23:正体
俺たちが宿に戻ったのが遅かったのか、ウタたちは起きていた。
「ミナトとミシリでどこ行ってたの?」
ウタが眠そうな顔で尋ねてくる。
「ああ、ちょっと早く目覚めたから散歩してた。」
「そう...」
ウタは起きたばかりなのか、また眠りにつこうとしていた。マナとミントは着替えようとしている。
「ミナトさん。じっくり話を聞かせてください。」
マナがニッコリと笑って湊に言う。ミントはそんなこと気にせず、着替えを済まそうとしている。
マナは怒っているのはわかるが、ミントはわかりにくいな...
俺はそんなことを思いながら、みんなの着替えを待った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「え?ミナトとミシリが朝早く二人きりで散歩してた!?」
ウタが朝食を食べながら驚く。
「いや、俺ウタに話したよね。」
「聞いてないんだけど!」
いや、それは知らん...てか、朝からミントなんか元気がないような...顔も赤いしな...
「ミント。大丈夫か?なんか調子悪そうだぞ?」
俺は心配してミントに言う。
「え、あ、大丈夫ですよ。」
と顔を引き攣りながら笑う。
いや、嘘つくの下手すぎだろ...
「休んだ方がいい。ヒーラーである自分がわかっているだろう?」
「いや、でも、」
ミントは体調不良となると、今回の地下ダンジョンは行かない方がいいな。ヒーラーがいなくなるのはまずい...
「今日はみんなで休もう。ヒーラーがいないと、地下ダンジョンは危ないと思う。」
みんなに提案した。
「そうですね。今日ぐらいは休みましょう。」
マナが提案にのってくれた。ウタとミシリも頷いている。
「朝食食べたら部屋に戻ろう。」
俺たちは朝食を食べた後、部屋に戻ってミントを寝かした。ウタとマナはミントの様子を見ておいてくれるらしい。ミシリは何もすること無そうだったから、俺の用事に付き合わせた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺とミシリは冒険者ギルドに行って、情報が更新されていないかを確認しに行った。
「情報は更新されていないか...」
「先輩。聞き込みとかした方がいいかもしれません。」
ミシリが提案してくる。
「聞き込みか...悪くないが、怪しまれないか?」
「まぁ、怪しまれるかもしれないですね...」
俺はこの時間をどう活用しようと悩んでいた時、見覚えのある男が冒険者ギルドにやってきた。
あいつは!?リーナー•クッブだ!
「先輩。あいつって...」
ミシリが小声で俺に言ってくる。
「ああ、油断するなよ。」
俺はクッブの方に行って話しかけた。
「クッブじゃないか!冒険者ギルドに寄ってどうしたんだ?」
クッブは少し動揺して、
「ま、まぁ依頼を受けに...」
「観光のはずじゃなかったのか?」
俺はクッブを問い詰める。しかし、場所も場所だ。俺はクッブについてきてもらい、路地裏に移動した。
「もう一度聞く。観光じゃなかったのか?」
「わかった。わかった。俺の正体を明かすよ。」
そう言ってクッブは話し出した。
「俺は芝大翔。芝竜人の弟だ。」
「は?」
俺とミシリは驚きのあまり、言葉を失った。
「まぁ、兄貴を殺したのは獅子湊ということは知っている。」
「なぜ、俺を殺そうとしない?」
「落ち着け。別に俺はお前と敵対したいなんて思っていない。むしろ、協力してくれ。」
「どいうことだ?」
「俺の兄貴はボスに操られていたんだよ。俺と兄貴は元々転移者で、気がつけばこの世界に来ていた。」
転移者!?ならば、隠れスキルを持っているのか...
「いきなりの転移でびっくりしたが、突然目の前に黒い大柄な男が現れた。その男はこの世の神とかなんか言って、俺たちを意味のわからない組織に入れたんだ。」
「その組織って?」
「その組織の名は、ラックキル。」
『ッ!?』
俺とミシリは同時に驚く。なぜなら、その組織の名は俺たちが所属していた暗殺組織の名だ。
「ボスの名を知っているか?」
「いや、知らない。そこで俺たちは訓練させられて、次々に転移者を捕まえた。」
転移者はそんなにいるのか?いや、いたとしたらとんでもないぞ...
「なぜ、お前は組織を裏切った?」
「その組織に入ってから兄貴はおかしくなった。自分の力に溺れて、温厚な兄貴から狂気の兄貴へ変わっちまった。」
クッブは苦しそうに俺らに教えてくれる。
「そんな兄貴が死んだって聞いて悲しいというよりも、助けられなかった悔しさがあった。俺はそこで組織を恨んだよ。それと同時に潰したいと思った。そこで、一人で兄貴を倒したやつを探った。そいつなら、可能性があると思って。そしたら、お前に辿り着いたんだ。」
「俺に組織を潰してほしいのか?」
「ああ、そうだよ。」
俺はその答えに殺意がこもっていることを感じ取った。
「俺は元いた世界で暗殺をしていた。その暗殺組織の名がラックキルだ。俺はそのボスに殺されてここに転移した。その組織はこの世界で俺の仲間を巻き込んだ。お前と同じ、その組織を潰そうと思っていた。」
俺はクッブに手を差し伸べる。
「俺と一緒にラックキルを潰さないか?」
クッブは泣きながら、俺の手をとった。
それから俺はクッブに色々なことを尋ねた。隠れスキルは持っているのか?転移者との見分け方など。そしたら、クッブは全て教えてくれた。
まず、転移者は誰でも隠れスキルを持っていることはない。それに、クッブも持っていないらしい。あと、転移者の見分け方はわからないとのこと。上からの指示でその対象者を見つけて、捕まえるだけだと......
そして、最後の質問をした。
「組織の目的は?」
「隠れスキルを持っている者を探し出し、世界を支配することだ。」
「世界を支配だと?」
「ああ、今ビスケス国がリブラ国に攻められているだろう。リブラ国には隠れスキルを持っている者が5人いる。その一人が指揮をして、ビスケス国に攻め込んでいるはずだ。」
「そうか...いろいろと教えてくれてありがとう。」
俺はお礼を言ってクッブと別れた。クッブは組織のスパイとして動いてもらうことにした。
ラックキル...ボス...決して油断できない相手だな...
そう思いながら、俺はミシリと宿に戻った。
最後まで読んで下さりありがとうございます!!
明日の18時頃に第24話を投稿する予定です!!
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