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clover  作者: うらでぃみる
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夏の時

高2の夏。年々暑くなっていってるんじゃないかと思わせるほどの気温の中、四葉しよう 正宗まさむねは自転車で登校していた。ペダルをこいでいる内は汗はでないが、信号で止まるとすぐにどっと汗が出てくるという不思議な現象に疑問を感じながら。


学校に着き、俺はいつものように自転車を校内の駐輪場に置き、下足室でスリッパに履き替え、4階の教室に向かった。

「よ、四葉。」

教室に入った途端話しかけてきたのは真田さなだ 成吾せいご。俺の一番の友達である。

「あっついなぁ。今更やけど何でこの学校は最寄駅から20分もかかんねん。頭おかしいやろ。」

成吾はどっかの高校の名前が書いてあるうちわをバタバタと扇ぎながら言った。

「チャリの方が相当楽やろ。俺が家からチャリで来たら2時間以上かかってまうっつの。」「そうでもないで。雨の日なんかチャリ乗ってる奴からしたらこの上ない苦痛やからな。」

「いや、絶対チャリの方が楽。ったく、このクソ高校たてた奴超バカやろ!?」


「相変わらず口悪いな。真田君。」

話しかけてきたのは同じクラスの女子、水樹(みずき) 理恵(りえ)だった。3人の席は、俺の前に成吾、そして右に理恵となっている。理恵は容姿端麗で勉強もできるが、B型で世間的には性格に少し問題がある子だ。そして成吾もB型であり、口の悪さは自称

「クラス1の毒舌」と言っている高校野球マニアだ。

「また学校早く来て勉強してたんかぁ?」

「うん。だってがり勉だからぁ〜。真田君だって世界史ばっかりやってるやん。」


ここは某私立大学附属高校。エスカレーター式に大学に進学する奴もいれば、勉強して別の大学に行く奴もいる。俺はそのままエスカレーター。成吾は最近他大学を受けると言い出して、水樹さんはもちろん他大学のトップクラスのとこを狙っている。全く別の境遇にある3人が、高校2年生になり同じクラスになって仲良くなってつるむようになった。

授業中。俺は授業に集中せず他のことを考えていた。

『もぅ夏休みやなぁ。何しようか...。』

そんなことを思っていると、

「なぁ。夏休みどっか行かへん?」

成吾が振り向いて言ってきた。

「どこ?」

俺がそう聞くと、成吾はんーっと考えて、「あ、プール行こう!な!天野とか潤也連れてさぁ!」プールかぁ。ここ最近全く行ってないなぁ。

「やろ!だから行こうや。高2の夏休みは1回しか来ないんやからさ。」

まぁそりゃあそうだけど。

「いいと思うで?俺はいいで。」

生憎、俺は夏休み一緒に花火を見に行ったりする彼女もいないからな。普通に同意した。


「楽しそうだね。高2で男だけでプールとか。」水樹さんはこっちを向いて見下したように笑顔で言った。

「えーやん別にぃ。何やねん一緒に来たいんか?」

成吾はひやかすように言った。

「嫌〜。」

水樹さんは端麗な笑顔を絶やさない。

そうやって話していると授業が終わり、休み時間になった。成吾のプールの誘いに潤也は

「夏休みはクラブ三昧で無理やわ。」天野は

「プールとか行きたくない。」と言って2人ともパスだった。

「しょうがないって。」俺は成吾に軽く慰めの言葉をかけてやった。

「そぉやな。じゃあ2人で行くか!」

おいおい。プールなんて男2人で行くようなとこじゃねぇだろ。残念だろうがその日はゆっくり安静にしとけや。

「ふふ。結局誰も来なかったんや。」まぁ男共でプールに行こうって言う奴のほうがどうかしてるとおもうけどな。

成吾は椅子にしゃがんで座り首をだらんと垂らしている。かなり落ち込んでいるようだ。

すると、

「プール以外やったら行ってあげてもいいよ。」

まさかだった。まさか水樹さんの口からそんなフレーズが出ようとは思わなかった。

「ほ、ほんま!?じゃあ、祭り行こう!祭り!行ってみたい祭りがあってんなぁ〜。」成吾は水に入れられた魚の如く飛び跳ね、いつもの元気さを取り戻した。

「どこの祭り?」俺は成吾に聞いた。

南野神宮なんのじんぐうってとこの祭り。めっちゃ広くてめっちゃ花火連発する!」

「花火かぁ。それも最近見てないなぁ。」

「花火いいなぁ。じゃあそこ行こ。」水樹さんは同意した。

「よし決まり!それじゃあまた日にち言うから予定空けとけよ。」

俺と水樹さんはうんと頷いた。

「...なんか楽しそうやなぁ。」水樹さんはこっちを見て笑顔をつくった。その笑顔は眩しくて直視できないほどだった。

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