春の嵐 2
チャイムが鳴っている。
横になって雑誌を見ていたつもりが
ついウトウトしてしまった様でチャイムの音で目が覚めた。
あくびを噛み殺しつつ、玄関に向かうと
彩香が靴を脱いでいる所だ
「先に上がってるから」
その口調に、どうやら今日は期限が悪そうだ
と、長年の経験が伝えている。
「あ、は-い」
良い返事をしてキッチンに向かい
長田屋の焼きみたらし団子とお茶を用意し
部屋と戻った。
部屋では既に彩香がベットを占領しており
だるそうに雑誌を広げていたが
お茶菓子を見て飛び起き
「わかってるねー」
と現金な声を上げる。
その言葉に、少しほっとしながら
今日の訪問に対して、確認をする。
物心がついた時から、逆らえない存在
として君臨?する彩香。
高校受験前までは家庭教師として頻繁に来ていたが
それ以来音沙汰が無かったので、すっかり安心していた。
「えーっと、今日・・・。
何かあったっけ?」
歯切れの悪い質問に彩香が
「何か、じゃないでしょ
大事な報告、忘れてるでしょ!」
団子をほおばりながら、問い詰める。
見た目麗しく、学校では好感度の高い彼女だが
今、皆がこの姿を見たら、人気もこれまでだな。
などといらぬことを考えつつ
「そ、そうそう、免許取ったんだよ!」
自分の考えを悟られまいと、語尾が上ずってしまう。
団子をおいしく頂いた彩香が
「免許などどうでもよいわ」
などと時代劇風な雰囲気で涼にデコピンする。
ちょっと涙目になりつつ、つかみ所のない話に、このままでは大変なことになる!
という危険信号が点滅する。
「洗礼、受けたんだって?」
更に理解を超える言葉に思わず
「えっ?」
よく解らないまま、聞き返してしまう。
どうやら彼女は、怪しげな勧誘についていった事を言っているようだ
と気が付いたのは
喫茶店で、自分がデレデレしていたよ
という話を彩香がしたからなのだが
そんな話をされても、涼は混乱するばかりだった。




