29:山賊
俺たちは朝早くからクリオス国に向けて出発した。
一応このことは芝大翔に伝えておいた。しかし、明確な場所は伝えていない。芝大翔はラックキルの一員である。いつでも俺たちを裏切ることができる。
「みんな体調はどうだ?」
俺はみんなの体調伺う。移動している時に体調を崩されてしまうと、病院など無いため治療ができない。基本冒険者のヒーラーは外傷しか回復できない。
「元気〜!」
ウタが元気に言う。それに続けてミント、マナ、ミシリが笑いながら、頷く。
「よし!クリオス国に向けて出発だ!」
俺たちは朝早く出発したことによって、昼ごろには一つ目の山の山頂に着くことができた。
「ここでお昼休憩しないか?」
実を言うと、俺は朝食を食べる時間がなかったため、すごくお腹が減っている。
「しようよ!」
ウタが元気よく言う。
「じゃー私、用意しますね!」
ミントがシートを引いてみんなが座れるように用意する。そして、朝早くに出発したのにサンドウィッチを作ってくれた。本当にありがたい。
『いただきまーす!!』
みんながミントが作ったサンドウィッチにかぶりつく。
「お、おいしい!!!」
今まで食べたサンドウィッチの中で一番美味しい。
「そうですか?嬉しいです!」
ミントは顔を少し赤くして照れる。
女神だな〜......
そんなことを思いながら、手にあるサンドウィッチを置いて水を飲んでいると、ウタが思わむこと言う。
「そういえばさぁ〜。ミシリっていつから普通に喋れるようになったの?」
ブホォォォ!!
俺は思わず飲んでいた水を吹き出した。
「ゴホッゴホッ...ハァ...」
吹き出したせいで鼻から水が出てくる。
「ミナトさん。お行儀が悪いですよ。」
マナに注意される。俺は すまん。すまん。 とみんなに言った。
「てか、なんでミナトが動揺しているの?」
ウタにつっこまれる。
「いやいや、動揺なんかしてない。タイミングが合っただけだ。」
正直に言えば、ウタがそんなこと聞くとも思っていなかった。それに言われてみればミシリは計画の時も詰まらずに話していた。
「い、いや、そ、そんなことは...」
ミシリが慌てて言う。そして俺の方をチラチラ見てくる。
いや、助けられねーよ!って心の中で言っておきながらも、俺はどうするかを考えた。
「どーなの?」
ウタがサンドウィッチを口に入れながら喋る。
「ウタ。誰しも秘密はある。そうやって詮索するもんじゃないよ。」
「じゃーミナトは私たちに秘密にしてることあるの?」
ウタがド直球で聞いてくる。
「...俺はないよ。」
実は結構隠していることたくさんあるけど...
「ふーん」
ウタが目を細めながら俺を見てくる。
「早く食べて出発するぞ。」
俺たちはサンドウィッチを食べ終わった後、クリオス国に向かった。しかし、クリオス国は1日で行けない。山を越えて川を越え、さらに山を越えると着く。
3時間かけて慎重に一つの山をおりて川が見えてきた。
「今日はここで野宿しよう。」
俺たちは日が暮れる前に川の付近で野宿するための準備をした。
ウタとミントは相変わらず、川で水遊びをしている。一応、魚を取るとか言っていたけど。
マナとミシリは焚き火する時に使う木や石を拾っている。俺は野宿できるように周りを綺麗にしていた。
俺が綺麗にして、荷物などの整理ができたタイミングでみんなが帰ってくる。
俺はウタとミントから魚を受け取り、マナとミシリが用意してくれた焚き火の周りで魚の串焼きをして、食べた。
そして食べた後、俺たちは計画の再確認をした。
「......ってことでいいよな?」
みんなに計画の確認をとると頷く。俺たちはまた朝早くから出発するため寝る準備をした。その時、
ガサッ
山の方から何か動く音がした。
「誰だ!?」
明らかに動物が動いた音じゃない...だとすれば人間...山賊か?
俺は山賊の存在を思い出した。思い出すと同時に山の方から10人程度、山賊らしき者が降りてくる。
「寝込みの時に襲おうとしてたのによ〜。気づかれちまったじゃねーか!」
山賊のトップらしき人物が手下を殴る。
「お前ら!!女は丁寧に扱えよ!」
『おう!』
山賊の仲間が返事をする。
「何が目的だ!」
俺は山賊のトップに尋ねる。
「そんなお前が知ってもよ〜。どうせ今ここで死ぬんだし、答える必要ないよね〜。」
山賊全員が笑う。腹が立つ奴らだ。
「まぁ〜俺の女になってあげたら可愛がってあげるよ〜」
トップはニヤニヤしながら言う。
「誰があんたの女になるのよ!!火球魔法!!」
ウタがそう叫んで魔法を使うが、何も発動しない。
「な、なんで...」
ウタは魔法を使えないことに動揺する。
「みんな川の方に逃げてくれ!」
どうしよう...武器もないし...
「ふぅ〜かっこいい!まぁでも、意味のない抵抗だけどなぁぁ!」
山賊のトップが仲間に合図を出して、俺を殺しかかる。
「死ねぇぇ!!」
俺は体を傾けて避ける。そして、俺はおもっきり山賊を殴るが、攻撃力1のせいで全然効かない。
クソ!使うしかないのか...
「隠れスキル暗殺者...」
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『隠れスキル、暗殺者を使用』
『攻撃力、防御力、あらゆる力が向上します。』
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俺はすぐに襲いかかってきた連中を次々に殴り倒していく。しかし、山賊のトップの姿が見えない。
「まさか!!」
俺は急いで川の方に行くと、ミシリが1人でトップとやりあっていた。その後ろにはウタ、マナ、ミントがいた。
「可愛いのにやるじゃねーか!!」
山賊のトップは口から血を出しながら襲いかかる。それに合わせてミシリは体を傾けて避けようとするが、バランスを崩す。
「ミシリ!!」
俺はすぐにミシリの方に向かうが、間に合わない。
そして、トップは左手でミシリの腕を掴み右手でミシリを殴ろうとした時、山賊のトップが倒れた。
「何が起きた!?」
ミシリもわからないまま、山賊のトップから離れ、俺に近づく。トップの倒れた姿を見ると、首に針らしきものが刺さっていた。
刺さっている方向からして、川の向かい側...
俺は川の向かい側に目を向けると、うっすらと耳の長い者が見えた。
「え、エルフ!?」
最後まで読んで下さりありがとうございます!!
次の30話は来週の土曜日18時頃に投稿予定です。
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