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clover  作者: うらでぃみる
2/2

夏祭

「じゃあ行ってくるわ。」そう言って家を出て俺は、成吾と水樹さんと待ち合わせしている南野神宮の鳥居まで慣れていない電車を駆使して向かった。「遅いぞ四葉!」

鳥居には3人いた。成吾と水樹さんともう一人女の子である。


「うちの友達。」と水樹さんは笑顔で言った。

あ〜そういえば連れてくるみたいなこと言ってたなぁ。

「よっしゃ。集まったし行くかぁ。とりあえず屋台の方行こうぜ。」

成吾がにぎやかな方に指差して俺たちは向かうことになった。

この時俺には水樹さんの友達なんて眼中になく、目は水樹さんの浴衣姿しかとらえていなかった。今まで目に映したものの中で、かつて無い程きらびやかであった。俺たち4人は人ごみを歩き、金魚すくいをし、花火を見て、たこ焼きを買うなど、祭り気分を堪能した。少なくとも俺はな。

成吾も楽しそうに喋ってたし、水樹さんの友達とやらも笑っていた。もちろん水樹さんも。




俺たちは石段に座り出店の食べ物を食べていた。

「あ〜。久しぶりの懐かしい感覚。」成吾は焼きそばを手に持ちながら言った。

「ほんま懐かしい感じやな。」と俺。祭りなんて何年ぶりだろうか。

「花火でっかかったなぁ。」水樹さんが手で大きさを表しながら言った。

このときドキッときたのは水樹さんの服装が浴衣だからなのだろうか。


「よっしゃ。」成吾はそう言って焼きそばを食べ終わって立ち上がり

「もう結構な時間やし、解散しよかぁ。」

携帯の時計を見ると短針が9時を過ぎていた。

「楽しかったな。」

言葉にならない笑顔で水樹さんは言った。

そして全員石段から立ち上がり、駅へ向かおうとした時、

「また、こような!?来年も。」

俺は知らず知らずに口走っていた。

すると成吾はにんまり笑い

「おぅ。またこようぜ。」

水樹さんも

「うん。楽しかったし。あ、でも来年受験やしなぁ。」

「えぇやん1日ぐらい。な、四葉。」

俺は成吾の突然な問いかけにとっさにうんと言った。

「ん〜。まぁいっか。」水樹さんはそう言って歩き出した。水樹さんの友達も横に並んで歩いていた。成吾も。

俺は背を向けて歩く3人を見て、少しのかなしみと嬉しみを感じ、成吾の横に並んで歩いた。「なぁ成吾。もう宿題終わったか?」

「宿題?あんなん夏休み始まる前に終わらせたわ。」

「うそぉ!?み、水樹さんは?」

「もう終わってるよ〜。瞬殺。」

水樹さんはそう言って指で鉄砲をつくりバーンと撃つ素振りを見せた。

てことは終わってないのは俺だけかぁ。やば、早く終わらそ。夏休みもあと一週間も無いし。


それから駅までの道のり、俺たちは色んな話をしながら歩いた。この時間がずっと続けばいいのにと思っていた。


そして駅に着いた。俺以外は向かいのホームなので改札を通った後皆に手を振った。

別れ際に成吾が

「彼女欲しー!」て叫んでいるのが耳に入った。

「彼女...か。」そういえば中3からできてないなぁ。今まで欲しいとは思ったけど、行動に移さなかったし、第一好きになった人が一年まではいなかったからなぁ。



ホームに着きプラスチックの椅子に座った。

「好きな人...か。」そう思うと脳裏に出てくる人を払いのけた。だが離れない。

俺は向かいのホームで綺麗な紺色の花模様の浴衣に目をやり、目を細めた。

そしてはぁとため息をつき、丁度来た電車に乗った。

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