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33:準備

ガチャ


扉を開けると案の定、ウタ、マナ、ミシリ、ミントが顔を顰めながら待っていた。


「た、ただいま...」


『何してたの!?』


「おかえり」とかそういうのはなく、朝から大きな声を出して俺に詰め寄ってくる。


「朝から散歩してただけだよ。」


「アーシャとどこ行ってたのよ。」


ウタは初めから俺とアーシャが散歩していることを知っているように話す。


「どこって...この町を案内してもらってただけで...」


そう言っても彼女たちは俺の顔をジッと見ている。


「とにかく、みんな身支度してくれ。アーシャが今、朝食を用意してくれている。」


俺がそう言うと、彼女たちはゆっくりと身支度をした。なぜ、こんなに束縛行為をされているのかが、俺にはわからなかった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「ご馳走様でした。」


俺はアーシャが用意してくれた朝食を早く食べて、紹介してくれた武器屋に向かうことにした。一方、ウタたちはゆっくりと朝食を食べている。


「今からどこに行かれるのですか?」


みんなより早く食べて疑問に思ったのだろうか、アーシャが話しかけてきた。


「ああ、明日のために準備しようと思ってな。朝食ありがとう、美味しかったよ。」


俺がそう言った時、ちょっとだけアーシャの顔が赤くなったような気がした。少しは気になるが、武器屋に向かった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


朝、アーシャに教えてもらった武器屋に行くと開店していた。店の中に入ると、周りには良い武器が揃っていた。


さすが、アーシャだな。


俺は心でそう思って店内を見回った。俺が求めている武器は短剣だ。欲を言えば銃が欲しいが、この世界には銃というものが存在しない。今回、どれだけの人数を相手にするのかがはっきりとはわかっていないが、刃こぼれが簡単にしない短剣が欲しい。


短剣を見ていると、後ろから肩を叩かれた。振り返ると、店主らしき人が俺の後ろに立っていた。


「転移者様ですか?」


唐突な質問にびっくりしたが、エルフ族の長い耳を持っていない俺が転移者だとわかったのだろう。


「そうだが...」


「どうか、私の娘を助けてください。」


どうやら、俺が今回盗賊を排除することを知っているようだ。


「なぜ、それを...」


いや、そりゃそうか。エルフ族は人間族に隠れて生活をしている。人間族の分類である俺がエルフ族の隠れ家に入れるわけない。族長が自ら俺たちのことについて話しているに決まっている。


「いや、安心してくれ。俺が娘さんを助けてやる。」


そう言うと、店主は涙目になりながら感謝をして、おすすめの短剣を教えてくれた。


「じゃー、この短剣とその短剣をくれないか?」


俺はそう言って、ポケットからお金を出そうとしたが、


「お代は結構です。娘を助けてくださるのですから。」


店主はそう言った。


「いや、でも、こんなこと言うのもあれだが、100%助けられるわけじゃないんだ。」


「わかっております。ですが、この盗賊問題を解決できるのはシシミナト様以外いません。それにここでは人間族が使っている硬貨は使えませんから。」


と店主が言った。


「そうか...ありがとう。」


俺はそう言って2つの短剣をもらった。


「あと、何かあった時はこれをお使いください。」


そう言って店主が俺に差し出してきた。銀色の紙らしきものが丸められている。


「これは...?」


「これはスモークという物です。このスモークを地面に叩きつけると大きな爆発音とともに白い煙が舞い上がります。危険を感じた時、逃げるための物です。」


「こんな物まで...」


俺は受け取ることに躊躇したが、


「どうか受け取ってください。シシミナト様なら使う機会がないかもしれませんが...」


用意してくれた物だ。いざとなった時、使うかもしれない。ここは素直に受け取ろう。


「本当にありがとう。」


俺は頭を下げて店を後にしようとした時、


「それに言い忘れていましたが、このスモークから出てくる煙は吸わないようにしてください。煙の中に体を麻痺させることができる物が入ってます。どうかご無事で...」


店主はそう言いながら頭を下げた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「どうしたんだろう、ミナト...」


ウタが食事を終えた後、みんなに聞こえるように言った。


「ミナトさん。最近、不安というか、なんかよそよそしいですね。」


ウタに続けてマナが言う。マナも湊の様子を気にしていた。


「やっぱり、一人で作戦実行することが不安なのでしょうか...それに関係あるのかは分かりませんが、ベット使っていいって言った時も、遠慮してましたし...」


ミントは昨日の湊の様子を思い出しながら言う。


「ミシリはどう思うの?」


ウタがミシリに話しかけた。


「私は...みんなを危険に晒したくない、心配させたくないとかそういう思いがあると思う...」


ミシリは顔を下に向けながら言う。


「なんかミナトさんを元気つけたいというか、少しでもいいからミナトさんの力になりたいですよね...」


みんな話を聞いていたアーシャが言った。みんな同じことを考えていた。今回の作戦は湊一人で実行し、救助まで全て湊に任せっきりだ。最初はみんな湊の負担を考えて、救助は手伝うことにしていた。


しかし、湊は「救助の時が一番危険なんだ。それに、みんなは隠れスキルを持っていない。体術もあまり身につけてないだろ?」と言い返した。湊はいつも真剣で湊の言うことは間違いなかった。だから、誰も言い返すことができなかった。


その後、どこから侵入するとか、どう救助するとか、そのようなことぐらいしか手伝うこと、助言することしかできなかった。それがみんなの心の隅で少しざわつかせていた。


「でも、湊は私たちを作戦の中に入れる気ないです...今から言ってももう...」


ミシリはわかっていた。前世の記憶を思い返しても、湊は一番に仲間のことを考えていた。無愛想で突き放すようなことをしていたが、一番気にしていた。


やっぱり、前世起こった"あの日"のことを引きずっているのかもしれない...


ミシリはそう考えていた。

最後まで読んで下さりありがとうございます!!

次の34話は明日の日曜日18時頃に投稿予定です!!


自分が連載できていない時にブックマークや評価が上がっていてとても嬉しいです!!ありがとうございます!!

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