30:エルフ族
針を放った者はエルフだった。耳が長く綺麗な姿。
「な、なんでここにエルフがいるんだ...?」
俺は驚きのあまり、体が固まってしまった。
川の向こう側にいるエルフは川の上を歩いて俺たちの方へ向かってくる。よく見ると、エルフが歩いている川の一部が凍っている。
「初めまして。エルフ族、指揮官を務めています。アーシャ•メルンと申します。」
そう言うと、アーシャは指で誰かに合図する。すると、俺たちの周りからエルフたちが出てくる。
ま、まさか...囲まれている!?
「盗賊の者と闘っていらっしゃったので盗賊の者ではないでしょうが、少し気になることが一点ございます。」
アーシャが淡々と俺に話す。
「な、なんだ?」
「さっきのスキル?というのはなんなのでしょうか?」
「ッ!?」
俺が使ったスキルを見られていた!?いや、俺のスキルはそう簡単に見破られないはず...
「答えないと...いけないのか?」
「はい。答えないのであれば...敵とみなします。」
アーシャの雰囲気が一気に変わった。本気のようだ。
「先輩。エルフの指示には従った方がいいです。」
ミシリが小声で俺に言ってくる。
「なんでだ?」
「それh...」
シュン!!
俺の肩に尖った氷がかすった。
「グッッ!!」
「なぜコソコソと喋っているのですか?」
まずい...それに強い...
「お、俺は別の世界からきた転移者だ。それで、転移者の中には隠れスキルというものが付与されることがある。それで俺は運良くそのスキルが付与された。」
「あなたはどのような隠れスキルをお使いになるのですか?」
「俺の場合は暗殺者だ。攻撃力と防御力が上がるんだ。」
俺たちを囲っているエルフたちがざわつく。
「そうですか...」
アーシャは何かを考えているようだ。
「俺からも聞きたいことがある。」
俺はアーシャが何かを考えている様子をチャンスだと思い、問いかける。
「なぜ、エルフがここにいるんだ?」
「それは、同族を助けるためです。」
同族を助ける?この盗賊たちはエルフ族の者を拉致していたのか?
「ここで話すのもあれですから。私たちの隠れ里に来てみてはいかがでしょうか?」
アーシャからとんでもない提案が出されてた。しかし、ここで行かないと言うと、何されるかはわからない。それに、こんだけ強いエルフが仲間になってくれるかもしれない。ついていく価値はある。
「わかった。行かしてもらおう。しかし、俺の仲間に手は出すな。俺たちも決して出さない。」
「わかりました。」
アーシャはニコッと笑顔になる。どこかマナに似ているような気もするが...
アーシャは仲間に指示を出したりしてしている。その間にウタとマナ、ミントが俺の方に寄ってくる。
「ミナト。本当に大丈夫なの?」
ウタが心配そうに聞いてくる。
「仕方ない。ここはミシリの言う通り、アーシャという者に従うしかない。」
指示を出し終えたアーシャが俺の方に向かってくる。
「ではご案内致します。」
そう言ってアーシャは指を鳴らす。鳴らした直後、辺りが眩しく白く光って、気がつけば移動していた。
「ここは応接室です。そこにお掛けになってください。お茶を淹れますので。」
俺たちはアーシャの指示に従って腰掛けた。そして俺は周りを見渡す。応接室にしてはあまりにも豪華すぎるような気がする。豪華な絵画や置き物がある。
エルフ族ってこんな感じなんだ...
そんなこと考えていると、アーシャがお茶を淹れてくて出してくれていた。
「改めて名乗らせていただきます。エルフ族、指揮官を務めております。アーシャ•メルンと申します。あと、肩の方は...」
丁寧に挨拶してくれる。
「だ、大丈夫です。俺は獅子湊です。それで俺の仲間のウタ、マナ、ミント、ミシリです。」
ウタたちは頭を少し下げて、挨拶をする。
「さっきのお話の続きですね。」
「あ、ああ」
そうしてアーシャは話し出した。
「実は最近、エルフが拉致されたのです。それで、拉致した者を探し出したところあの盗賊だとわかったのです。」
「なぜ、拉致なんか...」
「その意図がよくわからないのですが、言うとしたらエルフ族が操る精霊魔法を悪用するためだと思います。」
「そんなことできないはずよ。」
黙っていたウタが強い口調で言う。
「これは私たちの考察です。しかし、あの魔法は精霊魔法操るエルフ族のみが使える上級魔法です。」
「その魔法っていうのは?」
「それは制御魔法です。実際にウタさんは確かあの時、魔法を使えていませんでした。」
どこから見ていたんだ...そんな視線は感じなかったのに...
「だからウタは使えなかったのか...」
俺は少し納得できた。
「ミナトさん。どうして盗賊と闘っていたのですか?」
俺はアーシャからの質問に対して、細かく経緯を話した。俺たちがクリオス国に向かっている事も。これはエルフ族に協力してもらうためだ。しかし、俺以外の転移者、穂乃果については話していない。ラッキキルに立ち向かうための仲間探しをしている、ということにしておいた。
「...そうだったのですか。明日、エルフ族の族長様に話してみようと思います。今日はもうお疲れのようですので、宿に案内します。」
アーシャはそう言って案内してくれた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺たちは部屋に案内された。
「お昼頃にまた、部屋を訪ねさせていただきます。」
俺はアーシャにお礼をして、部屋に入った。
部屋はベットが3つ横並びになっていて、くっつけてある。隣には小さな机と椅子。
5人が泊まれる部屋はなかったか...まぁ、俺は昼まで起きている予定だから、4人に寝させよう。
「みんなは先に寝てていいよ。俺は昼まで見張っておくから。」
「それはミナトの負担が大きいよ。」
ウタが言う。それに続けて
「もう見張っておく必要はないんじゃ...」
とミントが言う。
「いや、一応だ。ささ、シャワーでも浴びて寝てくれ。俺は大丈夫だから。」
そう言って俺は椅子に腰掛けた。1人ずつシャワーを浴びている間に俺は計画を立て直した。
最後まで読んで下さりありがとうございます!!
次の31話は来週の土曜日18時頃に投稿予定です。
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