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留学終了。エメラルド王国に戻ってきました!! part2

第39章 ホームではほっこりするよね。


「実は、一週間ほど後に、ラピスラズリ神聖帝国から植物学の研究者がお二人、学院に共同研究のためにやって来られる」

 なんですって。

 それは色々驚きますよ。

 まず、ラピスラズリ神聖帝国に植物学という学問が存在していたということ。

 あの国で、いったい何のために、植物を研究しているのだろうか?


 薬のため、とは考えにくい。帝国は、エメラルド王国以上に魔法至上主義だ。たとえば、今私たちが取り組んでいる薬草と魔法を融合して創り出そうとしている、体力や魔力を回復する薬など、神職の扱う回復魔法こそが絶対のあの国で認められるとは思えない。ましてや薬草だけで作る安価で庶民に向けた薬などもっての外だろう。

 むしろ排斥されるべきものでは?


 植物形態の魔物もいる。

 その研究だとすれば、植物学とはいわないだろう。オニキス大公国でも魔草学はあったが、植物学は存在しなかった。

 

「共同研究者に、エリーゼとカーリー、それにアルベルトを望まれている」

「なぜでしょうか?」

「お前たちのレポートを読まれたようだ。研究に行き詰っておられたようで、以前から、少しでも植物に関連するレポートがあれば、国を超えて集めていらしたとか。今回、アデルが神聖帝国訪問中に、君たちのいくつかのレポートを見せたことがきっかけで、我が国でしばらくともに研究をしたいと申し出があった」

 だとすれば、やはり植物由来の薬、おそらく魔法との融合で作り出すポーションに興味を持たれたのか。

 いや、もしかしたら、あれか?

 でも、あれはまだ構想中のもので、提出したレポートも、こんなことができたらいいのでは? 的なもので正直内容はほとんどない。研究費を少しでももぎ取るために書き上げたもの。

 会ってみて、話を聞いてみるべきだろう。


「お会いしてからの返答になると思いますが」

 どちらにしても、私一人のことではない。私の騎士であるアルベルトはともかくカーリーを巻き込むのなら、その内容や相手の思惑によってはお断りもあり得る。

「それはエリーゼにまかせるよ。あくまでも、一研究者として参られるということで、お一人は枢機卿だがその権威をかざすことはないとおっしゃっている」


 枢機卿って、ほんと、色々なんだね。

 もうどんな枢機卿が出てきてもびっくりしないでおこうっと。


「その方たちのお名前は?」

「ジョナサン・フォン・パーキンソン枢機卿と、もう一方は、ユリウス・フォン・ザックス公爵だ」

 

 前世での偉大な植物学者に、ジョン・パーキンソンという人物がいた。彼は偉大なハーバリストでもあり、造園家としても名高い、植物学を専攻する者なら誰でも知っているはずの大物だった。

 彼の著した有名な園芸書、『日のあたる楽園、地上の楽園』の表紙には、羊の入った実がなる伝説の植物バロメッツが描かれていて、私はそれを、オニキス大公国の魔草学の授業でウリンダの実を学んだ時に、脳裏に浮かべたものだ。

 その人物に、きわめて似通った名を持つ植物学の研究者、となれば胸は高鳴る。

 それに、ユリウス・フォン・ザックスにいたっては、近代植物生理学の祖とされている大物と同姓同名だ。


 これは、ミケランジェロ的な人たちなの?

 前世と同じく同じ分野で名を遺すかもしれない人たちという意味で。


 もう会うしかない。

 そして、もし、アルベルトやカーリーに不利な何かがあるとしたら、私一人でもこの研究に、といってもいまのところなんの研究かはわからないが、参加するべきだろう。


 ミケランジェロがいれば、アリストテレスがいてもニュートンがいても不思議はない。

 でも、ジョン・パーキンソンやユリウス・フォン・ザックスはどうなのかな?


 私にはピンポイントだけど。


「前世で私が学問で影響を受けた偉人に、お名前が重なっているように思います」

「まことか?」

「とはいえ、名前が似ている、同じだからといって業績が同じとはかぎりません。お会いして、よく、お二方の人となり、学問への取り組み方を確認させていただきたいと思います」

「そうか、なら、アテンドも含め、お二人をよろしく頼む」

「うけたまわりました」


 なんだかとてもわくわくしてきた。

 大好きな分野で、いまよりずっと深く研究に取り組めるかもしれない。


 もし、断罪で国を追われても、研究は続けられるはず。

 私の頭と心に、知識と熱意があるかぎり。


 

 早速、カーリー、それに事情を知っておいてもらって方がいいレイチェルと3人で、学院の食堂に集まる。アルベルトは騎士科でレイナードと剣のお稽古中らしいので、後で打ち合わせだ。

 それもあり、言いがかりに合わないように、王族が出入りする貴族用の食堂から一番遠いテーブルにつく。

 

 とにかく第二王子にさえ出会わなければ、ここはパラダイスだからね。



「どうしたの? すっごく嬉しそうね」

 レイチェルが不思議そうにカーリーを見る。

 そういえば。

 カーリーは、カレーを食べてニマニマしている。

 どうやら、彼女は気づいたようだ。

 香辛料の配合を変えたんだよ、それ。

 戻ってすぐに、蒼の森で見つけた新しいハーブを、食堂のシェフに渡し試してもらった。


 それは、パクチー。

 乾燥させて香辛料コリアンダーとしてカレーには配合してもらった。これで香りにいっそう深みが出る。

 前世では、パクチーは、生だと苦手な人も多かったけれど、香辛料のコリアンダーが入ったカレーが嫌い、という人はあまり聞いたことがない。


パクチーは栄養価が高くビタミン類を豊富に含んでいる。デトックス効果や解毒作用を持つ硫黄化合物も含んでいるハーブだ。他の香辛料との相乗効果を考えると、カレーにぴったりなハーブだともいえる。


「だって、おいしいカレーがさらにおいしくなっているんだよ。なにこれ、ああ、もうとってもおいしいわ」

 こんなに興奮しているカーリーは珍しい。

 カーリーだけにカリー好きとか?

 なわけないね。


「新しいハーブを見つけたの。蒼の森で。それを食堂のカレーのスパイスに加えてもらったのよ」

「ああ、エリーゼ、あなたはカレーの女神だわ」

 そんな女神になりたくはないが。


「さっそく、そのハーブをハーブ園で育てましょう」

「そうね、これよ。パクチーというのだけれど」

 私は、ふたりに、保管してくれていたヴェルデからパクチーを受け取りテーブルに置く。

「独特な香りね。好き嫌いが分かれるかも」

「そうなの。でもねこっちがこれの果実や種子を乾燥してすり潰した粉末なんだけど」

 私は、小さなお皿にコリアンダーシードを伸せる。


「いい香り、どこかオレンジの香りに似てるわ」

「ほんとね。スパイシーでもあり甘みも感じる。とても有能な香辛料ねこれは。これをカレーに入れたのね?」

「そうよ。生の葉も、この香りに抵抗がない人にはいい薬味として受け入れられると思うの。生のこれに合う料理をいくつか知っているから、今度試してみて」

 

「わかった。とりあえず、ハーブ園の一画にこれを植えましょう」

「ヴェルデ様お手伝いをお願いできますか?」

 レイチェルのお願いをヴェルデは喜んで、と引き受ける。

 ヴェルデは、その植物にいい土や育て方を教えてくれるので、植え付けにヴェルデの指導が入ると、その後のハーブの育ち方がとってもよくなる。

「この子は、わがままを言わないから育てやすいわよ。愛情さえかけてあげれば、もりもり育つから」

 それは心強い。

 もし、薬にも利用するのならそれほどありがたいことはない。

 ヴェルデやアマリージョの知恵を借りて、解毒剤の原料の一つにできないかと考えている。

 魔法の使えない人たちが、毒虫や毒蛇にやられたときに飲んだり塗ったりすれば毒が和らぐものができれば嬉しい。


「カーリーに相談があるんだけど」

 私は、カーリーがカレーを食べ終えてから、例の研究者たちとの共同研究の話を切り出す。


「私は、植物を本気で愛してくれている人たちとなら一緒にやってもいいかなと思っているわ。でも、あちらがどういう思惑でここへやって来るのかがまだわからないから、いずれにしても会ってからの判断になると思うけど」

「私もいいよ。でも、いったいどの研究をいっしょにやりたいのかしらね? 私とエリーゼとアルベルトで提出したレポートっていくつかあるよね」

「植物の特性を魔法で向上させて、薬を作る、っていうあれだといいね。……といっても私には関係ないけど」

 レイチェルが少し寂しそうに微笑む。

「そうでもないのよ。私たちが、共同研究を受け入れれば、どうしたってそちらが中心になるから、文官養成家での仕事の分量が減ると思うの。そうなるとレイチェルの仕事量が増えるでしょう?」

 私たちの今の仕事をすべて把握しているのはレイチェルだけ。

 レイチェルの役割はとても大きい。


「それに、レイチェルがいないとただの研究で終わっちゃうかもしれないし。もし成果が出たら、それをどう経済的にプラスに使っていくのか、それを考えてもらわなくてはね」

 それだよね。

「私たちの研究は、好奇心で始まり、誰かの役に立ちたいと言う気持ちを持って取り組むけれど、慈善事業で終わっちゃだめだもの。ちゃんと利益を確保して一人でもたくさんの人の笑顔を生み出して、そして次の研究につなげる、これが基本だからね」

 まかせて、とレイチェルが今度は嬉しそうに笑う。


「アルベルトはなんて?」

「私次第だってさ」

「彼はもう、すっかりエリーゼの騎士(ナイト)だね」

「それもねえ。辺境伯家からいつ厳しいご意見がくるかびくびくものよ。大切な跡取り候補をうちでいいように使っちゃってるわけだから」

「それは心配ないと思うよ」

「なぜ?」

「家はレイナードが継ぐと、内々で決まったそうよ」

 えっ!?

「辺境伯様に先日お会いしたの。婚約の件で」

「やったね。とうとう正式に婚約するのね」

「ええ。うちの領地経営を立て直してからと思っていたのだけれど、ラベンダーの生育もヴェルデ様のおかげで順調だし、エリーゼの提案してくれたラベンダーを薬や美容品の原料とするだけじゃなく、花の美しさと香りを観光の目玉にするっていう計画もなんとか目途がついて、それで父も安心してお嫁に行ってもいいよ、と言ってくれて」

「おめでとう」

「ありがとう」

 頬をそめるレイチェルの、なんと可憐なこと。

 恋って素晴らしいわね。


「それでね、その時少しアルベルトのこともお話が出たのだけれど、辺境伯様は、公爵家とのつながりが深くなることをとても歓迎していらしたわ。跡継ぎはレイナードに任せて、アルベルトの優秀なその頭脳と剣を、エメラルド王国にとって最重要な家であるヴォーヴェライト公爵家につくせばいいとも」

「そうなんだ」

 意外だ。

 なんていうか、辺境伯様はどこの派閥にも属さない孤高の人って印象だったから、うちと関係ができるのは内心やっかいだと思っていらっしゃると、そう思っていた。


「辺境伯様は、常に緊張感のある国境を守っていらっしゃるだけあって、ヴォーヴェライト公爵家のお力だけでなく、エリーゼの持つ能力がどれほどこの国にとって貴重で大きなものかを正しく理解されているようよ。これまでのあなたの活躍をレイナードやアルベルトが、きっちり報告しているからでしょうけど」

 

 でも、私が断罪になれば。

 そこにアルベルトを巻き込むわけにはいかない。

 だけど。

 アルベルトは、おそらく私を守ろうとする。どれほど私がそれを拒否しても。

 彼はそういう人だ。


「私、思うのだけれど、エリーゼは、とっととアルベルトと正式に婚約すればいいのではないかしら?」

 そう言いながら、カーリーが立ち上がる。

 どうやら、カレーをおかわりするようだ。


 おや、カーリーの肩にちゃっかり乗っているのはロッホでは?

 どういうこと?

 最近、うちの精霊たちは、姿を無防備にさらしすぎているような。

 一応、ヴェルデだけっていう建前なんだけどな。

 ああ、でもオニキス大公国でプラータのことも大っぴらになったから、もう開き直ってもいいのかもしれない。

 加護が多いからって、面と向かって文句を言う人いないだろうし。

 

「エリーゼはいちおうあの王子の婚約者だから、それは無理よね」

 レイチェルがため息をつく。

 貴族だけに、カーリーと違い王命の厳しさを知っているからだろう。

「そうね。父が何度も国王陛下に解消を申し入れているのだけれど、なかなか許可が降りないのよね」

「なんでだろう?」

 本当に。

 あちらもあれほど嫌がっているのだから、こんな婚約は一日も早く解消した方がいいに決まっている。

「王妃様が反対されているようよ。代わりに、お兄様のほうか弟君と婚約するのなら認める、とはおっしゃっているようだけれど」

「弟君はともかく、お兄様ならいいじゃない? 継承権を放棄されているのが嫌なの?」

「まさか」

「ならどうして?」

「その場合は、私を女王にするとかおっしゃっているからよ」

 あのお茶会での王妃様の発言は、兄とアデル殿下を結婚させてもいい、というもの以外は、すべて本気だったらしく、国王陛下のお言葉として父に伝えられている。

 こちらとしては、承諾できるものではない。

 それなら、国外追放の方がずっといい。


 カーリーが戻ってきた。

 おかわりは、どうやらロッホのお願いだったようだ。

 ロッホは、器用にスプーンを扱って物凄い勢いでカレーを食べだす。

 うん?

 ロッホの体、いつも以上に真っ赤じゃない?


「ロッホ、大丈夫?」

「何が?」

「赤いよ。いつもより」

「ああ。体の中から力が漲ってくるようだ。なんだこれは。燃えるようだ」

 というか、燃えているのでは?


「カーリー、もう少しロッホから離れて。セレステ、来て」


「どうかした? エリーゼ」

 セレステがすぐに顔を出してくれる。

「セレステ、ロッホが燃えているの」

「ああこれね。どうやら、ロッホの魔力と相性のいいものがこの料理に入っているようね。魔力が半端なく大きくなっているわね。凄いね」

「燃えているのに、何をそんなのんきに」

 というか、燃えながら食べ続けるロッホも、どうかしている。

「大丈夫、あれは火じゃないから燃え移ったりするものじゃないし、触ってもほんのりあたたかい程度だから」

 そうなの?

 私は、ロッホに恐々触れてみる。

 ほんとだ、すごく気持ちのいい温かさだ。癒されるわ、これ。


「エリーゼ、これはいつも食べるカレーと違うよね?」

 あっという間に食べ終わったロッホが聞く。

「新しい香辛料を加えたのよ」

 私はロッホにコリアンダーを見せる。

 ロッホは、飛びつく。

 こんな、こんな、素敵なもの、初めて出会ったよ、と言いながら。


 ためしに、生のパクチーも差し出す。

「これは、蒼の森に生えているやつだ。匂いが好きじゃない」

「でも、それとこれは同じハーブなのよ」

「なんだって!?」

「かじってみる?」

 うなづいて、ロッホはパクチーを口にする。

「おお、本当だ。同じ魔素だ」

 またまた、ロッホが燃え上がる。

「でも、匂いが、やっぱり嫌だ」

 生パクチーは苦手らしい。

「そうなのね。じゃあ、ロッホにはこっちの香りが好みのコリアンダーを使ったクッキーも作ってあげるよ」

 ドライフルーツと合わせてもいいわね。

 頭の中に、レシピがいくつか沸いてくる。


「エリーゼ、ロッホだけじゃなくて、精霊なら、みんな魔力が上がると思うよ、これ」

 コリアンダーをつまんだセレッソが言う。

「だから、クッキーはみんなの分を作って。それで、私もカレーが食べたい」

 そういうセレッソの向こうでは、ヴェルデがカレーを貪り食っている。

 いつの間に?

 あら、オスカーがその隣に座っている。

 そして、ヴェルデも燃えている? 緑が濃くなりオーラが膨らんでいる。


「エリーゼ、これは()()()

「え? オスカーはカレーが苦手なの?」

「いや美味い不味いのまずいではなく、このカレーは国家機密にするべきだ、こうやって学院の食堂で気軽に出していいメニューではないという意味でまずい、よろしくない」

 国家機密って。

「魔力の上がり方が尋常ではない。魔獣狩り以上の効果だ」

 まさか。

「君は常日頃、魔力が膨大すぎてよくわからないのかもしれないが、いや、君より魔力の多いと思われる精霊様たちがこれほど反応されているということは、ただ君が鈍感なだけなのか?」

 久しぶりに会ったと思ったら、ふつうにディスられているんだけど。

 最近、遠慮がなくなりすぎでは?

 いいけどね。


「蒼の森で見つけたハーブを香辛料にしただけよ? 国家機密って大げさな」

「大げさでもなんでもありませんよ。敵の魔力を簡単に底上げするものなのですから」

 パクチーですけど。コリアンダーですけど。ヴェルデによれば、ここのハーブ園でふつうにさくさく育つらしいし。

 それに、学院のみんなの魔力が底上げされるなら願ってもないことよ。

 マリアンヌにも勧めないと。

 お兄様にも、さっそく。


「マテウス様には、私の方から報告しておく。精霊様にならいくらでも差し上げればいいが、食堂のカレーにはこのハーブは入れるべきではない」

「ええ、こんなに美味しいのに」

「カーリーやレイチェルは、エリーゼの部屋で食べればいい」

「あ、そうか」

「でも、オスカーは無理よ。女子寮に入れないもの」

「私は、マテウス様にお願いして魔法省で食します」

 そうですか。

「どうするかは、では、お兄様のご判断にお任せします」

 オスカーは、満足したような笑みを浮かべ、空のカレー皿を二枚、ヴェルデの分も持って行ってくれるようだ。

 とりあえず、ありがとう。

 

「セレステもどうぞ」

 私は、カレーをセレステに運ぶ。

 セレステも嬉しそうにスプーンを持つ。

 そして、一気に食す。

 おお、こんなガツガツしたセレステは初めて見るよ。


 カレーは、コリアンダー入りのカレーは、どうやら精霊を野生化するらしい。

 セレステも燃え出した。

 青のきれいなオーラが彼女の周囲に広がる。

 

「それでさ、さっきの話に戻るけど」

 なんだったっけ。

「婚約解消のことよ」

 ああ。


「もう少し考えてみるよ。家族とも相談して」

「できることなら、協力するよ。いつでも相談してね」

「ありがとう」


 やっぱり、友達っていいな。

 美花の顔を思い出す。

 今日は、クリスに頼んで、あちらの部屋を映してもらおう。

 約束の日でもないから、美花の姿は見られないだろうけど。


「エリーゼ、アルベルトは本物の騎士だよ」

「そうね」

「そして、エリーゼにふさわしい本物の男だよ。あんなやつよりずっとずっと」

「アルベルトは大切な存在だよ。そして、カーリー、レイチェル、あなたたちもかけがえのない大切な友人、仲間だから。あなたたちがいる限り、私は絶対にあきらめないわ、なにも、誰も、どんな未来も」


「とりあえず、今は研究に没頭するわ。コリアンダーの魔力増大効果についてもレポートを書かなくっちゃ。ラピスラズリ神聖帝国からのお客様が来る前にね」

「そうね」

 私たちは、顔を見合わせ微笑み合う。


 その周囲で、精霊たちは、オーロラのように、それぞれの光を溢れさせ炎を纏うようにきらめいていた。



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