敵の陣地に留学します。せっかくなので楽しんじゃうよ!! part7-4-2
第37章 〈続〉いよいよ、本丸の裁判です。そして恒例のお疲れお茶会とフェアエルパーティー。
ニュクスが退かされルクスが連れてこられた。
樹人族、大活躍だね。
ルクスはやつれていた。面影がないほどに。
不幸のネズミの威力は半端ないようだ。
「この者の名は、ルクス・フォン・サザーランド。しかし、今はただのルクスでよいでしょう。なにしろ、オニキス大公国の実権を握るため七度に及ぶ養子縁組を繰り返し、最後にたどり着いたのがサザーランド侯爵家だ、という立身出世野望の結果にすぎませんから。オニキス大公国の元首相、光の新教の教祖、悪の秘密結社『リベルタース』の実質上の長、肩書も多いですが、今ではどれも実態のないもの。罪人ルクスで十分でしょう」
おお、アマリージョの怒りが頂点に達しているね。
ニュクスの時と比べてかなり手厳しい。
「罪の多さはさきほどのニュクス以上。深さも重さも凄まじいものがあります。詳細は、先にクリスで検証していただいたとおり。数多くの罪なき人々の命と尊厳を奪ったことは許せることではない」
アマリージョの言うとおり、事前に検証したルクスの罪は、クリスが途中で休憩したがるほど数もその種類も多かった。
しかも、その結果わかったことは、ルクスは自分はいつも陽のあたる華やかな場所で栄華を満喫し、汚れ仕事をすべてニュクスや他の配下、時に自分の実の娘に押し付けていたことだ。
だからこそ、アマリージョはこれほどに怒っているのだろう。
「しかし彼には、オニキス大公国の宰相として、あの国の財政立て直しに尽力し文化芸術を手厚く保護したという功績もあります」
兄が弁護人としてルクスの功績を述べる。
「財政を立て直したとは笑える。自分の富を増やすため民から税をむしり取っただけ。文化や芸術に関しても、それに対しかけらも愛を持ってはいない。金を集めるのに、あるいは汚れた金を洗浄するために利用していただけ」
アマリージョの言葉遣いも乱暴になってきた。
「証拠はあるのですか?」
「山のように。光の新教の本部と思われる建物から隠蔽の魔法をかけられた書類や洗浄に使われた絵画や彫刻、貴金属が見つかっている」
ルクスが、まさか、というようにアマリージョを見る。
「人のかけた隠蔽魔法など解くのはたやすいこと。プラータが光魔法をかけた瞬間にあってはならないものがざくざくと出てきたわ」
「それがすべてルクスの罪になると?」
「統べていたものがその責任をとるのはあたりまえのこと」
「でっちあげだ。そちらに都合のいいように証拠を作り上げることぐらい、精霊やそこにいるエリーゼなら簡単なことだろう。そもそも、私はオニキス大公国の宰相である。その私をエメラルド王国の輩に裁かれる謂れなどない」
「あなたは、宰相ではなく元宰相ね。正式に大公閣下の名であなたは宰相を罷免されていますから。そうですね、イザベラ」
アマリージョが、イザベラ様にも偉そうに尋ねるのでアデル殿下がちょっと困った顔をしている。
「はい、間違いありません。大公閣下は、ルクスの裏切りをことのほか悲しまれ、お怒りになり、騙され傷つけられた人々のためにも、厳刑を望むとおっしゃられていました」
イザベラが、気丈にもルクスをしっかり見つめながら答える。
彼女はエメラルド王国に留学してからずいぶん大人っぽくなったように思える。
なぜ、精霊から加護を受けているのか、その意味を深く考えるようになったと、この裁判の打ち合わせで会った時に語っていた。
「エリーゼのあり様を学院のみなに教えてもらったからよ。ありがとう」
そう言ってくれた笑顔の可憐さに私の乙女心がキュンキュンしたことはどうでもいいことだが。
「あなたが他人を、精神魔法や偽証拠で陥れてきたからといって、我々を同じ次元で語るのはやめてもらいましょう。精霊は、嘘を証拠になどしません。なぜなら、こんな茶番のような裁判をしなくても、精霊は愛し子を傷つけられた、ただそれのみでその人間を葬り去ってもお咎めなしの存在ですから」
愛し子って私のこと?
そういえば、イザベラも。
帝国がらみで王妃様のことも狙っていたらしいし。
ルクスは、精霊の加護をもつ者を傷つけすぎんだね。
だから、こんなに怒っているのか。
見回せば、アマリージョ以外の精霊たちはみな、イザベラのマリンも含め、口いっぱいにクッキーを放り込み、その間抜けな顔で立ち上がって拳を振り上げている。
プラータ、貴女だけでも今日は姿をかたちどらず光のままでいたほうがよかったのでは。
その美貌で、その間抜け面は、せつなくなるよ。
あ、アマリージョがさらに怒りの度数を上げた。
お菓子だよね?
あなたも食べたいんだよね。
わかるよ。わかってる。
でも、あと少し我慢して。検事役だし、今は無理。
「とういうわけで、弁明の余地なし。極刑を」
色々飛ばしてサクッとまとめましたね。
いやいくらなんでも、もう少しちゃんとやろうよ。
お菓子は、あとでちゃんと特別にあげるからさ。
その私の視線に、アマリージョではなく兄が耐えられなかったのか、ルクスに尋ねる。
「ルクス、あなたは、自分の罪をどう思っていますか?」
「罪? これは冤罪だ。私は罪など犯したことはない」
「ここにイザベラ様がいらっしゃるのに、そう言い切るのですか? あなたに、魔力と命が枯れ果てるまでそこにいろ、と言われ地下牢に幽閉されたことを証言されていますよ。もちろん、その加護精霊様も同じ証言をされています」
「夢でも見られたのではないのか。もしそれが本当なら、なぜその時に大公閣下に訴え出られなかったのか」
「イザベラ様、お答え願えますか?」
「はい。その時は誰が味方で誰が敵かわからなかったからです、ルクスは精神を操る魔法を使います、現に兄は長い間彼に操られていましたから。そんな状況で訴え出ても大公閣下までその影響下にあれば私の証言はもみ消されるかもしれないからです」
「なるほど」
「ですから、私はエメラルド王国に留学という形で保護をお願いしました。そうして時間を稼ぎ、その間にエリーゼ様たちが、自らの危険も顧みず、オニキス大公国に乗り込み彼の悪事の証拠を集めてくださったのです」
いやそういうわけではなかったけれど。
結果そうなったというのか、ようは、なんとなくなりゆきだったわけで。
そのせいでアルベルトには迷惑をかけちゃったけど。
「もう、それだけでこの男は極刑でしょう? 王族を欺き幽閉しその魔力と命を脅かしたのだから。しかも精霊まで道連れにしようとした。その上、これはエリーゼの命まで狙い魔法を放った!!」
ああ、あのお茶会での茶番の最後のやつね。
でもあれは、こちら側がしかけた罠っていうか。それに嵌まって、ルクスは光の属性を失い、おまけに地位も身分も失った。それをこちら側が、これほど怒るというのは、どうなんだろう。正直、ルクスにちょっと同情しちゃうな。
「しかし、生きているではないか。イザベラもマリンも、そこのエリーゼも」
同情した私がバカだった。
そうか、この人はこういう言い方しちゃう人なんだね。精霊たちは、こういうの、お見通しなんだ。
怒るには、それだけの理由があるってことか。
「こんな茶番がもうたくさんだ。私を自由にしてこの森からだせ。これは不当な捕縛で、悪質なでっち上げ裁判だ」
「茶番がたくさんなのは、こちらですよ。あなたに自由も魔力もなにもかも戻すことはできません。ただ、この森からは出て行ってもらって結構。蒼の森の住人たちは、あなたの悪口雑言にうんざりしているそうですから」
そうなんだ。
やつれているから、不幸のネズミに参ったのかと思っていたけれど、悪口雑言を吐ける元気があったのか。
「ルクス、あなたは、望み通りこの森を出る。そして、ラピスラズリ神聖帝国に送られる。そこで法王の名の元、あなたの悪行にふさわしい方法で刑が執行される」
極刑を免れることは万に一つもないと聞いている。
帝国は三種の神器の一つを盗んだリベルタースの長、ルクスを絶対に許さないと兄が言っていた。
「好きなようにすればいい。しかし、お前たちもやがて報いを受ける。そのことを忘れるな」
「報い?」
「私を陥れた報いだ」
「我々は、そなたを陥れてはいないが。狙われたから防御し、攻撃されたから迎え撃っただけ。おまけにそなたが茶番と言ったこの裁判も、少しでもそなたが自らの罪を悔いてくれればと、面倒なのに手順を踏んで執り行っている」
「だから茶番なのだ。すでに殺すことを決めたうえで裁判を行う? なんの意味がある? そちらが満足したいだけだろう。そうやって人を騙して笑いものにした報いは、必ず訪れる。特にそこにいるエリーゼ、お前はどうあがいても不幸になる。せいぜい気をつければいい。無駄だろうが」
ルクスの視線から私を守るように、アルベルトが私の前に出る。
大丈夫なのに。もう、誰かの視線や言葉に傷つくような軟さは私にない。
どこかの第二王子の暴言に慣れきっているから。
「マルクスの予知のことを言っているのか?」
ルクスの弁護人なのに、兄は私のことを言われ頭にきたのか、彼を冷たく見つめる。
「な、なぜそのことを」
「エリーゼは予知ではなく先見ができる。あれやこれやありえるかどうかもわからない、ふざけたどうでもいいような不幸ではなく、ただ一つの自ら選べる未来を視ることができる。だから、対処はできる。おまえに心配してもらう必要はない」
ただ一つの、自ら選べる未来か。
そうあればいいな。
今のところ、フィリップに断罪されることは動かないけれど、諦めなければ動くかもしれない。
それに、レイナードに切られたりオスカーに焼かれたり、誰より信頼している兄やアデル殿下に裏切られるよりは、フィリップの断罪の方がずっとましだ。
それに、国外追放なら、身の処し方は色々考えられるし。
それにそれに、侍従マルクスの影響下にフィリップ殿下があるとわかったからには、あの断罪の場面を違う者に変えることができるかもしれない。もっと、殿下にもエメラルド王国にも、そして私にとってもよい道が見えてくるかもしれない。
仲間もたくさんいる。
精霊たちもいる。
だから、私の未来は必ず変えられると、信じないと。
あのピカソも言っていた。できると思えばできる。できないと思えばできない。これはゆるぎない絶対的な法則だって。
「残念だ。最後まで反省の欠片もなかったことが」
アデル殿下が、ルクスに告げる。それをルクスは鼻で笑う。
「ニュクスは自分の犯した罪を認め反省し、刑を凪いだ心で受け止めたというのに、お前はそれさえできない愚か者だ」
アマリージョ、抑えてってば。
私は身振り手振りで、おいしいお菓子をたくさん用意するよ、とアマリージョに伝える。
「ニュクス。あの裏切り者め」
「いや、ニュクスは最後までリベルタースが犯した罪の数々もすべては自分の責任だと言っていた。お前のことを売った事実はない。ただ自らの罪を認め悔いただけだ」
アデル殿下がルクスを戒めるように告げる。
「それが裏切りなのだ。同じ崇高な目的を掲げ手を携えてきたのに、自分だけが罪を認め死後の安寧を願うとは、情けない」
しかし、ルクスは激高しニュクスを蔑むのみ。
「腐った人間よ、お前に来世はない。はるか高みに上ることもない。お前の魂は冥界の炎で焼かれつくすだろう」
インディゴがフェンリルの姿で、ルクスに精霊の審判を告げる。
その時になってようやく、ルクスは自分が誰を敵にまわしていたのかを知った、というような顔になる。
「ほら、これを飲め」
そう言ってロッホが一瞬でルクスの口に突っ込んだのは、薬? あれって呪いの薬では?
「こ、これは」
「お前の作った薬だ。呪いのキーワードはインディゴが埋め込んだ。何かは教えないがな。少しでも長く生きたければ、無駄口をたたかず黙ったままでいることだ。一言でも話せば、その言葉がお前の死につながるかもしれないからな」
ルクスは真っ青になりブルブルと震えだした。
そしてそのまま、樹人に連れられて行った。
この後、メロウとルクスの親子はインディゴとロッホの手でラピスラズリ神聖帝国に運ばれ、ニュクスを含め その他の者たちは、蒼の森に委ねられた。
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「大丈夫か?」
森から戻って、一心不乱にお菓子を作り続ける私にアルベルトが聞く。
「大丈夫、じゃないかもね。いろんな罪をたくさん見すぎて、そしてまたそれを裁く私たちの方も人の命の長さを決めることになって、正直しんどい」
「わかるよ」
おそらく身近で今の私の気持ちを一番よくわかってくれるのがアルベルトだろう。
彼が樹里だろうと樹里じゃなかろうと、同じ前世の記憶の持ち主なら、少なくともこの世界での人の命の軽さへの私のとまどいは理解できるだろう。
「それを最後にしろよ。もう十分な量がある。ハンナもミラもあきれているぞ」
確かに。
「それにそんな気分で作ったら、美味いものも美味くならないかもしれない」
それも、確かに。
「ヴェルデ、味見して」
「任せて」
「味は間違いない! でも、プラスαは足りないかも」
魔力とか生命力とか、そういうのが上がるっていうやつかしらね。よくわかんないけど。
でも、それなら問題ない。
精霊たちにはそういうのあんまり必要ないもの。十分に有り余っているだろうから。
もちろん、アマリージョには、特にたくさんの種類のお菓子を手渡した。
ハンナが、ホッとするお茶を淹れてくれる。
精霊たちも、お代わりをしながら飲んでいる。
「それにしても短期間に、盛沢山だったね」
「本当にな。エリーゼといっしょだとどこにいても盛沢山だけどな」
なんですと。
それじゃあまるで、今回のあれこれがみんな私のせいって聞こえるよ。
「それにしても、蒼の森、すごかったね。でも、他国にあるあれがヴェルデの森ならもっと早く教えてくれても良かったのに」
「まあ、あの森ができる前は、まだここもエメラルド王国も、というかこの大陸が全部、私の管轄だったから」
「ヴェルデってすごいのね」
まあね、とヴェルデが胸を張る。
「でも、人間がどんどん増えていくと面倒になって。蒼の森だけじゃなくて、人が入ってこないようにしちゃった場所があちらこちらにあるんだけど、長い間放ってある間に、っていってもオリエントみたいにちゃんとそこを管轄する者に委ねてはあるんだけど、思い入れも無くなって放ってあるっていうか」
「人間が面倒になって締め出したのに、人間がいないと寂しいのよ、ヴェルデは」
アマリージョが笑う。
「ヴェルデは僕たちの中でも特に人間が好きだから」
「そうそう」
ロッホとセレステがうなづいている。
「だから、エリーゼのようにいい匂いのする人間を見つけると、森のことなんか忘れちゃったってわけ」
でも、三年も寝てたけどね、私がインディゴの呪いを受けている間。
まあ、そういう好き勝手に自由なのが精霊なのかもしれないけど。
「だから、エリーゼがオニキス大公国に行ったことは、ヴェルデにとっても蒼の森の者たちにとっても、すごくよかったことだと思うわよ。特に蒼の森は主であるヴェルデの魔力であと二千年は活力が保てるはず」
精霊の時間の感覚って長すぎるんだよ。
千年単位なんだもの。
だとすれば、ヴェルデがうっかり寝ていた三年って、一瞬なのかもね。
あれほど作った山盛りのお菓子は一つ残らず食べつくされた。あきれたものだ。
やっぱり疲れた時は甘いものよね、なんて思いながら、私も甘味を堪能したけどね。
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フェアエル・パーティー当日。
私はアデル殿下との合奏を含め、ピアノ演奏を三曲披露した。
大喝采を浴び気分も高揚したが、ミケランジェロの作品のお披露目会に比べればなんてことはないものだった。
天才は、素晴らしくも恥ずかしすぎる彫刻を完成させていた。
それには、『この剣を愛に捧ぐ』というタイトルがつけられている。
モデルはアルベルトだろう。顔が瓜二つだし、それを目にしたとたんアルベルトがこめかみを押さえ天を仰いだから、本人に了承は得ていなかったのかもしれない。
ヴォーヴェライト公爵家の騎士服を身に着けた彼の顔は凛々しくもあり、ほのかな憂いも含んでいる。
しかも、どういうわけか、騎士服に隠されているのにもかかわらず、その下に鍛え上げられた筋肉があることが伝わってくるのも凄い。
女性たちは、できることならその体に触ってみたいというような熱いまなざしをその彫像に向けている。
本物のアルベルトにも、ちらちら視線が向けられている。
けれど、そちらは遠慮がちだ。
なぜなら、その騎士が捧げる剣の先には誰もいないのに、あたかも騎士の愛する人がそこに在るように感じるからだ。その愛する人とは、まあ私だろう。少なくともこのパーティー会場にいる者はすべてそう思っているはず。
ちなみにこの天才は、他にもいくつかの彫像と絵画を仕上げていた。この短期留学の間に。
それらはすべて大公閣下の手で、新しく作られる美術館に収められるとのこと。
この国でも、近い将来、ミケランジェロは芸術の神の愛し子として有名になることだろう。
私とアルベルトは、羞恥プレイのように、騎士とその愛を捧げられた姫として、ダンスを踊った。
幸いなことに、その後はパートナーを変え数曲をこなしたので、私の火照る頬はなんとか通常営業に戻ったはずだ。
最後は大公閣下と踊り、この留学中に、私が公子様の洗脳を解くことに尽力したことや、ルクスの陰謀をくいとめたこと、古代文字の研究への協力、等々、大小さまざまなことへのお礼の言葉を賜った。
そして、アデル殿下も交え、この先オニキス大公国はエメラルド王国と永遠の友好を結ぶと確約していただいた。
短い留学期間だったけれど、来た甲斐もあったというものだ。
それから三日の後、私たちは、馬車でエメラルド王国への帰路についた。
途中、アデル殿下とミケランジェロはラピスラズリ神聖帝国にそれぞれの事情で滞在するが、私とアルベルトは、そこからさくっと転移魔法で国に戻る予定だ。
ミケランジェロの侍女たちは、彼とともに行動するが、ミラとハンナも、もちろん私と一緒に戻る。
ラピスラズリ神聖帝国の、リベルタース関連の後始末でここにしばらく滞在するアデル殿下の部屋で、私は転移魔法陣を描く。
「私もともに帰りたい」
アデル殿下が肩を落としている。
しかし、エメラルド王国の王族として、法王様の孫としても、この国でリベルタースの最後を見届けなければならないそうだ。
一方で、芸術品を見て回る予定のミケランジェロは、さっさと行動を別にしている。
天才って、あんな感じだよね。
よけいなことは考えない。
我が道を行く。
だけど、芸術のためなら誰にだって甘えるし頼るし利用する。
精霊たちは、ロッホとインディゴがここに留まる。
やはり、リベルタースの後始末のためだ。
そして、蒼の森には定期的に転移が得意なアマリージョが行くことになっている。
残してきた者たちの行く末を見守るために。
「じゃあ、行きましょう」
私はアルベルトとミラと手をつなぐ。ハンナはミラとアルベルトと。
次の瞬間には、私は懐かしい寮の部屋にいた。




