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乙女ゲームの世界に転生したけれど、ゲームをしたことがありません。それでも私、愛と勇気で破滅フラグに立ち向かいます。part5

五章 どうやらここは乙女ゲームの世界らしいですが、ごめんなさい、私、ゲームをしたことは一度もありません。


 私は、一日に一度はクリスを視ることが習慣になった。


 主にフィリップ王子の個人情報収集のためだったが、彼の過去や未来は、あまりに腹立たしいことが山盛りで、だんだん視ることが辛くなってきた。

 そこで、気晴らしに新しい試みに挑戦することにした。クリスで、前世を視ることができないかという、大胆なものだ。

 ここが前世とどんな関係にあるのかわからない。前世とつながるためには時空を超えなければならないのかもしれない。けれど、挑戦する価値はある。

 

 いつも以上に念入りに瞑想に時間をかける。そして、魔力が体中に満ち足りたと感じたその瞬間、私は、目を開いた。

 クリスを両手で支え、そっと覗き込む。

 私を大切にしてくれた人たちは、幸せに過ごしてくれているのかしら? 

 いつもと違い、クリスは一度真っ白になる。けれど、次の瞬間には、懐かしい顔が浮かぶ。

 

 アンジェリカさんとオーナだ。どうやら占いの館にあるオーナーの部屋にいるらしい。それなら、テーブルの後ろの壁に月の満ち欠けの描かれたカレンダーがあるはず。すぐに見つかる。今日が何日なのかまではわからないが、2020年の9月で、私が前世からいなくなってすでに1年以上経っていることがわかる。

 

 二人は深刻そうな顔で話をしている。

「美花ちゃんをあのまま放っておくんですか?」

 美花になにかあったの? 私は、こぶしを握る。

「わかっているわ。だけど」

「オーナーの力なら、あの子の未来をいい方向に変えられるはずですよね?}

「無理よ。だってあの子の未来は、どの道を通っても絶望にしか行きつかないのよ。いくら私だって存在しない未来を作り出すことはできないわ」

「じゃあどうすれば」

「美花に、ほんの少しでも希望を持たせることができれば、違う未来も拓けると思うんだけど」

「希望ですか?」

「そうよ、美花の冷たく凍りついた心を溶かす温もり。ほんの少しでいいのよ。それさえあれば」

「碧ちゃんさえいてくれたら、こんなことには」

 


 いったいどういうこと? 私のせいなの? 私の死が原因で美花は不幸になっているの? 美花はもちろん私の死を悲しんでくれただろう。でもあの超ポジティブな美花ならきっと、悲しみを乗り越えて私の分も幸せに生思っていたのに。

 美花の明るい笑顔を思った瞬間、私の視線は、美花の部屋に飛ぶ。

 美花はカーテンを閉め切った暗い部屋に一人でいる。背中を丸め、じっとしている。でも、手元にぼんやりと明かりも見える。どうやら暗い部屋で一人ゲームをしているようだ。

 仕事に行っていないのは気になるが、お休みの日かもしれない。休日にゲームをしているのなら、そう深刻な状況ではないのでは? 

 

 タブレットの画面に目をやると、やたらキラキラしたイケメンたちと天使のように可憐な少女がいる。

 画面の下に、小さく『ジュエリー・プリンセス』というゲーム名が見える。

 そうか、これは、高校時代から美花がはまっているいわゆる乙女ゲームの類だな。私は一度もやったことがないけれど。


 しかし、このイケメンたち、なんだか見たことのある気がするなぁ。

 

 あれ? あの金髪碧眼はフィリップ王子、あっちの黒髪緑眼はアデル殿下、それに、あの栗色の髪の知性派イケメンは、兄のマテウスじゃないのか? みんな今より大人になっているけれど面影はしっかりある。あとの二人は誰かわからないけれど、恰好から騎士団の人と魔法省の人っぽいな。

 

 さらに目を凝らすと、暗闇にまぎれて気づいていなかったけれど、暗闇よりさらに黒い靄が美花の背中に張り付いている。これはあの、エデルにまとわりついてものよりずっと邪悪な気配がする。

「碧、あと少しよ。あと少しでメイン攻略キャラ、フィリップ王子が落ちるから。そうしたら、あのにっくき悪役公爵令嬢、メグミを破滅に追いやることができる。断罪よ。断罪イベントで目にもの見せてやるんだから」

 意味不明です。

 メイン攻略キャラって何? 断罪イベントって何?

 

 乙女ゲームのオの字も知らない私にわかったのは、美花が主人公の女の子にミドリと名付け、悪役にメグミと名付けているらしいということぐらい。でも、主人公はともかく悪役にも好きな名前をつけられるのかな? 

 そう思った時、悪役と思われるド派手なドレスに身を包んだ令嬢が画面に現れた。

<エリーゼ様、ごきげんよう>

 主人公のミドリがその名を呼ぶ。

 メグミじゃないじゃん。しかもエリーゼって。

 頭痛がしてきた。

 よく見なくたって、あれちょっと育った私だよ。

 

 栗色の少しだけ癖のある長い髪。透きとおるような白い肌。エメラルド色の瞳。ふっくらとした桃色のくちびる。


 ありがたいことに、前世では平凡な容姿だった私だが、エリーゼは、かなり目を惹く美形だ。10歳にして初々しい色気もある。

 自分で言うのもなんだが、さすが公爵令嬢、というみごとな造形美。そんな瓜実顔ですべてのパーツが上品なバランスに配置されているエリーゼには、派手な装いは必要ない。柔らかなくせ毛をそのままに、前髪なしのロングヘアーが一番いいと思う。


 だからこそ言いたい。

 あんなドレス、絶対着ないけど。

 それに、あんな縦ロールの髪型、しないと思うけど。いやもう、絶対しないと心に決める。


<気安く私の名を呼ばないで。元平民の分際で、このエメラルド王国の次期王妃、ヴォーヴェライト公爵令嬢の私に声をかけるなんて、ほんと、礼儀知らずね>

 

 姿かたちは私だけれど、いや、それはないわ。

 私は言わないよ? 分際で、なんて。


「ふん、そんな高飛車な態度をとれるのもあと少しよ。メグミ、あんたは、もうすぐ卒業記念舞踏会でフィリップから婚約を破棄され、国外追放される運命なのよ。しかも、ミドリはその後でフィリップとお別れするんだ。最後のバッドエンドを導くためにね」


 断罪イベントとは婚約破棄と国外追放のことなのか? だとしたら悪くないかもしれない、王家からの婚約破棄は我が家の一番の望みで、国外追放は想定内だ。

 でも『バッドエンド』がよくわからない。

 ああ、でもたしか、美花はバッドエンド好きだと言っていた。

 

 綺麗な男女が、悲恋にうちひがれる様子に美を感じるとかなんとか。でもバッドエンドでは主人公や攻略キャラ、悪役令嬢が、死んだり精神崩壊することもあると聞いたことがある。そんな悲惨な場面は見たくないし見せたくない。

 

 ここで問題を整理しよう。

 この乙女ゲームはエメラルド王国が舞台。主人公がかなりの高スペックなイケメン男子たちの誰かを攻略して幸せをつかむ、というのがゲームの本筋だ、たぶん。

 そして、お約束として、悪役公爵令嬢はどうやら最後のイベントで断罪されるのが運命らしい。


 ただ、美花のおかしな設定のせいで、(ミドリ)が、(エリーゼ)を断罪するイベントに一役かうというわけのわからないことになっている。

 

 しかも攻略キャラに実の兄がいるなんて、最悪だし。兄は素敵だけど、大好きだけど、仲良くなれて最高に今幸せだけど、近親相姦は嫌。無理すぎる。

 

 それにバッドエンドは絶対避けないと。

 

 もう見たくないんだよ。自分も含めて親しい人や周囲の悲しむ姿は、あの樹里の慟哭は今も私の胸をしめつけている。

 いやでも、これはゲームだし。あくまでもゲームで私の転生世界とは関係ないはず。

 

 本当に?

 でも、設定のほとんどが転生世界と同じだよ? 違うのは、フィリップ王子がそれほど高スペックじゃないってことぐらい。


「このゲームでは、すべてのバッドエンドをクリアしたら、誰にでも呪いをかけられる特権がもらえるのよ。そこで私は本物のメグミの滅びを願うの。ゲームの中の空想じゃないのよ。願いを叶えた人がいるんだから」


 なにそれ?

 裏サイトでの殺人委託的なもの?

 このゲームって、そういう闇の世界につながっているの?

 意味がわからない。


 美花は、こっそり覗いている私以外、誰も聞いていない空間に向かって、ずっとメグミへの悪意をまき散らしている。


「あんたのせいで樹里くんまで死んじゃったんだ。絶対に許さない」

 

 樹里が死んだ? 


「食事ものどをとおらなくなって、眠れなくなって。あれは事故じゃない、碧を追いかけて行っちゃったのよ」

 

 嘘だ、嘘だよ。

 私が最後に、生まれ変わったらもう一度会いたいって思ったせい? でも会えてないよ。だから死んでないよね? 嘘だよね?

 

 涙があふれる。

 

 私は、いったんクリスの世界から離脱した。

 泣きながらヴェルデを呼ぶ。

 ヴェルデは私が何も説明しないのに、なにもかもわかっているように、私をあたたかな光と優しい香りで包んでくれた、私が涙をとめるまで。


 

 翌朝、私は、自分に『レフリ』をかけ、泣きはらし腫れた目を治す。ミラやハンナに心配をかけるわけにはいかない。いつもどおり、家族で朝食を食べ、母と刺繍を楽しむ。

 その後でお城から戻ってきた父に、魔法学院の歴史や伝統的な行事、いわゆる学校の七不思議的なものを教えてもらう。

 ここが本当にあの『ジュエリー・プリンセス』のゲーム世界と関係があるのなら、最後の断罪イベントの他にも運命を変えるイベントがいくつかあるはずだ。

 

 ゲームをしたことのない、そしてする機会はもうない私が最低限バッドエンドだけは避けるとしたら、この世界の、特に家族と離れ3年間を過ごす予定の魔法学院の情報を集め、入学までの時間で、起こるであろうことを注意深く推察し、未来をできる限り良い方向へもっていくしかない。

 

 舞踏会での断罪イベントは、婚約破棄を望む私にとって最悪ではないけれど、家族のことを思うと国外追放よりましな結末があるのなら模索したい。もっと酷い運命もあり得るのならそれは避けたい。


 ゲームの世界では、私は主役ではない。主役をいじめ抜き最後に断罪される悪役だ。でも、この世界の私の人生では、主役になるのかならないのか、悪役になるのかならないかは私が決める。

 

 私は戦う。

 

 長い時間をかけての、とても複雑な戦いになる。そう、これはゲーム『ジュエリー・プリンセス』という名の運命との戦いだ。未来は自分で切り開く、決められたシナリオどおりになんてぜったいに歩かない。私は私の足で、私の人生を生きる。

 

 この世界になぜ私が転生したのかはわからない。でも、これほど特別な魔力と精霊の加護を授けられたことにはきっと意味がある、それを私は、運命と戦うための武器としたい。

 

 前世では満たされなかった家族の温もりを、今、私は手にしている。これも強い武器だ。私は一人ではないと思うだけで、強くなれる。


「これでいいんだよね、ヴェルデ?」

「いいんじゃない」

「プラータはどう思う?」

「おやりなさい、傷ついたときは、私が癒してあげるから」

「アマリージョは?」

「もちろん賛成よ。戦いに私はとても役立ちますわ。なんといっても、戦いを制するのは情報ですから」

 風の精霊は、噂話を集めるのが得意だもんね。クリスとアマリージョのタッグ、情報戦には最強かも。

「ロッホは、……いいや」

「どうして?」

「だって、燃やし尽くせば終わりだよ? とか言うに決まってるし」

 ヴェルデとアマリージョが苦笑する。

「インディゴもいいか」

 どうせ、ほら、寝てるし。


「では、いざ出陣!! ということで、みんな、ハーブ園に行くわよ」

「なんで?」

「ローズマリーを摘んでくるの。それでハーブクッキーを作るのよ」

「出陣の第一歩がクッキー作り?」

「美花はね、ローズマリーのクッキーが大好物なのよ」

 美花のために、おいしいクッキーを作る。おいしいは正義だから。どうやって食べてもらえばいいのかはその後で考える。

 

 フレッシュローズマリーを刻む。

 爽快感のある鼻に抜けるような香りが広がる。オリーブオイルに砂糖と刻んだローズマリーを加えて混ぜる。さらに薄力粉を混ぜてこねる。伸ばして食べやすい大きさにカットする。

 ヴェルデは器用だね。型抜きの道具も使わず星形やハート形のものを作っている。

 

 ロッホを呼ぶ。

 温度と時間を指定すれば、ロッホがロッホの魔法で上手に焼き上げてくれる。おいしいものができるとわかっていれば、ロッホも燃やし尽くしはしないのだ。


「できあがったね。まずは試食だよね?」

 精霊、全員集合だ。インディゴも鼻が利くのかたまたま起きていたのか、ちゃんとやってきた。

 みんな、とてもおいしそうに食べてくれている。

「エリーゼ、それで、これをどうやってあの子に届けるつもり?」

 うーん、まったくわからないな。

 でも、こんな時のプラータ様のはず。

「プラータ、なんとかならない?」

「直接渡すのは無理ね。でももし、向こうの世界に強い魔力を持っている人がいれば、魔道具を通して送ることはできるかもしれない」

 強い魔力を持っている人と魔道具?


「一人だけ心あたりがあるわ。魔道具かどうかはわからないけど、私が占いをしていた水晶玉ならあるはず」

 この間視た時には、前世で私が借りていた水晶玉が、今もオーナーの部屋にあった。それにオーナーは本物の中の本物だって、アンジェリカさんが言っていた。

 

 私はクッキーをかごに詰め、自室に戻る。

 余ったローズマリーをハンナに手渡し、ハーブティーを淹れてもらう。

 ハンナのお茶は絶品なのだ。

 それぞれの茶葉の特性を活かし、絶妙な温度と時間で最高の味わいを醸し出してくれる。

 

 はあ、今日もおいしい! と私は大満足だ。

 それを味わってから、一人にしてもらう。といっても、精霊たちは全員そろっているが。


「結界を張ってくれる?」

 

 精霊はみな結界を張ることができる。微妙に特性が違うらしいが私にはまだよくわかっていない。

 今回はインディゴが引き受けてくれた。まかせておけば、その時々で最適なものをそれが得意な精霊が張ってくれる。

「まず、あちら側の魔道具を光らせるのよ」

 プラータが教えてくれる。

 

 私はオーナーの部屋を映し出し、クリスにお願いする。水晶玉を光らせて欲しいと。


「それが魔道具ならなにかしら反応するはずよ」

 しばらくすると、あちらの水晶玉が淡い光を放ちだした。青と黄色、それから白い光。


「あれは、あの魔道具にこめられている魔力の色よ。こちらと少し性質が違うようだけど、なにかしら魔力が存在するのは間違いないわね」


「それなら、モゴッ、うまくいくかも、モゴッ、しれませんね」

「アマリージョ、つまみ食いは禁止」


 自分も、と手を出そうとしていたロッホがあわててその手を引っ込める。おばかさんね、とヴェルデはすまし顔だけれど、口のまわりに粉がいっぱいついているからね!

「それは美花に渡すぶんだからね。つまみ食い禁止よ。わかった?」

 皆、コクコクとうなづいている。


「エリーゼ、あちら側の方が、光に気づきましたよ」

「プラータ、次はどうすればいい?」

「魔道具同志はつながっているから。あちら側と視線が合えば、話しかけてみて」

「わかった」

 

 私は、クリスをじっと視つめる。タイミングを逃さぬように。

 視線が絡み合う。今だ!!

「オーナー、私、碧です。視えますか?」

「碧ちゃん? 声は確かに。でもどう見たって、あなた、異国の王女様よ。リトルプリンセス?」

 そうだった。あちらでは平凡な学生だったけれど、こちらでは公爵令嬢。おまけにまだ10歳。


「私、あの直後異世界に転生したみたいなんです。こちらの世界は、魔法あり、精霊ありのファンタジーあふれる場所で、おまけに私公爵令嬢だったりするんです。ちなみに、現在10歳です」

「なるほど」

「あれ? さほど驚いていませんね」

「転生も転移も、なくはないからね」

 そうなの?


「でもよかったわ。あなたが、新しい世界で新しい人生を歩んでいるのなら、ほんとうに」

 オーナーは泣き笑いのような表情でそう言う。

「ごめんなさい。あんな最後で、みんなを悲しませて」

「碧ちゃんが悪いんじゃないけど。でもあれから何もかもがうまくまわらなくなって、悲しい出来事が重なったの」

 

 樹里の死。美花の絶望。他にも色々あったのかもしれない。オーナーが樹里の名を出さないのは、きっと私を慮ってのことだろう。


「美花のことなんですが」

 オーナーの顔が曇る。

「美花は引きこもりになっちゃってね。色々試してはみたんだけど、私の力ではあの子をあの暗闇から救い出すことができないの。このままじゃ近い将来、あの子は本物の闇になってしまう」

「知ってます。私、視たんです、美花の部屋を。だから、なんとかしたくて。精霊と相談したら、魔力のある人と魔道具を通してなら連絡がとれるかもしれないって教えてくれて」

「そうだったの」


「お願いがあるんです。美花を、陽のあたる場所に連れ出すために協力して欲しいんです」

「私にできることならなんでもするけど、あの子の絶望は深いわよ。憎しみで心を閉ざしているの」


「私が、別の世界で生きていることを伝えてください。ちゃんと元気でやってるって。今は優しい家族に囲まれてとても幸せだって」

「わかったわ。やってみる。扉の外から一方的に話すことならできるから。でも信じてくれるかしら」

「信じてくれます。今から私の手作りクッキーを送りますから。それを食べてくれたら絶対に。だって美花はこんなおいしいクッキーは世界に一つしかないって、いつも言ってくれてたから」

「クッキーを? どうやって?」

 どうやって? 確かに。


「プラータ?」

「クリスちゃんは優秀だから、私の光魔法で強化すれば、エリーゼが願うだけで届くと思うわよ。あちらからこちらには無理でしょうけど。魔道具の質も魔力も違いすぎるから」

 なるほど、なるほど。

「ではお願いします。プラータ様」

 

 白銀の光が、私とクリスを包み込む。強い魔力が全身をめぐるのがわかる。

私は、カゴに入ったクッキーをクリスの上にかざす。その瞬間、クッキーはカゴごとクリスに吸い込まれていった。同時にあちら側の水晶玉が光るのが視える。

 二秒ほど後に、水晶玉からクッキーが光に包まれ出てくる。

 でも、私は視た。カゴの中から一枚のクッキーが水晶玉に吸い戻されていったのを。

 クリス、つまみ食いしましたね? 

 私が眉根を寄せると、クリスは水晶玉のはずなのに、ほにゃッとへこんですぐに元に戻った。私は自分の心の平安のために、それは見なかったことにする。


「まったく、碧ちゃんは転生しても規格外なんだね」

 うん? 前世では何もかもがごくごく平凡だったはず。

「とにかく、それを美花に届けてください」

「わかったわ。でも、食べてくれるかどうかはわからないわよ?」

「はい。そうだ、伝言にこう付け加えてください。私はバッドエンドは苦手なの、と」


「それは、どういう?」

「秘密です。でも美花には、それできっと通じるはずです」

「そう。それなら、さっそく訪ねてみるわね」

「お願いします、あ、あとアンジェリカさんにも伝えてください。私は元気でやっている安心してくださいって」

 オーナーは、必ず、と微笑んでくれた。

 

 それから毎日クリスに魔力を与え、祈りつづけた。美花が私の想いを受け取ってくれることを。

 

 こちらの世界で三日が過ぎだ。

 私は、できるだけ日常を変えないように生活している。今は、カールさんと一緒にハーブ園のお手入れ中だ。ヴェルデの加護のおかげでハーブの種類も増え、それぞれ順調に育っている。ハーブ園の醸し出すかぐわしい香りは、今では家族にも大人気だ。


「雑草だと思っていたけど、香りもいいし、それになんだかここに来ると気持ちが落ち着いて、ゆったりした気分になれるな」

 特に兄は、そう言って頻繁にここを訪ねてくれる。

 

 私も同じだ。ハーブ園は厨房と同じように、私の癒しの空間になっている。

 母は、「厨房仕事だけではあきたらず、庭仕事に精をだすなんて。どうしたらあなたを立派な令嬢に教育できるのかしら」と嘆いていたが、手作りバスソルトと一緒にラベンダーの精油をまぜて作った石鹸を渡したところ、ハーブ園の手入れには目をつむってくれるようになった。


 デトックスやスキンケアの助けになったのか、お茶会では母の肌がきれいになったと評判らしい。そうとう腕のいい魔法師を雇ったのではと探りを入れられているそうだが、この世界の人はそろそろ気づいたほうがいい。魔法でできないこともたくさんあることに。

 

 たとえば肌荒れを治す魔法をかけても、あくまでも元に戻るだけだ。それ以上を望むのなら、自らの努力と工夫が必要だ。魔法は便利だが万能ではない。私は一人、ハーブ園の真ん中で拳をふり上げる。それをカールさんが生温い笑顔で見つめていた。


「エリーゼ、クリスが呼んるよ」

 ヴェルデが呼びにきてくれた。

 今までクリスが私を呼んだことはない。いつも私がクリスに呼びかけることから、天眼がはじまる。

 私はあわてて部屋に戻る。途中でそれを見かけた母が、「エリーゼ、ドレスをたくし上げて走ってはいけません!!」と怒っていたが、とりあえずスルーだ。


「お嬢様、大変です。あの、お嬢様のクリスタルが急に光はじめて」

 部屋ではミラとハンナが同時にクリスを指さし、わずかに震えていた。

 申し訳ない。クリスと向き合う時はいつも二人には部屋を出てもらっていた。私が部屋にいないのに、突然クリスタルから光があふれ出たら、なにごとかと怖くなるのは当たり前だよね。しかも私の魔力に染まっているから、七色だし。


「ミラ、ハンナ、ごめんね。驚いたよね。これはちょっとした、なんていうか精霊のお呼び出し? みたいのもので怖いことは何もおこらないから」

「本当でございますか?」

「ほんと、ほんと。で、一人にしてもらえたら嬉しいんだけど」

 前世のからむことに、こちらの人間を関わらせることはできない。たとえ家族でも、信頼している侍女たちでも。

「本当に、お嬢様に危険はないんですね?」

 私は大きくうなづく。二人はしぶしぶという様子で部屋を出る。でもきっと母にご注進の上、扉に張り付いているつもりだろう。何かあれば、すぐに飛び込んでこられるように。



「ヴェルデ、結界をお願い」

「インディゴを呼んだほうがいいよ」とヴェルデ。「あいつの結界の中だと、相性のいいプラータの魔法が強くなるから」

 そうなんだ。すぐにインディゴを呼んだが、出てこない。

「いないみたい」

「寝てるだけだよ。エリーゼが本気で名前を呼べば起きるから」

「インディゴ、起きて!」

 私が少し切れ気味に呼ぶと、ふぁーい、と間の抜けた声でインディゴが姿を現す。今日は藍色の子オオカミの姿だ。


「結界をお願い」

「頑張る。プリン」

 頑張るのでご褒美はプリンがいいということね。

「準備OKね。クリス、プラータ、お待たせ」

「あちらの魔道具が呼んでると、クリスが言ってるわ」

 やっぱり。


「つなげてくれる? クリス」

 クリスがオーナーの顔を映し出す。

「碧です。お待たせしました」

「ああよかった。つながったわ」


「美花に、伝言つたわりましたか? クッキーは食べてもらえたのかな?」

「ええ。時間はかかったけど、美花ちゃん、クッキーを食べてくれたの」

 オーナーは、水晶玉を通して異世界に転生した私とつながったこと、その世界で私が元気にくらしていること、美花を案じて手作りクッキーを届けたことなどを、扉の前で話してくれたらしい。

 美花からは返事さえなかったらしい。

「それから、意味はわからなかったけれど、バッドエンドは苦手だっていうあのセリフね、あれを最後に伝えたら、コトッと小さな音が部屋から聞こえたの」

 だからしばらく、美花が部屋から出てくるのを待ったけれど、また静まり返ってしまったので、クッキーを扉の前に置き、戻ってきたそうだ。

 

 それから一週間ほどたった頃、突然美花が占いの館に顔を見せたらしい。

「クッキーを食べたら、なにもかもが本当だって信じられたって。あのクッキーは碧ちゃんの味だから。いつも私のためだけに焼いてくれた、ローズマリークッキーの味そのままだって言って、泣いていたわ。でもそれはとっても嬉しそうな泣き顔だったのよ」

「そうですか、良かったです」

 私がこちらで幸せなのに、美花が絶望しているなんで耐えられないから。


「ありがとうね、碧ちゃん。あなたのおかげで美花にいくつもの未来が開けたわ」

 オーナーには、美花の美しい未来も視えるようになったのだろう。

 おそらく、どんな未来を生きるのか、ちゃんとそばで見守ってくれるはずだ。


「そんな。美花には、たくさんの愛と温もりをもらいましたから。美花と樹里のおかげで、私は不幸な終わり方でしたが、それでも、幸せな人生だったと思えるんです」

 オーナーが、スッと表情を引き締める。


「その、樹里くんのことだけど」

「知っています」

 私は、オーナーの言葉をさえぎる。

「最初は悲しくて涙が枯れるほど泣いたけれど、今ではこう思っています。私がこの世界に転生したのだから、彼もどこかで新しい命を生きているはずだと」

「そう、知っているのね。美花は、樹里くんが歩道橋の階段を踏み外して転がり落ちるところをその目で見てしまったの。だからよけいに、その死は美花を痛めつけたんだと思う。それまでは、あなたがいなくなってひどく落ち込む彼を、碧ちゃんの分も生きなきゃだめだって、ずっと励ましていたのにね」

 そうか、そんなことが。

 

 美花、ありがとう。あなたはやっぱり私の親友だよ。私のために樹里を案じてくれてありがとう。そしてごめんね。あなたをそんなに辛い目に合わせて。


「それで、今日は美花も館に来ているのだけれど、部屋に入れてもいいかしら?」

「美花が!? もちろんです」

「でも、驚かないでね、美花は、ずっと部屋に引きこもって食事もほとんどとっていなかったから、別人のように痩せちゃって」

 なんとなくわかっていた。

 あの背中は、私の知っている美花より一回りも二回りも小さくなっていた。

「大丈夫ですよ。それより、美花がこちらを視ることができるのか、視えたら見えたで、私の今のこの姿にドン引きするんじゃないかって、それが心配です」

 オーナーがそれはそうね、と笑う。


「エリーゼ、魔力のない人と通じ合いたいのなら、魔力のある人と手をつないでもらえばいいんじゃない?」

 ヴェルデがそうアドバイスしてくれる。そういえばこちらでは、魔力は、一時的になら他人に流すことができる。強いものから弱いものへの一方通行で加減を間違えると弱いもの心身を害するので慎重にしなければいけないが。私は、オーナーにそのことを伝える。

 

 美花が部屋に入ってくる。

 本当に、痩せた。頬がこけ、目にはクマができている。足取りも弱い。

 それでもその目には強い意志が見てとれる。

 

 大丈夫だ。これなら、体を癒し健康を取り戻せば、きっと元の明るい美花に戻れる。

 

 オーナーと美花が手をつなぐ。こちら側からプラータがサポートの魔力を送ったようだ。彼女の白銀の光がつないだ手と手をふんわりとくるむ。


「美花、こちらが見える?」

「うん、見える。見えるけど、本当に碧なの? その姿って、あの」

 そりゃあ、びっくりするよね。


「あらためて自己紹介をするね。私は、元大学院生、二階堂碧。現エメラルド王国、ヴォーヴェライト公爵の長女、エリーゼ、10歳です」

「ということは、やっぱりあのエリーゼ?」

「そうなの。どうしてなのか、『ジュエリー・プリンセス』の世界に転生しちゃって、よりによって、あの悪役公爵令嬢のエリーゼとして第二の人生を送っているの」

 あらかじめ、オーナーから少しは今の私の事情を聞いているはずだ。

「そんなことって」

 それでも、自分の目で今の私を見て声を聞けば、その内容とともに美花は強い衝撃を受けているようだ。


「私、ゲームとかやったことないじゃない? だから全然気づいていなかったんだけど、こっちでも水晶玉を手に入れてそれを覗いてびっくりよ。だって美花のやってる乙女ゲームに、この世界はそっくりなんだもの。おまけに、私、ゲームの悪役で断罪されちゃう運命だっていうじゃない?」

 美花は何と答えていいのかわからにのだろう。困った顔でうつむく。


「だからね、助けてほしいの美花に。ジュエリー・プリンセスに詳しい美花に、どうやったら私がこちらで幸せに生きていけるのかをいっしょに考えて欲しいの。といっても、主役をおしのけてイケメンの王子様と結ばれたいわけじゃないのよ? 私の願いは、せっかくこちらで手に入れた優しい家族を大切にして、手にした魔力や精霊の加護を人々のために使って、こちらの世界を今より少しでも住みやすい場所にしたいっていうか」


「碧、やっぱりあなたは碧だね。そんなことを、あのエリーゼが言うわけない」

「このエリーゼはだって二階堂碧だからね。結局、私は、どこにいっても碧なんだよ。碧にしかなれないっていうか」

 碧は碧にしかなれないか。そうだね、と美花が笑ってくれる。

「わかった。手伝うよ。碧の小さな野望を」

「ありがとう」


「それで、具体的には私に何ができる?」

「ゲームの情報が欲しい。こっちの世界は、ほぼ『ジュエリー・プリンセス』だから。でも違うところもあるから、その情報の精査や検討が必要なんだけどね」

 その言い方、リケジョの碧らしい、と美花が笑う。


「たとえば、どこがどう違うの? 碧は、このゲームをほとんど知らないよね?」

「とりあえず、メイン攻略キャラっていうのかな、あのフィリップ王子なんだけど、容姿は確かにゲームのとおり端麗なんだけど、性格も頭も、イマイチっていうか」

「そうなの?」

「ほんと、がっかりなの。あれがメインって。しかも今、私の婚約者だし。我が家ではなんとか穏便に婚約破棄ができないかって、日夜模索してるのよ」


「そんなに? でも卒業記念の舞踏会で婚約は破棄できるはず。その後がどうなるかは色々あって、碧が幸せになるにはどんな方法があるのかを考えないとダメだけど。そこは絶対だと思うよ?」

「それもいいかと思うんだけど。それだと、宰相である父も、超有能で国の次代を担うはずの兄も巻き込んで、最悪母の母国へ亡命とかになるんだよね。それはこの国の多大なる損失になると思うの。あとね、今私は、全属性魔力の持ち主で5つの加護持ちなの。だからなんだかんだ国に拘束される可能性もあるんだよ」


「意味わかんない。あのゲームの中では全属性魔力って、神話の中にでてくる神様レベルの話だよ。それに加護が5つなんてありえない。主人公が加護を3つ受け取ってそれで聖なる光魔法が使えるようになって、聖女認定されて、平民なのに貴族の養女になって学院にくるんだから」

「そうなんだ。初めて知ったよ。だけど光の精霊の加護のおかげで、私も聖なる光魔法が使えるんだよ。私はそれをクラシオンって名前をつけて使ってるんだけどね」

 美花が、空いている左手でこみかめを押さえる。


「碧、その世界はあのゲームの世界にすごく似ているけれど、決定的に違うところがあると思う」

「やっぱり、フィリップ王子だよね。あの子は、残念すぎる」

「違うよ。それより、エリーゼが碧だってことだよ。そのせいで、その世界が色々変わってきてるんだと思う」

「そうかな?」

「さっき、家族のこと優しいって言ってたよね?」

「うん。私が転生に気づく前のエリーゼの記憶はないんだけど、私ってすごくわがまま娘だったらしくて最初は兄がちょっぴり厳しかったんだけど、今はとっても優しいの。というか甘やかしすぎかもね。母は小言が多いけど、手作りのお菓子を上げると優しくなる。父も私の作るカレーが大好きなの」


「ゲームではね、お兄さんのマテウスにエリーゼが刺殺されるエンドもあるのよ。他にも、あなたが家族の争いに巻き込まれて闇に染まり、闇魔法で周囲を破滅においやっていくストーリーもある。とにかく誰を攻略してどんなエンドを選んでも、公爵家の家族はきほん、冷え冷えとした関係なの」


「それはないな。うちの家族が不仲になるってことは絶対にない」

「だとしたら、その世界は、すでにゲームのシナリオと大きく変わってきてるってことよ。だってそんなあたたかい家庭で家族に愛されまくった子が、悪役令嬢になるはずないもの」


 確かにね。この先、もしかしたらとんでもない不幸が我が家を襲うかもしれないけれど、今のうちの家族なら一致団結、どんな不幸にも負けずに頑張れるはず。だから私も闇に染まったりしない。

 うん? 闇といえば。

「闇魔法はもう使えるんだった。闇の精霊の加護ももらってるから。でも誰かを不幸にする魔法なんてぜったい使わないよ。そこは信じて」

「闇の精霊の加護って、どんだけ非常識なのよ。ゲームのシナリオライターもびっくりよ」

「ごめん」


「いや、碧だからしかたないと思うけど。でもちょっと疲れてきたよ。碧が碧すぎて」

「そうだった。まだ本調子じゃないんだものね。そんな状態で来てくれてありがとう」

「ううん。私こそありがとう。クッキー、ほんと、おいしかったよ」

「どういたしまして。だって美花は私の大切な親友だから」

「また話せるかな?」

 私はチラッとプラータを見る。


「あと一度なら大丈夫かと。それ以上はあちらのの魔道具がもたないと思います」

 あと一度、つまり次が最後。

「ただ、今までどおり、こちらからクリスで一方的に視ることはできますよ」

「美花、聞こえた?」

「うん」

 美花は泣きそうな顔だ。私だってつらい。


「美花、そちらは、今日は何月何日?」

「11月20日だけど? ちなみに金曜日」

 時計は11時は30分だ。

「それなら、1週間に1度、金曜日の午前11時に私はここを視ることにする。だから、もし伝えたいことがあるのなら、そのオーナーの机にメモを置いておいて。もちろん、時間があれば居てくれてもいいけど、やっぱり一方的に覗き見するわけだから」

「覗き見はいいけど。この部屋で見られたら困るようなことしないからね。だけどそんなことできる? そっちとこっちじゃ時間の進み方も違うかもしれないし」

「大丈夫、私はこちらの世界の好きな時に、そっちの好きな時間を指定して視られるから」


「チート過ぎるよ」

「チートって?」

 チートって、いかさまとかずるいっていう意味の英語じゃなかったっけ。

「ずるいほど強いとか、能力が凄すぎるってこと」

 なるほど。

「最後は、私からつなげるよ。もう心配しなくても大丈夫。『ジュエリー・プリンセス』との戦いに勝ったよ、って報告できるときに」

「わかった。でも今日これだけは伝えておく。攻略キャラは5人いるの。フィリップ第二王子の他に、第一王子のアデル、それからあなたのお兄さんのマテウスと、天才魔法師で財務大臣の三男のオスカー、シュミット辺境伯の次男で学院一の剣の使い手のレイナード」

 

 この情報はとても助かる。以前視た画面で、あと二人がどこの誰かまったくわからなかったのだから。

 兄に監視の必要はない。フィリップ王子はこのまま要監視対象。アデル殿下のことは兄に頼めば問題ないはず。オスカーとレイナードのことは、父に頼もう。優秀の諜報機関を持っているようなので、ある程度は情報が集まるだろう。


 家族にゲームのことは話さなくてもいいだろう。

 クリスで視えた、プラータから助言された、アマリージョから聞いた、理由はその三つを使いまわせば家族の理解は得られるはず。

 もちろん、クリスと全精霊の力も借りるつもり。特に風の精霊アマリージョには期待している。彼女の情報収集力は半端じゃない。


「チートだってことはわかったけど、でも気を付けてね。碧はちょっと、ううん、かなり猪突猛進なところがあるから」

 そんな記憶はない。

「グラウンドの真ん中や花壇のそばで、よく、突然立ち上がってこぶしをふり上げてたよね?」

 あ。

「その後必ずなんかをやらかしてた。校長に直談判で園芸部を立ち上げたり、突然体育祭で応援団長に立候補したと思ったら、」

「美花さん、もう大丈夫です」

「そう? だからくれぐれも慎重にね」

「うん」


「私は学院でのルートごとのイベントをまとめてみる。私の知らない隠しイベントとかもきっとあるはずだから」

 そこで、唐突に美花との通信が途切れる。魔力の限界だったようだ。

 疲れた、嬉しすぎて。

 とりあえず、私は、厨房に向かう。精霊のみんなお礼をしなくてはいけないし、母のお小言を手短にしてもらうためにも、特製焼きプリンを作ることにした。




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