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三話 魔眼

魔眼と聞くとまたかってなりますよね。わたしもなります。

「さて、とりあえず横になっていなさい、今にも倒れそうな顔をしているぞ」

「じゃあ、そうさせてもらいます」


 村には中々ない立派なベッドに寝転がる、患者に配慮してかかなり上質だ。これで眠ったら良い夢が見れそう。


「では、私は準備をしてくるぞ。うっかり眠ってしまわないようにしてくれ、叩き起こした本人に寝られてはかなわん」

「…肝に銘じておきます」


 まあ、元よりそんなつもりはないけれども。


―――――

―――


「それでは、診察を始めるぞ。腕をどけてくれ」

「はい」


 少し緊張しながら腕をどける。魔眼殺しがあれば大丈夫だとは思うが、母さんの変貌を見た身としては不安を抑えきれない。


「ふーむ、やはり…いやしかしこの模様は…」


 何やら悩んでいるようで、解決するかどうかの不安が湧き出る。


「…よし、もう起きて良いぞ」


 どうやら診察は終わったようだ。しかし表情は芳しくなく、さらに不安は高まった。


「それで…どうだったんですか?」

「まず、君の思った通り魔眼が発現していた」


 やっぱりか。私の考えが間違いでなかったことに少し嬉しく思った。


「魔眼に思い当たったのなら知っているとは思うが、魔眼は効果によってそれぞれ違った模様が虹彩に浮かぶ。君の場合はハート模様、つまりは魅了の魔眼だな」

「魅了? 暴走じゃなく?」

「そうだが?」

「なら何故私は母さんに殴られたんです?」

「ふむ……恐らく君の魔眼の強さが中途半端だったからだろうな。君の魔眼のクラスは『瞳』、つまり三番目だな」


 五段階中の三番、動物や弱い魔物に効く程度だったかな。


「それなら人間の母さんにはそもそも効かないんじゃないですか?」

「いや、魅了のような精神に作用するタイプは少々厄介でな。身体に作用するクラスが低いものでも効果は現れている、ただ一瞬の間もなく備わった耐性で弾かれてしまうというだけだ」

「それが精神の場合は違うと?」

「そうだ。確かに効果は現れる、しかしそれを弾く際に不快感が襲う。そして力が強い程に不快感も強くなる、原因を排除するために無意識に体が動いてしまう。いわゆる反射、というやつだな」

「それで私を排除するために母さんが襲ってきたって訳か…」


 今でも母さんのあの顔は忘れられない。祝福を授けた神様には怒りを覚えてしまうな。


「そうだ、魔眼が発現したということは私に祝福を授けた神様がいるはずですよね? それが誰かは解らないんですか?」

「それなんだが…君、性欲が強かったりとかは」

「仮にも女の私に向かって何を聞いてるんですか。…まあ、そういうことはあまりしてないですけど」

「そうか…魅了の魔眼を持つので知っているのが色神くらいだからな、町の図書館に行けば判るかもしれんが…」

「むぅ、元々町にいた先生なら知ってると思ったんですけどね…」

「当てが外れて悪いな、大抵は自分の魔眼を知っている連中ばかりを診てきたもんだからな」

「まあそれはいいです。それよりもこれをどうにかできないですか? このままじゃ母さんと顔を合わせられないんですけど」

「あー、すまないんだが、わしが生きてる間にこの村で魔眼持ちが現れると思っていなかったもんでな」


 ……それは、つまり――


「魔眼封じは今はない。よって今はどうすることもできない」

「……はぁ」


 思わずため息が出てしまった。どうにかなる期待をしていた分ショックも大きい。


「そう落ち込むな、祝福を受けた者が現れた時は国へ報告する義務があるからな。町まで村の遣いをやる時に魔眼封じを頼めば良いだろう」

「どれくらいかかります?」

「移動や手続きもあるから…、一週間ってところだな」


 一週間…そのくらいなら大丈夫だろう、母さんはどう言うか解らないけど。


「よし、とりあえず君は食事にしなさい。パンと水ぐらいなら出してやろう、それを食べたら寝るんだ、その分だと数日は寝てないだろう」


 さすがは町で評判のお医者様だ、私が無理をしていることぐらいお見通しらしい。


「そうさせてもらいます」

「明日は早くに君の家まで一緒に向かうからな、早めに眠るんだぞ」

「解りました」



――――――――

―――――

―――



(横になった途端に眠ってしまったな。まあ無理もないだろう、本来ならこうなる前に倒れていただろうに)


 というより異常と言っていいぐらいだ、人の体は無意識にセーフティを掛けるようにできている、一体何故ここまで保ったのだろうか。


(考えられるとすれば祝福の力だが色神の祝福にはそんな力はない。ならば一体なんなんだ…)


 今更ながら祝福について詳しく調べてこなかったのを後悔する。祝福に付随する『呪い』はどうにもならないとはいえ、対処法ぐらいは見ておくべきだった。


(それを考えても仕方ない。今は明日からのカノン君のケアだな)


 彼女は大人びてはいるがやはりまだ子供だ。今日までのことや、明日からの母親と満足にふれ合えないことによる精神的な不安をできる限り軽減してあげなくてはなるまい。


(さて、明日アイシャさんをどう宥めるかな…)

わたしは目にマークがあるキャラは興奮しますね

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