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13.ようこそルーキー!

「全く、スレイに酷いことする人は嫌い!」



「本当に。スレイ、大丈夫?」



「大丈夫ですか?」



 ミーアは俺に槍を向けてきた男を睨めつけて、怒りを露わにしている。


 イヴとレイレイは俺のことを心配して、声をかけてくれていた。



「俺は全然大丈夫。ごめんな、心配かけちゃって」



 本当に俺は彼女たちに助けられてばかりだ。


 主人とかそういうのはもう関係ないけれど、それでも一緒に暮らしている家族として申し訳ない。


 まあ、とりあえず初手で死ぬ……なんてことは避けられた。


 それをまずは喜ぶことにしよう。



「おいおい! 何の騒ぎだ!」



 この後の処理を考えていると、奥から複数人の男たちが走ってきた。


 そりゃ、こんな騒ぎを起こしたら誰かが慌ててやってくるよな。



「って……あなたは! すみません、うちの者が何かしましたか!?」



「あ、お前はあの時の」



 俺が奇跡的に追い払うことができた、マチェットの男がいた。


 惨状を見るなり、顔を真っ青にして駆け寄ってくる。



「ちょっと襲われちゃいまして」



「な、なんだって!? てめえら! 今日は客人が来るって連絡していただろう!!」



 男が周囲に倒れている人間に慌てた様子で怒鳴りつける。



「確かに聞いてたけどよ、まさかこんな弱そうなやつらだとは思わなくて!」



「なんたって男一人と女三人だぜ!? こんなやつらがボスが許可を出した客人だなんて思わねえだろ!」



 男たちが必死で弁明をしようとする。



「そんな口を叩くなら勝ってからにしろ! 実際負けてんだろてめえらは!」



「す、すみません!」



「失礼しました!」



 マチェットの男が叫ぶと、泣きそうになりながら人々が散っていく。


 ふう……来て早々騒ぎに巻き込まれたが、どうにかなったか。



「今回はうちの者が失礼しました! 今後はそのようなことがないよう教育しておきますので……!」



「大丈夫です……って今更敬語を使うのも違うか。大丈夫だよ。それよりも、許可が下りたんだね」



「はい! それほどまでに強い人間がいるなら、ぜひ連れてこいとボスが!」



「えっと。それって『強い人間がいるだと!? そんな奴ら、ボスが直々にぶっ倒してやる』とかそんな意図ってあったりしません?」



 なんか言い方的に、言ったらボコボコにされそうな気配がするんだけど……。


 まあある程度覚悟はしているが、戦闘続きは心臓に悪い。



「いえ! どちらかと言えば、ぜひ会いたいと喜んでおりました!」



「そうなんだ。それなら……まあ大丈夫か」



 ちらりと背後にいる三人を確認する。



「私は不満だけどね!」



「あたしも」



「もしスレイさんに危害を加えようとしたら……覚悟しておいてください」



 あまり納得が言っていない様子である。


 万が一、ここのボスと揉め事になったら住みづらくなるから俺が注意をしておかないとな。



「それではご案内します! こちらです!」



 マチェットの男が平謝りしながら、くるりと踵を返す。


 そして、村の奥へと歩き始めた。


 俺たちも倣うように、彼の背中を追う。


 にしても、本当にこの村の景観は不思議だな。



「この村って同じ建物が並んでるけど、何か取り決めでもあるの?」



「はい! 敵が攻め入ってきても、自分がいる場所がどこか把握しづらくするためだと!」



「なるほど。それは確かに効果がありそうだ」



 これほど似たような建物が並んでいるのだ。


 敵が攻めてきても、時間稼ぎはできるだろう。


 実際、奥まで進めば進むほど自分がいる場所が分からなくなってくる。


 案内人がいないと、間違いなく迷っていたところだろう。



「なんだか不思議な場所だね! ここにいる人達はスレイを狙うから嫌いだけど、景観は好きかな!」



 先程まで怒っていたミーアであったが、どこか楽しげに街並みを眺めていた。


 とはいえ、警戒を解くのにはまだ早いとは思うが。



「ボスの屋敷は……ここです! ちょっとお待ちを!」



 ボスの屋敷とは言うが、他の建物と景観は変わらない。


 まあここまで街並みを揃えていて、ボスの家だけ違うと逆に狙われやすいだろう。


 そう考えてみると、意外と考えはしっかりしている人なのだろうか。


 マチェットの男が扉をノックすると、中から声が聞こえてくる。



「入ってくれてよいぞ!」



 あれ……女の子の声だ。


 ボスの付き人か何かだろうか。



「大丈夫だそうです! どうぞ!」



 マチェットの男が扉を開けると、中からケラケラと笑い声が聞こえてきた。


 床には赤いカーペットが敷かれており、その先には椅子がある。



「ガハハハ! ようこそルーキー! 待っておったぞ!」



「……え? あの人がボス?」



 そこには、小さな背丈の女の子がいた。

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