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一話 邪神との対面

(………これは…夢?)


 気がついたら真っ暗な所にいた。

 水の中にいるような浮いている感覚がする。動こうとしたけれど体が動かない。口を開くことも、瞬きすることすらできない。


(…ここで私は何をすればいいんだろう)


 ただ水の中に漂う夢、特に何もできず待つことしかできない。このまま目が覚めるまで待つしかないのだろうかと途方にくれていたその時。



『ふむ…中々面白そうなものが紛れ込んできたな』



(…? 何か声が聞こえたような…)

『我が手を払っただけで吹き飛ぶような矮小な生物だが、此処にいるということは少なからず我と波長が合うのであろう』


 何だろうこの声は、なんというか威圧感を感じる声だ。


(何を言ってるの? どこから話しかけてるの?)

『貴様は今、我の内部におるのだ』

(内部…食べられたってこと?)

『そうではない。貴様の精神が我の魂に入り込んできた、と言った所だ』


 まあそんな単純な話ではないと思うけど。とはいえ訳が解らないという所は変わらない。


(それは…一体どうして?)

『原因は解らぬ。だが我に入り込んだのは貴様の肉体や精神が我に近しいものであったからであろう』


 この声の主と私が似ているということ? 何となく、あまり良いことではない気がするけど。


(そう…じゃああなたは誰なの?)

『我は……我は邪神、嘗て人類を滅ぼした存在である』


 邪神…はるか昔にあったっていう『人神戦争』の悪者側、勇者や他の神に封印された悪神。そんなのに会えるとはね。


『成る程、貴様は幼子にしては聡明な様だな。しかし…ククク、精神が近いというのも納得だな、驚愕は有れど恐怖が一切感じられぬ。常人であれば本能から恐怖を覚えるものだぞ』


 そう言われると、確かにあまり怖いとは思わない。悪の象徴みたいなのに会ってそれじゃあ問題は有るかもだけど。というか、私は普段からこんな冷静だったか?


(…まあそれは良いとして、精神だけとはいえ勇者たちが掛けた封印を抜けられるものなの? もしかして封印が解けそうとか?)

『かもしれぬ。とはいえ内側からはどうにも出来ぬ、外からなら無理矢理解けるかもしれんがな』


 なるほど、完全に解けるまでは動けない訳だ。


(…まあ私には関係ないかな。封印の場所が判らないし、そもそも解いたからって良いこともないし)

『待て、そうつれないことを言うな。これも縁というやつだ、我が再び君臨する時に平和な光景ばかりでは詰まらん。貴様に我の祝福を授けてやろう』

(その祝福は私に利点はあるの? 邪神の祝福なんてばれたら大変なことになると思うけど)

『貴様の意見は聞いていない、それに我が授けると決めたらもう手遅れだ』


 どうやら勝手に祝福を授けられたらしい。祝福は色々な能力が発現すると本で読んだことがある。良いものか悪いものかは別にして。


『我が祝福は授かった者にあらゆる苦難を与えるものだ。それがある限り貴様は嫌でも世界に大きく関わる事になるであろうなぁ?』


 ……何て迷惑な力だ、それはもう祝福というより呪いと言った方が良いんじゃないか?


『他にも能力はあるが…まあそれは今の貴様に言った所で意味は無いだろう。どうせ此処から出たら忘れてしまうのだからな』


 それはつまり…祝福を受けた事も知らない私が困難に遭うということか。


『さて、そろそろ時間のようだな。久方振りの会話故につい話し込んでしまった』

(私はまだ聞きたい事があるけど…まあそれも無駄か)

『ククク、つくづく好感を覚えるな、貴様には。我もどうしようもなくなったあの時は潔く諦めたからな』


 体が浮上していく感覚がする、いよいよ目が覚めるみたいだ。今の私よりも幾分か純粋であろう私には申し訳ないけど頑張ってもらうしかないな。

 前も見えないのに視界が歪む感じがする。

 …あたまが…ワタシがグルグルと歪んで………


―――――――――――――

――――――――

――――



『ククク、其れでは、次に逢う時を楽しみにしているぞ』

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