ホムンクルスの恋
───愛してる
たった一言なのに、それが言えない。
愛してる、と言えない代わりに──好きよ、と告げる。
誰よりも、貴方を好きよ──愛してるの代わりに口にする。
だって──私と貴方は違うモノだから。
貴方はヒトで、私は違うモノだから。
貴方の子供も産んであげられない私だから──言えない。
貴方が望んでいても、あげられないから、言わない。
好きよ、大好き……でも、言えない。
貴方の故郷はどこかの街で、私の生まれた場所は──水の中。
私は貴方に子供を作ってあげられるけど、それはヒトの作り方とは違う。
本当の私を知ったら貴方は私をどんな目で見るのか、それが怖い。
もう水の中には戻れない、ヒトのようにヒトの中で生きる私──けれどヒトではない。
貴方の事をとても好きになったけど、愛してるって言えなくて、ごめんなさい──。