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20 猿からのダメージ

盗賊団の討伐と貴族家次男のトラブルから一夜が明けた。今日は苦手な立体攻撃対策を考えるため、猿の生息地に来た。


「ずっとメロンとカリナとパーティーを組んでいたいけど、スキルが本領発揮できるのはソロのときだもんな。ソロに戻ったときのため弱点を減らさなきゃ」


ハルルキ家の長男と娘は話ができそうだったが、次男とは敵対した。

私の中では長男も次男もめんどくさいハルルキ家の人間に変わりない。

くだらない貴族家の跡目争いに巻き込むなら、覚悟しろと言っておいた。


「考え事してたら、あっというまに目的地だな、

ロングアームモンキーの声がうるさい」


ギルドで聞いた背が高く太い枝を張り巡らした広葉樹地帯。木々を渡って、頭上から獲物を襲う手の長い肉食猿の縄張りに踏み込んだ。


装備は顔まで覆うフルプレート「白銀騎士」だ。

顔まで覆ったのは、たまにウ○コを投げる個体がいるという恐ろしい情報を聞いたからだ。


「うき~!」


ツタと自分のリーチを利用して地面ギリギリに攻撃してくる猿。今の私ならジャンプして捕まえられるが、今日は「沼」の訓練だ。


ぽちょん。ぽちょん。

獲物を飲み込む1メートル沼と、動きを止める79センチ小沼を同時展開。


「うき?き、ききっ、ききっ、うきぎ!」


興味本位で沼を触った猿を1匹飲み込んだが、これで猿も警戒体制に入った。

20匹ほどいる猿たちは知能も高く、連携も取れている。


乗ったものを固定させる小沼に槍を立てて走らせたが、猿からすれば、射程外の高さにいればいいだけだ。


カン、カン、コン、べしゃっ。


私の感知では、大した危険もない小石や木の実が飛んでくるのが分からず、スルーしてたらウ○コも飛んできてた。


「よりによって胸に直撃だよ。ダメージはないけどウ○コ臭さが立ち昇ってくるよ。ああもうっ」


腹が立って、レベル50超えのパワーで収納指輪に入ってた石を投げはじめた。


「ちくしょ、当たんね。投げるときに軌道を読まれてる。もう収納指輪に石がない」


剣を持たず、胸に猿のウ○コを付けた白銀騎士が途方にくれている。


「使えそうな投擲武器、なんかなかったっけ。ダツタンの武器屋で買ったアイデア商品が残ってた」


商品は2つ。まず試したのは、「く」の字をした一枚板でブウメランというやつ。投げると回転しながら敵に当たって、帰ってくるそうだ。


「えいっ!」

「ぎゃわっ!」


木々を引き裂いて猿1匹を仕留めたが、ブウメランとやらは空の彼方に真っ直ぐ飛んでいった。


「私には、とことん武器を扱う才能がなさそうね・・」


「ウキー!」


「早くも次が最後の武器。出でよ、ショットガン、の「弾」」


5ミリほどの鉄球を乾燥させたスライムの皮に、20個まとめて入れてある。


「投げてちょっとしたら散開するから、散弾って言ってたね。とりあえず投げてから帰ろう」


猿どもが一番固まっているとこに、全力投球。普通なら散開した5ミリの鉄球は葉や枝で勢いが落ちるが、私にはレベル50超えの腕力がある。


「うぎー!」


3匹の猿に当たり、奴らが木から落ちてきた。


「おおっ、沼の訓練にはならなかったけど遠距離攻撃の収穫あり。あと3つしかないけど、こっちの武器屋か道具屋で作ってもらおう」


落ちてきた3匹を瀕死にして、沼に沈めた。


「ギルドで出す獲物は確保したし、ウ○コの匂いが染み付く前に帰ろう」


まず近くの川に入って裸になって、臭い白銀騎士の装備を洗った。

ブライト王国からぶん取ってきたやつで、破損してないのが20セットくらい残ってるけど、総ミスリルを捨てるのはもったいない。


膝まで水に浸かって鎧を洗っていると、疑問が沸いてきた。

「あれ?「沼」は足元に落ちるけど、水の中だとどうなるんだろう」


早速、1メートル沼を出してみた。


とぷんっ。ぶくぶく。


「沈んだ。う~ん、そうか。私の足の裏、いや沼を出したとき一番下にある部分に「沼」が落ち着くんだ」


考えてみれば初めて「沼」を出したのはブライト王国王城の接見の間。地上からかなり高い位置だった。


「なんか閃きそうだけど、ええっと・・」


「ブモモモ!」

「ガアアアアア!」


「オーク8匹にオーガ1匹。裸の私は股間を大きくする魔物を寄せるためにあるのよね」


ぽちょん。ぽちょん。ぽちょん。ぽっちょ~ん。


川に入ったまま、1メートル沼を前と左右に出し、警戒用の2メートル沼を後ろに出した。


「「沼」が見えにくい。オーガとオークも無警戒で水に入ってくるね」


まず、親分気取りの正面からきたオーガの足を水の中で捕らえた。

「が、がが、があ!」


普通なら周りの魔物が警戒するとこだが、裸の私という「エサ」がある。

8匹のオークはオーガが止まったのを幸いに、我先にとアレをギンギンにして向かってきた。


「ブモモモ」


「浅瀬なのに川の深みにはまったように沈んでいくわ。・・あっ」


「ガガ、ごぼっ、がぼっ」

そうなのだ、ここは浅瀬とはいえ川の中。まずオーガが水を飲みながら、苦しそうに沈んでいった。


「うわ、私が仕掛けたんだけど悲惨。拷問みたくなるわね。また「沼」のいい使い方を発見したね」



さらに、少しずつだけど、沼が川の水を飲み込んでいた。


沼様に怒られてないし、何かに使えるかも知れないから、溜めてみた。





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