0距離尾行している妹が残念で兄としては心配でたまらない。
誰かに尾行されている。人通りが多い道を歩いているが、後ろに気配を感じるのだ。間違いない。何故ならそいつは0距離で俺の背後にいるからだ。俺は前を向いたまま声をかけた。
「なあ、妹よ。いい加減離れてくれないか?歩きづらいんだが、しかも、何で後ろから、どさくさにまぎれて抱きついてるの?コアラなの?むしろ発見されたいのか?お前は」
妹は尾行?しながら、抱きつくのを止めて答えた。
「何故わかったの?お兄ちゃん?私の木を隠すなら森に作戦が台無しだよ。せっかく一日中考えて計画を立てたのに、バカ!」
何故か知らんが怒られた。妹よ。本気で言ってるのか?だとしたら、早急にいい病院を紹介しなければならないな。かわいそうだが、これもお前の為だ。兄としていい所を予約しなければ
「んで、何で俺を尾行してるんだ?」
「そんなの決まってるでしょ。お兄ちゃんが私以外に浮気しないように、マーキングしてるの。どう?賢いでしょ?」
お前は犬か、いや、人間だけど、あと賢くないぞ。バカ丸出しだしな。本当に妹の言動と行動が不安になってきた。病院は近いぞ妹よ。
「大丈夫だ。俺は全くモテないし、お前以外は何も見えないさ、何せお前が心配だからな。分かったら家に帰れいいな?」などと格好つけて言ってみた。さすがに臭いセリフだったかな?
すると妹は俺の背中を叩いてきた。結構痛い。わりとまじで
「もう素直すぎるよ。私が世界一可愛くて、その愛らしい顔を見るだけで幸せで、毎日毎時間片時も離れず一緒にいたいなんて恥ずかしいな。そういう事はもっと雰囲気のいい場所で言ってよ。もう鈍感なんだから、まあ、許すけど」
一言もそんな事は言ってないんだが?大丈夫か?こいつの頭?頭の中にウィルスでも入ってるのか?もしくは新種の病気か?やっぱり早急にいい病院を予約してたおこう。うん。手遅れになる前に
「まあ、そこまでお兄ちゃんが云うなら仕方ないね。私は聞き分けがよくて、可憐で、清楚な、有料物件なお兄ちゃんの妻だから帰ろうかな。うん。ああ、なんていい奥さんなの私。きっと将来は美人女性社長として活躍するに違いないわ」
うん。売却されるんだね。お前。しかも俺に。あとお前どんだけ自分好きなんだよ。逆に羨ましいわ。あと最後。奥さん関係なくなくない?もういい疲れた。俺はもうダメかもしれんね。と考えて無性に途方に暮れたくなった。誰にでもそんな気分になる時があるのさ、多分。ハードボイルドな男に憧れるぜ。っと干渉に浸っていると急に声をかけられた。
「あれ?何してるの?」
どうやら、俺の知り合いの友人女性だった見たいだ。俺の正面に立っているので、どうやら妹が見えていないらしい、
「いや、ただの散歩だよ。今日は天気がいいからな」
すると友人は少し疑問を感じながら答えた。
「へぇ。散歩ね。なら、私も暇だから、一緒に散歩していい?」
突然、俺の背後からイヤな感じがする。どうやら、妹が殺気を放っている見たいだ。ヤバい。かなりヤバい。しかも地味に背中を引っ掻いてくるし、ちょっとだけ痛いです。もしかして後ろに妹がいるのがばれてるのか?わざと挑発してらっしゃるのですか?
「いや、ちょっとこのあと予定があるからごめんな。また今度一緒に遊びに行こうな。今日は勘弁して貰えると助かる」
「ふーん。ならしょうがないね。じゃあまた今度ね。予定空けといてよ。絶対だからね。」
そして友人は去っていった。俺は後ろを振り返り妹と対峙する。どうやら、殺気はおさまったみたいだ。良かった。
「お兄ちゃん。早速、浮気は感心しないよ。私という良妻がいながら、早速ナンパなんて、この裏切りもの、とうへんぼく、変態、イケメン、犯罪者、いくじなし、とうへぼく」
おい。一つだけ誉め言葉入ってるぞ。あと、とうへぼく二回言ってない?バカなの?死ぬの?入院するの?
「まあ、もう今日は日が傾いてくるから暗くなるし、早く家に帰ろうか?腹も減ったし、たまには妹の作った料理が食べたいな」
すると妹は嬉しそうな顔をして答えた。
「しょうがないな。お兄ちゃんは、今日は私のたくさん愛がつまった。中に何が入ってるのか?愛?それとも爆弾?カレーを作ってあげるね」
何それ怖いんだけど、カレーに爆弾を入れるなよ!危ないから、良いこのみんなは真似しちゃダメだよ。
まあ、妹が楽しそうだから、いいか。いや、爆弾は勘弁して欲しいけど、俺はそんな事を考えながら、妹と一緒に家路を急いだ。