28.提案
「やっぱりスレイのカレーは最高だね! もう、元気が湧きまくりだよ!」
「そうですね! スレイのカレーは世界一です!」
「まあ、そうね。少なくともあたしが食べたことあるカレーの中では一番かしら」
完食した三人は満足げに語っている。
「ふはは! そうだろうそうだろう!」
もちろん俺も満更でもない。
そりゃ、俺のカレーは美味いに決まっている。
逆にどうやったら不味いって思えるのかって話である。
あそこまでこだわりまくって、誰かに喜んでもらえるようにしたものが受け入れられないわけがない。
これだけは負けられない、俺のプライドだ。
「しっかし、ここ最近は戦闘ばっかだったな」
食後のゆったりとした時間。
俺はぐっと背伸びをして、椅子に体重を預けた。
爆睡を決めてしまっていたらしいが、それでも俺の体力は限界に近い。
疲れに疲れまくっていて、ふと気を抜けばため息が漏れてしまうくらいだ。
とはいえ、今の生活が嫌いってわけじゃない。
なんなら、今まで生きてきた中で一番充実しているとも言える。
だが、それはそれである。
戦闘は苦手だし、極力したくない。
まあ……現状、そんなのはわがままでしかないんだろうけれど。
「確かにそうね。あたしも疲れたわ」
「だよなイヴ。お前なら分かってくれるよな」
「ええ。少しは落ち着いた生活がしたいものよ」
落ち着いた生活。
それこそ、目標としていたスローライフを送りたいものだ。
しかし……なかなか難しいことである。
叶ったとしても、かなり遠い未来。
想像するだけで辟易してしまうほど。
「他のみんなもそうじゃないのか?」
俺はちらりとミーアとレイレイの方を見る。
「私は楽しいよ! なんでも楽しい!」
「ミーアらしいな」
彼女は何事も、どんなことでも楽しむ性格をしている。
とても素晴らしいことだ。
俺とは違う。
「わたしは……そうですね。もっとのんびりしたいところです」
「レイレイもそうか。まあ、普通はそうだよなぁ」
「なにそれ! 私が変みたいに言ってる!?」
「言ってない言ってない。ただ、ちょいスローライフらしいことがしたいなって」
俺は机の上にうなだれて、むむむと唸る。
スローライフらしいこと……ってなんだろう。
悩んでいると、レイレイがふと声をあげる。
「皆さん、釣りとかって興味ありますか?」
「釣り?」
「そう、釣りです」
そう言えば、レイレイは釣りが趣味だってのを言っていたような気がする。
以前戦闘した時も、レイレイは釣りをしていたわけだし。
「皆さんがよければ、一緒に釣りでもどうかなと思いまして。スローライフらしくないですか?」




