日"のことが原因なんですか?」
俺はその時、後頭部を殴られたような感じがした。
「あ、あの日って...何のことだよ...」
自分でもわかる。酷く動揺している。
「とぼけないでください!!No.8073のことですよ...」
俺は何も言えなかった。俺が考えていた"あの日"というのはミシリが言ったことと同じだったからだ。
「先輩は"あの日"から変わりましたよね。何もかも危険なことは自分一人でやって...」
ミシリは布団をギュッと握った。
「そうだな...」
「そうだなって何なんですか!!仲間を信じてないんですか!!」
「信じているに決まっているだろ...」
「信じてたら!!信じてたら!!どうして...仲間に不安を打ち明けないんですか...」
俺は下を向くことしかできなかった。
「みんなは心配しているんですよ...先輩が不安であることも知っているんです...」
「...わかった。みんなを集めてくれ。」
ミシリはベットから降りて、部屋から出ていった。
確かに俺は不安でいっぱいだったかもしれない。本当に一人でできるのか、仲間に手伝ってもらうことはできないのか。色々考えていたが、"あの日"のことが忘れられずにここまできてしまった。それに、ケルンは俺のせいで体が麻痺している。今も苦しみながら生活している。
忘れることは絶対にできない。この世界でも一人、大切な仲間を失った。これ以上、大切な仲間を失いたくない。でも今更、言うなんて...都合が良すぎる...
そう考えていると部屋のドアが開いて、ミシリが
「来てください。みんな待ってます。」
と言って俺は立ち上がり、ミシリについていった。その時はついて行く足がとても重く感じた。
ミシリについて行くと、作戦を立てた部屋の前についた。ミシリが扉を開けると、ウタ、マナ、ミント、アーシャが座って待っていた。
俺は椅子に座って話した。"あの日"のことを。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
みんなの表情は暗かった。作戦決行の前日にこんなことを話すべきではなかったと思った。
誰一人も喋らない。ゆっくりと時間だけが進んでいく。しかし、
「私が作戦に加わります。」
とミシリが言った。
「ミシリって魔法系だし...できるの?」
ウタが不安そうに言った。
「実は昔、少しだけ教わったことがあるんです。」
みんなはミシリを心配した。この中でも一番小柄で、力が弱いからだ。
「いいですか?」
ミシリは俺の方を見て言う。こんなことを話したからには断れない。
「よろしくお願いします。」
俺は頭を下げた。そして、俺が顔を上げるとミシリは嬉しそうな顔をしていた。
ミシリが今回の作戦に加わるため、一から作戦を練ろうとしたが、ミシリはあらかじめ作戦を用意していた。前の作戦よりもミシリが用意した作戦の方がよかった。いつから用意していたのかわからなかったが、これはミシリに一本取られたような気がした。
その後はアーシャに頼んで、体を動けるような場所に案内してもらい、ミシリと一緒に少し体を動かした。動かした後、ミシリに武器屋で買った短剣二つどちらかを選んでもらった。ミシリは両方手に取り、比較的に軽くて扱いやすそうな短剣を選んだ。
その短剣を使って実際に俺を倒すように指示した。もちろん、カバーをつけて。やはり、前世暗殺者だったこともあり、短剣の使い方を知っている。これなら、ミシリに任しても大丈夫な気がした。
「もう終わろう。」
気がつけば、もう日が暮れそうだった。
「そうですね。ありがとうございます、先輩!」
ミシリは笑顔で言った。
「こちらこそ本当にありがとう。明日はよろしく頼む、No.5640。」
今はミシリと二人きりであるため、昔のミシリの呼び名で言った。
「こちらこそよろしくお願いします、先輩。いや、◯◯◯◯様」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「無事に帰還されることを願っています。ミナト様。」
エルフ族の族長、ドルボ•メルンが言う。
「ああ。行ってくる。」
湊とミシリ、数人のエルフは盗賊のアジトへ向かった。
最後まで読んで下さりありがとうございます!!
36話は来週の土曜日18時頃に投稿予定です!!




