21 原因は慢心です
単独活動3日目。明日からメロンとカリナに合流して、楽しい日々が再開するとか考えて油断してた。
さらに、3人くらいの追跡者がいるのを、女一人となめてちょっかいかけようとしてるゴロツキだと決めつけてた。
◆
本当の追跡者は、コイツらだった。
「あなた達、ブライト王国のやつらね。私を狙ってたの?」
「お前もあの国から逃げ出したようだな。それよりも聞きたいことがある。白銀のフルプレートアーマーをまとった騎士は、お前の仲間か?」
私に質問してるのは、身長190センチで長剣を持った冒険者風の男。
私を追いかけていたゴロツキ風も仲間。弱そうなのをこちらの探知内で追わせて油断させ、高位の仲間が後ろから追走する二段構えだ。
ゴグツ盗賊団の元アジトでスキルの検証するつもりだったから、探知内の3人を誘い込むつもりだった。到着したとたん、探知外の距離から一気に4方向に現れた私より強そうな4人の手練れ。
簡単に罠にはまったのは私の方だった。
「白銀騎士のうわさは聞いてるけど、知り合いではない」
「そいつとサーシャと名乗る女の捕獲にブライトの裏ギルドで賞金がかけられててな。金額もでかいから喜んできたが、持ってる人相書とも似てねえし、こっちのギルドで知ったスキルも「陰縫い」の類いだし違うな。ハズレか」
「わ、私とは違うんでしょう」
「貧相な女で、穴で人を食らう物騒なスキル持ちって話しだぜ」
「穴って、どこの穴?卑猥よね」
「ははは、別人かな。けどよ美人の姉ちゃん、お前もブライトからの逃亡者だろ。見逃す訳にはいかんのよ」
「そうですよねリーダー。人違いでもラッキーなことに、いい体した美女だもんな」
「まあな。そうだサーシャを名乗る姉ちゃん、お前の態度次第では今後のことを考えてやる。わざわざ、あの国の腐れ貴族に女を献上することもねえし」
「じゃあさ、私の体を好きにしていいから、私を守ってよ。それなりに戦えるから足手まといにはならないわ」
私は装備を解いて、真っ裸になった。最後はインナーを脱いだあと、座って脚を上げてブーツを脱いだ。色んなものを見せてあげた。
ごくっ。4人の男どもの喉が鳴る。見張りで離れている3人もこっちを凝視している。
「ねえ、外は嫌よ。あの小屋に行きましょう」
5メートルくらい先の、貴族の娘と小さな子供達が閉じ込められてた、唯一無事な建物を指差した。
「こら、勝手に動くな」
「こっちは素っ裸で丸腰の女一人。そっちはランクが高そうな7人。戦っても逃げても、悲惨な末路しかないでしょ」
「それもそうだな」
奴らに背中を向けて、ゆっくり歩いた。
「あら金貨が落ちてる。なんだ平たい小石か・・」
わざと前屈して、アソコも見せてあげた。
おあつらえ向きに、小屋の方が風上だ。
わざわざ裸になったのには訳がある。
スキル「沼」にクズやゴロツキを誘い込むため、私はもうスキルと呼んでいいレベルの「スーパーフェロモンガール」に変えられている。
汗の匂いを飛ばして、大事なとこまで見せた。奴等の脳内は媚薬をかいだようになっているに違いない。
やっと警戒が緩んだ。
「誰から来る?」
「お、俺だ」
「リーダーでもそりゃねえぞ」
「そうですよ、順番決めましょうよ」
「が、我慢できねえ」
「4人一緒に、相手してあげる」
「お、おう。ガキども、入り口の前で見張りをしろ!」
バタン!
ようやくかかった。
どうしても沼の射程圏内に入ってくれなかった3人も急いで近付いてきた。
これまでの言動から、大組織の一員である可能性は低い。
外で戦って勝てる確率も低そうだったし、誰かに逃げられたら、余計な情報がブライト王国に渡ってしまう。
初めてできた仲間、メロンとカリナと一緒に過ごすため、面倒でも一人も逃さない作戦を練ったのだ。
裸になるとき脱いだミスリル装備の下に30センチ小沼を発動しておいた。まだギリギリ10メートル以内にある。
パシリ君3人が小屋の前に来た気配を感じ、外のミスリル装備付き小沼をめちゃめちゃに走らせた。
「うわっ、わわわっ、ぎいいい!足が」
「あっ、ぎゃっ!」
「わわっ、あがっ!」
バキッ、ゴンッ、ザザッ。
みんなの足に引っ掛かった。「沼」を使ってるときだけは、私は有能だ。
「何だ、モルグらの声だ。なんか壁にぶち当たったぞ。魔物か」
「ちくしょう、いいとこなのに!」
小屋の中、ズボンを膝まで下げていた4人の視線が、ドアの方にそれた。
とっぷ~ん。
少し保険を残し2・7メートル沼を発動し、男達を捕獲。1辺4メートルの小屋では、動きが素早い高ランクでも、逃げ場はない。
「くそ、こいつが穴女か!」
リーダーの反応は速かったが、右手に剣ではなくオチ○チ○を握った状態からでは、攻撃スキルを発動できなかった。
「もう遅いわ」
バギ、バキッ、ベキ、ベキッ、バキ、バキッ!
奴らを沼に拘束したまま、小屋の壁にしこたま打ち付けた。元お宝部屋は以外に頑丈で、4人は血だるまになった。
そして沼の餌食になった。
「・・うあ、あ」
とぷん。
外で倒れたパシリ君たちは、70センチ小沼を3つ出して拘束した。
けど尋問しても無意味に感じ、3人を沼に沈めた。
意外と元気な1人がおっぱいをガン見してたから、沈む彼の目の前に仁王立ちして、下の方も見せてあげた。
薄い栗毛色をした冥土の土産だ。
服を着て、ほっと一息ついた。
「一人でも戦闘態勢に入ってたら殺されてた。油断大敵だわ・・」
と、言いながら、またも油断していた。
次のやつに接近されてた。
「うわっ、弱いのか強いのか、さっぱりわからない気配。だけど「沼」がかつてないほど反応してる。要するに人間のクズね」
「聞こえてっぞ。前にも会ったことあったか、きれいなネーチャン」
私の体を舐め回すように見る気持ち悪い男は、黒目黒髪だった。
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