瑞々しさ
自転車で飛ばしていたら、大好きな背中が見えた。裕也は昨日学校に自転車を置いてきたみたいで、歩いている。イヤホンをつけて音楽を聞いて余裕だな。笑
ちょっと驚かそうと思った。後ろから、裕也のイヤホンを外して、自転車を止めた。
「裕也、おはよう!」
少し驚いて固まってたけどすぐに、
「よう。」
と笑って返事してくれた。
裕也はいつも優しい。その優しさに甘えてしまう。
そのまま2人で学校まで歩いた。学校まで5分の距離だったけど、話に夢中になって喋った。
よく晴れた日、今日はデートの予定!
なんてデート日和なんだろう。
「ね、今日どこ行く?」
「んー。」
なんか、反応悪い?
いつもは「カラオケ」とか「ボーリング」とかすぐ提案するのに
裕也の横顔を見つめると何か遠くを見ながら考えてるようだった。
校門が見えてきた。
「今日で、試験終わりだよ。なんかさ、パーってしたくない?」
「だなー。」
「カラオケ行っちゃう??」
「あー。」
ん?やっぱり、いつもよりテンション低いよね?もしかして、部活?
「おい、お前ら門しめるぞー。チャイムまで残り1分!」
いつもの斎藤の声が聞こえる。
いつの間にか私の自転車を裕也が押してくれながら、2人で小走りで自転車置き場へ向かう。すると、裕也の口元が少し緩んだ。
「里穂、俺行きたいとこあるんだった。」
「え、どこどこ?」
「パーっとはできないけどいい?」
「うん。」
やんちゃな、子どもみたいな笑顔をしながら話す裕也を見るのは久しぶりだな。
自転車を置いたら、2人で教室まで走り出した。
裕也となら、どこに行っても楽しいよ。