序論 本稿執筆の理由
お読みいただきまして、誠にありがとうございます。本稿は、いわゆる「なろうテンプレ」というものが一体何であるかについて私的に考察したものです。結論から言うと「なろうテンプレ」は従来型の「小説」ではないということになります。
そうであるが故に、むしろ「小説」を書きたいと思っている作家志望のワナビには書きづらく、逆に「読んでみて面白かったんで初めて投稿してみました」みたいな素人同然の投稿者の作品が爆発的な人気を得ることがある、ということです。
そのことについて論じる前に、まず始めに本稿を執筆しようと思った動機を説明したいと思います。
私は、本年(2019年)の1月1日から、いわゆる「なろうテンプレ」を目指した作品を書こうとしました。そして、見事に「失敗」しました。上手く書けなかったのです。当然のように、人気は出ませんでした。それでも「小説家になろう」で四桁、1400ポイントは獲得できましたが、これはむしろ従来型の「小説」を好む層にアピールできたからではないかと考えるようになりました。
それと同時に、その過程をエッセイとして書きました。こちらは実録型エッセイになります。そこで、一応「なろうテンプレ」について「自分は上手く書けない」ということは論じました。また、「なろうテンプレが好きな層」は「小説が好きではない」のではないかということについては考察しました。
ただ、その考察については、実録型エッセイの中だったということで、不十分なものでした。そこで、改めて「なろうテンプレ」とは一体何であるかについて、自分なりの考察をまとめてみようと考え、本稿を改めて執筆することにしたのです。
短い論考になりますが、お付き合いいただければ幸いです。