カステラ
川崎タスク18歳、
ムモという狸型神獣と共に、普通に戻るため、神を目指す受験生。
タスクは悩める頭を抱えながらも家の外に出た。
頭を冷やすためにも夜風にあたりたかった。
町はすっかり日が暮れてしまった。
所々ある街灯は、タスクとムモを照らしているかのように青い光を放っている。
僕は近くのコンビニにカステラを買いにいった。
僕はカステラが大好きだからだ。
…
「おいムモ、これ、どうすれば元の自分に戻るんだ?」
僕は歩きながら問いかける。
「それはタスクが神になって願うしかないの〜。」
僕は振り返る。そんな、むちゃくちゃいうなよ狸。
「いや、神になれって言われてもなりかたもわからないのにどうやってなれっていうんだよ。」
カステラを半分わけてあげた。情がうつったのかもしれない。いや…先行投資ってやつだな。
ムモは初めて見る食べ物を口に含んだ。
「ムモモモモ〜!!おいし〜ムモ!!こんなにおいしいのは初めて食べたの〜!!」
ムモはその食べ物を余程気に入ったのか夢中になって食べている。
「おいおい、一番下の紙まで食べるなよ!食い意地はりすぎだろ!」
その時僕は食べるのに夢中だったのかムモに夢中だったのかわからないが、手に持っているカステラを1つ落としてしまった…
ー気づかなかったー
ーー本当に気づかなかったんだーー
左胸らへんがピンクに輝いていた。
いつなっていたのかわからない。
ただ、落ちてしまったカステラを拾い上げた時に気づいたんだ。
左胸。
そう、心臓あたりがピンクに輝いた瞬間…
ハート型の穴が空き、噴水のように血が噴き出た。
『…嘘だろ…おい…』
薄れゆく意識の中、血の雨から、男の子と狸が見えた。彼らは傘をさし、僕を見て微笑んでいる。
『なんであの少年、晴れてるのに傘、持ってるんだよ…』
…
僕は左胸を抑えた。抑えても抑えても穴は塞がらず、血が噴き出すばかり。
ムモの驚いた顔が一瞬見えた。
やがて膝をつき、僕はうつ伏せに倒れてしまった。
意識が朦朧としている中聞こえてきた。
この声は女性…の、声…?
…
……
「そう。…あなたも?」
ん?
なんだ?
この間よりはっきり聞こえる。
「…あなたも同じムジナね」
そう放った声の持ち主は、この間ハンカチをくれた女の子だった。
…
彼女は、倒れた僕を見下ろしていた。
★ムモモモモ〜♪読んでくれてありがとうございます!感謝です!とても嬉しいです★
次回、ピンクの男の子登場!