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恋文

私は今、父上、母上、兄上、姉上、そしてシエルに囲まれ、手紙を開けようとしているところだ。


「開けますよ?」


封を開けると、折られた3枚の手紙が入っていた。

深く息を吐き、紙を開く


ーーーーーーーーーーーー


ミスターダヴェル


グラスフィア辺境伯が住む土地が遠いものの、噂はかねがね聞き及んでいる。

グラスフィア夫人を泣かせるなよ?

あやつは暴れたら誰も止められないからな


国王直々に誰も止められないって言われてるけど……母上は一体何者なんだ?…そんなことを考えながら続きに目を通す。


そんな私情は置いておいて、今回手紙を送ったのは他でもない、娘を救ってもらったお礼をと思って送らせてもらった。

そしてな、娘が君の事を気に入ってしまったようでな、いずれ婚約者を決めなくてはならん、それで是非とも君と顔合わせをなと思ってな、できる限りあの娘の希望通りにしてやりたくてな。

そのうち使いを送る、是非ともグラスフィア辺境伯と親子二人で我が王都、ブロアティアに来てはくれぬだろうか


ーーーーーーーーーーーー


「1枚目は以上です……」


読み終えた頃には案の定、母上が笑顔で殺気を放っており、既に父上は胃が荒れに荒れてるのか白目を向いて今にも気を失いそうになっていた。

2枚目をちらりとみると、堅苦しい言葉で父に当てられたでたろう内容が書かれていた。


「2枚目は父上宛みたいです」


そう言って父上に渡すと、母上が横から奪い取り読み始めた。


「グレーゴル、戦争です」


「何処とだ」


「”ハイサル”とです」


「なんだと、アイツらは何時も内乱を起こしてるだけではなかったか」


ハイサル帝国か……

いつも内乱が耐えず、戦好きの国王は何も変わらず、いっつも何かと文句をつき戦争を起こす、血の気の荒い国

幾度もなくカルテス王国に戦争を挑み、数ヶ月戦うと満足して帰る、そんな国らしい。


「今回は竜を引き連れてるらしいです」


ん?……竜??……私は冷や汗をかく。


「母上、それは赤い竜ですか?」


「ん?なぜわかったのですかダヴェル」


「……あー……それはですねー……本で見たんです!ハイサル帝国を守る竜王様は赤い竜だと!」


そのことを聞き、その場の全員が黙り込む。

やめて?そんな無言……

私がそう思いながら顔をひきつらせていた。


「……確かに、本来であれば竜自体が伝説の存在、その竜を使役するなど、不可能に近い……ならハイサル帝国は……」


「「……竜王様を使っている」」


父上と母上は口を揃えそういう結論に至った。

私がそう思った理由はもうひとつある。

それは……過去に幾度となく彼女を怒ったことがあるからの経験則だ。

私は過去に彼女、炎竜王ガヴェルナーガに色々と教えこんでいる。

人と仲良くしろ、その為には人の助けになるようにしろ、と教えこんでいた。

”助けになれ”とは言ったが”戦争の道具になれ”とは言っていない。

私はため息を漏らしながら頭を抱えていた。

私の様子を見てシエルが近づいてきて、耳元で話しかけてくる。


「……ダヴェル様」


「どうしたシエル」


「……私があいつを抑えに行きましょうか?」


「それが手っ取り早いが、それは戦争の火種になるぞ?」


「……それもそうですね……失礼しました」


その様子を見ていた姉上が既にご機嫌ななめだった。

私は姉上に対して苦笑いするとぷいっ、とそっぽを向かれた。

後でどう機嫌を取ろうか……そんなことを考えていると父上に呼ばれていた。


「ダヴェル、3枚目の内容はなんだ」


「は、はい、父上……あっ……こ、これは恋文ですね……」


「誰からのですか?」


「……王女殿下からです……」


「……それはさすがに読むのは、はばかられるな……よし、ダヴェル、自室で読んでおきなさい、こちらで王家の使いは対応するから準備だけしておきなさい」


「……分かりました、父上」


ほっと胸を撫で下ろす。

内容はとんでもない事だったからだ。

私は自室に戻ると後ろに着いて来ていたシエルを部屋の中に入れると鍵を占め、この部屋の音が聞こえないように遮音結界を張る。


「……慰めてくれるのですか?」


「違う!素に戻るだけだ!」


「そうでしたか……手紙はどんな内容ですか?私はすぐにでも破り捨てたい一心なのですが?」


まったく、この発情ドラゴン(シェルザール)は…私は人だぞ、体力が昔より落ちているんだ…私がジト目で彼女を見ると嬉しそうに笑みを浮かべながら頬を高揚させ、じわりじわりと私に近づいてくる。

ため息を漏らしながらも彼女の好きにさせる、まぁそれくらいの報酬なら構わんだろう…


30分後、肌をツヤツヤさせたシエルと、干からびた私が出来上がっていた。


「…ま、まったく…お前は手加減を覚えてくれないか?…」


「別にいいじゃないですか、減るものでも無いですし」


「私の読書の時間が減った」


「…相変わらず、貴方様は読書がお好きなのですね…はぁ…」


ため息を漏らすシエルは体を丸めて部屋の隅で縮こまっていた。

うぐっ…と声を漏らしながらその行動を見て私は本棚から本を取ろうとしていたのに手が止まる。


「…別にお前が嫌いになった訳では無い…お前達を番にしたのは…愛しかったからだぞ?」


そんなことを耳を赤くしながら言うと、後ろからシエルを抱きしめられる。


「…私のこの体は貴方様のものです、そう言っていただけるだけで、私は心が満たされます」


シエルはゆっくりと、優しい声で語りかけてくれた。

まぁ、そういうところが私は好きになったのだがな…

そう思いつつも口には出さない、私は意外と照れ屋なのでな

ふふ、と笑みを漏らしつつ、私は彼女の手を握り、その冷たい手を私の体温で温めてやる。


「…そんなことよりも、ダヴェル様、手紙の件、なんなのですか?」


「む?要約するとだな、私の正体がダヴェルカーザだと分かってるらしい」


にこやかに彼女を見上げながらもそう言うと彼女は顔をひきつらせていた。

彼女は直ぐに離れると土下座した。


「申し訳ありません!!ダヴェル様!!私の魔術が実力不足のせいで!」


「いや、お前のせいでは無い、多分だが彼女のスキルに何かあるのだろう…」


「…ですが、ダヴェル様、私達が使ってる魔法自体、この世界では古代魔法として記されているくらいなのですよ?…」


「…ああそれは知っている…だが実際に王女だけ効いてないのだろう」


そう、手紙の内容を見た私は驚きが隠せなかったのだ。

かの王女は…私と同じ生まれ変わった存在なのでは…?と思ったほどにだ。

私はまたその手紙に目を通す


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ダヴェル様


お久しぶりでございます。


一目見て私は貴方様に惚れてしまいました…是非とも王城でお話致しませんか?


その前に、儀式がございますので…是非とも、貴方のそばにいさせて頂けると幸いです。


と、言うのは置いておきまして…こちらの時代では馴染みのない古代文字で書かせていただきます。

はっきり申し上げましょう、ダヴェル様、いえ、ダヴェルカーザ様(・・・・・・・・・)貴方様のお知恵を私に頂けませんでしょうか。

今私は王家の第3王女としていますが、姉上が少し面倒な輩に婚約を迫られており、断りずらそうにしているのです。

貴方様ならこの程度の問題朝飯前だと思われますので…報酬は、我が国立図書館の入稿された本の中で10本お好きなものを差し上げます。

その程度の”わがまま”ならお父様は許してくださるので、是非とも…ご検討の方よろしくお願いします…


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ここまで詳細に書かれるとこちらとしてはお手上げなのだがな…と思いつつため息を漏らす。


「…とりあえず、今度の儀式の日と被るわけは無いし…ズレても2週間ほどじゃないのか?」


手紙をじーっと見つめながらそんなことを言うと私から手紙を取り上げるシエル。

そして目を通すとため息を漏らす。


「私の存在も完全にバレてますよね、これ」


「多分、そう思うぞ」


「「はぁぁ…」」


2人揃ってため息をすると何故か部屋の扉が吹き飛んだ。

部屋の入口に居たのは姉上と母上だった。


「…2人で何の話をしていたのですか?」


部屋に入るや否や両刃斧(ラブリュス)を床に突き刺し、私に迫る母上


「…王女殿下のこの文字の意味を知りたくて篭っておりました、シエルにはその手伝いを」


話をごまかしながらも王女殿下の手紙を見せる。

すると母上も姉上も顔をしかめた。

そりゃそうだ、この文字は私が考えた文字なのだから読める者自体めずらしいのだ。


「…そうですか、ですが私達が何度も呼びかけをしたのに何も反応がなかったので強行突破したわけですが…シエル、何もしてませんよね?」


「…はい、ダヴェル様に言われ、私は色々と資料を集めてただけですが…」


シエルも少々緊張しながらも母上に受け答えしていた。


「…その割にはあまり進んでないようですね?ダヴェル」


「…そりゃぁそうでしょう、母上、母上と姉上と再び会うまでそう1時間も経ってないのですから、私だって類似するものがあるか必死に調べてるのです、母上、私のことを信じれないのですか?…」


じっと甘えた声で母上の情に訴えかけると、母上はため息を漏らす。


「…私が悪かったですね、ダヴェル、早くこの文字を翻訳しなさい、そして私たちに教えなさい、だからといって貴方の都合が良いように読むのは許しませんからね?」


中々に重い圧をかけられながらも許してくれたようで母上はそのまま私の部屋から出ていった。

姉上はまだ少し疑ってるのかシエルを睨みつけてそのまま去っていった。

部屋に平穏が訪れ、私はため息を漏らし、自分の部屋の私がいつも読書するために置かれた椅子に座る。


シエルがひょいと吹き飛ばされた扉を外に運び戻ってくると、私のところに近づいてきた。


「お茶でもお出ししましょうか?」


「あぁ、頼む、さっきのは少し神経を使ったからな」


「そうですね、相変わらず恐ろしいお方達です」


「関わるといい人達ではあるのだがな」


「「はぁぁ…」」


息ぴったりにシエルとため息を漏らしながら私は本に目を通す。

数分後にはシエルがお茶を持ってきてくれていて、一言「ありがとう」と言うと満面の笑みで微笑んでいて、そこまで嬉しいことか?…と思いつつ彼女を見つめる。

じーっと私を見つめている彼女と目が合うとまーたこちらの事を熱っぽい目で見つめてくるのですぐに目を逸らす。

あまり見すぎると良くないらしい、これは覚えておこう。

シエルの作ってきたお茶を1口のみ、私はほっと息を吐く。

程よい温かさの紅茶が私の体にしみ渡る。

やはりシエルに作らせる紅茶が1番いい。

その1口であらためて思わされる

のんびりと本を読みながらこくりこくりと飲み続けると、気が付けば夕方になっていた。


「…そろそろご夕飯のお時間ですね」


「そうだな、向かうか…」


私が立ち上がると先程まで読んでいた本を右脇腹に抱え、食堂に向かう。

既に家族全員座ってはいるか、姉上と母上が異様なオーラを放っているせいか、父上のストレスが限界らしい。

既に父上は口をあんぐりと空け、白目が向いて気絶していると言ってもおかしくないだろう


「…あー…母上?姉上?どうかしましたか?」


「…何もありませんよ?ダヴェル?」


「そうです、気にせず夕食を食べなさい」


そう言いながらも私が部屋に入った時点でじーっと見つめてくるのやめて貰えないだろうか、なんて思いつつ、兄上の隣の席に座ると、兄上に耳打ちされる。


「ダヴェル、なにかしたのか?」


「いえ、私は何も覚えておりませんよ」


「…んむむ、そうか…後で父上に謝っておけよ?」


「…本当に何もしてないのですがね…」


はぁ、と溜息をつきながらもどす黒いオーラを放ち続ける女性陣2人、あまりにも強すぎて父上は逃げるように退散、私もあまり喉が通らず、兄上も一緒のようだった。


「あの…母上、私が何かしましたか?」


「あの手紙の内容は何でしたか?ダヴェル…?」


即答で帰ってくる答えがそれかー!!

心配なのは分かるが…一応王女殿下に気にいられたらこの家もいいことなのだと思うのだが…母上は何を考えていらっしゃるんだ?

と思いつつも母上の返答を考える。


「…少しは読めました」


「なんですか?」


「好きです、愛してますと、書いてありましたね」


その言葉を発した瞬間、母上と姉上からのドス黒いオーラがさらに強くなり、姉上は机を両手を叩きつけた。

私と兄上の食べかけのものが宙を舞う、そして、そのまま落下した。


「…今から王都に向かいませんか?母上」


「そうですね、ルナ…王女殿下と言えども…私の愛息子を渡す訳には行きません…」


「あのー、母上、姉上、2人が反乱まがいなことをすれば我々の首が飛ぶのですが?」


「ですが、1度王には直談判に参らなくては…」


「それもこれも父上に頼めば…いや、母上が、私と一緒に参りましょう」


これ以上父上の胃にストレスを掛けれる訳には行かない、ならば母を連れて行けば…問題は解決する。


「それもそうですね、グレーゴルがストレスのせいで()()倒れてしまいますからね」


またとは…1度過去にしたことがあるのか?と思いつつ、「そうですね」と返事を返し、それを聞いた母上は退室した。


「あっ、母上!私も行きますー!」


と言って姉上もついて行った。

多分だが二人揃って王都に行くと言い始めるのだろう。

すまない父上、私にはどうしようも出来ないのだ…


数十分後、館中に、父上の叫び声がしたのは言うまでもなかった。

今回は読んでいただきありがとうございます。

時々私も見返すと思いますが、誤字脱字ございましたら是非ともご指摘いただければとおもいます。

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