23 食材ハント
神器持ちの山田竜都君との戦いで深い傷を負った。だから、くそ高いポーションを飲んで元盗賊の砦で5時間くらい寝て治した。
どうも高位冒険者4人と山田君を倒したお陰でレベルアップしたようだ。傷と体力は全快してるし、夜の森をすごい勢いで駆け抜ることがてきた。
ただ肝腎の「沼」がレベル5に上がらない。
レベル1から3までの早さ、3から4までの長さとか考えると、経験値の積みかたがイマイチ分からない。
けど、どうでもいいのだ。
宿に直行。明日からメロン、カリナと合流するために早く寝た。
◆◆◆
「勇者パーティーに復帰させてもらうよ~、メロン、カリナ」
「もうサーシャったら・・」
「私達も3日間寂しかったですが、また今日からお願いします」
「キンヌダンジョンの10階からスタートでいいよね。目標は20階で、到達したら帰って来よう。もしも夜営するときは、前のとき準備した道具があるから、それ使おう」
勇者パーティーは、キンヌダンジョンに向かった。
◆
「う~ん。転移装置で10階に飛んでフロアボスでしょ。それから一気に18階まで来ちゃったね」
「ギルドで聞いたら、この前の10階のフロアボスが完全なイレギュラーらしいです」
「普通は20階がボスのシルバーベアとグレーグリズリーなんだって」
「そして、30階のダンジョンボスがレッドベアで、一緒にシルバーベア2匹が出るんです・・」
「げ、なら10階に出たバーニングベアってなんなのさ」
「レッドベアの上位種です。ハルピインの東の海岸にある、上級ダンジョンの23階から先に、たまに出るそうです」
「だから理論上、私達というかサーシャは、このキンヌダンジョンを余裕でクリアできる計算なのよね」
「・・よし、今日も時間はたっぷり残ってるし、20階までは素材を綺麗に残す倒しかたをしよう」
「18階、19階はマツサガカウ、べコウボア、ザキミヤピッグ、ケンタキコッコが出ます。別名高級食材フロアなのです」
「カリナ、私なんか噂でしか聞いたことがない魔物ばっかりだ」
「よだれ拭いてサーシャ。ただ、みんな気性が荒くて、冒険者が倒してもお肉がズタボロになるまで抵抗するの」
「だからこのフロアの高級食材魔物は討伐ランクCなのですが、あえて捕獲ランクを付けるならAかそれ以上と言われています」
「その割に、メロンもカリナもにんまりしてるね」
「ええ、美味しいお肉を食べるため、カリナと2人で特定の技を特訓したから」
「サーシャに借りた装備のお陰で完成度も高いと思います」
「うふふ、じゃあお手並み拝見で」
早速、正面にべコウボアが現れた。
「まずは私から行かせて」
メロンがシルフィーソードで足元に風を纏いロングジャンプし、ボアの真上で剣を一閃。ボアの頭がポトリと落ちた。
次のザキミヤピッグはカリナがドングリの形をした「ウオーターナッツ」を2発頭に当て撃沈。弾丸は小さいが込められた魔力はウオーターボールどころではなかった。
「わあ、私の勇者たちは進歩が早い。武器効果だけでなくて、本人の才能も大きいわ」
「いやあ、サーシャに褒めてもらいたくて頑張ったんだよ」
◆
ぽちょん。ぽちょん。ぽちょん。ぽちょん。
私も負けじと、マツサガカウを小沼4つで完全拘束した。
「頭、カチ割るのが正解かな」
「けど、頬肉とか頭部にも絶品が多いですよ」
「腹を刺すのは論外ね。カウの内臓が無傷なら、大商人でも簡単に食べられない「絶品モツ煮込み」が作れるそうよ」
「ブモ、ブモモモモ~」
「いい声して鳴くね」
「カウの命乞いさえ、サーシャには美味しい味のハーモニーとしか響かないようですね」
「とりあえず、剣で首落とすわ」
◆
マツサガカウ2匹、ベコウボア5匹、ザキミヤピッグ4匹、ケンタキコッコ6羽を捕らえ大満足。ついでに20階のフロアボスを倒してギルドに帰った。
「お帰りなさいませ殺戮天使のみなさん。今日もキンヌダンジョンですね」
「ただいまマリアさん。今日は一気に10階から20階まで降りたから、フロアボスの買い取りお願い」
「は、早い。ところで18階と19階では狩りをしましたか?」
「うん、マツサガカウ、ベコウボア、ザキミヤピッグ、ケンタキコッコを捕まえたから、その辺は解体だけ頼もうかと思って」
「解体だけですか!」
「マ、マリアさん、すげえ食い付き方だよ」
「お、お肉の状態はどうなんですか!」
「三人で工夫したから、カウ2匹の内臓も含めて綺麗なもんですけど・・」
「本当~~~にっ、解体だけなんでしょうか・・」
「・・分かったよ。思い切ってカウ1匹をみんなに振る舞うよ」
ざわざわざわざわ。まじかよ。ツイてるぜ。
「メロンとカリナもそれでいい?」
「もちろん、数日前までのお金がなかったとき、みんなに助けられてるよ。マリアさんにも薬草の買い取りでお世話になったし」
「私もです。サーシャから受けた恩恵を私達だけでもらうより、誰かに分けるのは賛成です」
「では、解体場に行きましょう。後ろに並んでおられる皆様、緊急事態です。窓口は閉じられます!」
長蛇の列を無視して、マリアさんは受け付け業務を終了。私達を引っ張って解体場でマツサガカウのお披露目。速攻で解体ショーが始まった。
◆◆
ギルドの食堂でマツサガカウを調理してもらい、さっそく実食だ。
食材を提供した殺戮天使のテーブルは確保してくれてるが、食堂は大混雑だ。
「んぐんぐ、うんま~い」
「マリアさん勝手に早退して、他の職員さんが睨んでますよ」
「サーシャさんに殺気を向けられたときに比べたら屁でもないです」
「はは・・」
「それにしても美味しい~。幸せぇ」
「私の貧しい食経験では、表現のしようがありません。んぐんぐ」
「お~いサーシャ」
「あ、ペルタ様、食べていってよ」
「おう、サンキューな。それと頼まれてた書類ができたぞ」
「ありがとね。どんどん食べて」
うまい牛を食べたあと、私の勇者たちに大事な話をしよう。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/295429334/181668538
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