表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/26

説明、そして誓い

いろいろ試行錯誤しましたが一応完成したので投稿します。ちなみにこの話から三人称で統一して書いていこうと思います。何かご指摘がありましたらばしばしお願いします!

「さて、みんなある程度落ち着いたようだし、そろそろ質問してもいいか?」


一時はかなり混沌としていた食堂がガリウスの問いかけによって若干の静寂を取り戻す。ガリウスは少し戸惑いつつも落ち着いた雰囲気を出しているが、他はユリウスを含め皆興奮と困惑が入り乱れており、まともに発言できる状態ではない。いや、この場合ガリウスのほうが落ち着きすぎと言えるだろう。


「いくつか聞きたいことはあるが、何よりもこれだけは確認しておきたい。今お前は自分のレベルを250ではなく255といったな?俺たちの常識ではレベルは250までなんだが、お前だけが特別なのか、それとも俺たちには伝わっていない何か特定の方法でしか251以上には上がらないのかを教えてくれ」


(ほう!)


ガリウスの質問を聞き、貴明は内心かなり驚いた。先ほど貴明は自分のレベルを自己申告したときステータスウィンドウは提示しなかった。しかしそれにもかかわらず、ガリウスは真偽の確認や今までどこでどんなことをしてきたのかではなく、自分たちにもその手段があるのかどうかを聞いてきた。これは裏を返せば、ガリウス本人がレベル255に到達するつもりがあることを示している。


「それに答えるには少々俺自身も情報が足りなくてな。悪いがこっちが先に質問してもいいかい?」


「あぁ、そうだったな。すまない、貴明がこの大陸の事情に疎いというのをすっかり忘れていた」


そういってガリウスは貴明の質問に答えた。それによりわかったのは、この世界がFOEにほぼ完全に一致していることだった。大陸に存在している国家の数とその国力、および世界情勢。時代背景や国家の統治者の名前や家系。この世界にある大陸の数。この大陸の通貨であるフォルのレート。それらが完全にFOEと一致した。ちなみにこの世界の貨幣は小銅貨一枚が1フォル。銅貨一枚が10フォル。小銀貨一枚が100フォル。銀貨一枚が1000フォル。小金貨一枚が1万フォル。金貨一枚が100万フォル。小白金貨一枚が1億フォル。白金貨一枚が100億フォルである。1フォルは日本円の1円とほぼ同等の価値だ。


相違点もあった。アイテムのストレージはFOEと違い数に制限があり、レベルとともに持ち運べる数が増えるようだ。また、冒険者のクラスランクはFOEでは1~60レベルがFランク、~90レベルがEランク、~120レベルがDランク、~150レベルがCランク、~180レベルがBランク、~210レベルがAランク、~240レベルがSランク、それ以上がSSランクと分けられていた。それに対してこちらの世界では、冒険者登録できるのはレベル30からであり、最初がFランク、そこから20レベルずつE、D、C、B、A、S-、S、S+、SS-、SS、SS+と分けられるようである。よってレベル138のガリウスはAランク、レベル102のユリウスはCランク相当の冒険者となる、とのこと。


つまり貴明はSS+に分類されるらしいのだが、かつてそのランクに到達したものは1500年以上昔にリベラ大陸を統一したことがあるアヴァロン帝国という国家の初代皇帝のみであり、それでもレベル250だったらしい。近年で高レベルだったのはダイオン帝国初代皇帝のレベル215くらいであり、当代の冒険者で最強といわれるものですらレベル197。いかに貴明のレベルが規格外かがわかる。


「なるほどな、だいたい聞きたいことは分かった。それで最初の質問の答えだけど、おそらく条件を満たせばだれでも255までレベルは上がる…と思う。正直他の例がないから俺と同じやり方かどうかがわからないから、レベル250まで到達したら伝授するよ」


「無茶いわないでくれ、レベル250なんてこの1000年出てないんだぞ」


そういってガリウスは苦笑する。それでもその眼には闘志がみなぎっており、決して諦めているわけではないことを物語っている。


そのような問答をしていると、ようやく他のメンバーも正気を取り戻したのか会話に加わりだした。


「いやぁ、規格外のレベルだろうとは思ってましたけど、完全に別次元の世界ですね」


「でもレベル255ってことは少なくとも2系統の術はマスターできる計算だよな!レベル上昇のステータス補正もあるだろうし、あの近衛崩れどもも歯が立たないわけだ」


「しかしSS+相当の冒険者に出会うことになるとはな。いや、まだ登録はしてないし、必ずしもレベルが高けりゃイコールランクも高い、てわけじゃないんだが、それでもすげぇな」


各々が思い思いの感想を口にしていると、ガリウスとユリウスが何か期待しているような、そして不甲斐なさそうな顔で頼み込んできた。


「なあ、貴明の力を見込んで頼みたいんだが、ガルーダ貴族の奴隷密売の証明に協力してくれないか?」


「正直なところ、今の僕らの活動では限界があるんです。ここで何とかしないと、やつをどうにかする前にこっちに討伐隊が向けられてしまう」


二人にそう言われながら頭を下げられ、貴明がどうするかを少し思案していると、食堂の入り口にグレンの姿があることに気が付いた。まだグレンは完全に体力が戻ってないのか、壁に寄りかかるように立っていたが、それでもその目には強い意志を宿していた。


「話は聞かせてもらいました。俺からも頼んます。俺たちに力をかしてしてくだせぇ。今でも思い出すんだ。あの依頼を受けた時、馬車に積まれた檻の中から助けを求める子供たちの姿を。あのときは結局助けてやることができなかったが、あんたがいればあのクソ貴族の尻尾もつかめる。もし明確な証拠が手に入れば、冒険者ギルド経由で皇帝のもとに知らせることだってできるはずだ!」


その叫びには強い後悔と自責の念が込められていたが、貴明は即答することを控えた。


「確かに、俺が加われば戦闘に関しては力になれるとは思う。だがその問題は俺が加わっただけでどうにかなるのか?俺だってさっき聞いた事情から力になりたいと思ってはいたから引き受けるのはやぶさかじゃないが、何か明確な戦略を聞かせてくれないと安請負はできないぞ?」


貴明がそう問うと、ユリウスが説明してくれた。


「それなら大丈夫です。調べた結果によると、あの貴族はラービア連邦で奴隷を仕入れるとき、自らの手のものを証明する手段として、皇帝陛下から下賜された紋章入りの指輪を提示しています。奴隷の運搬時には必ず馬車にそれが積まれていますし、やつの屋敷には売買時の契約書や証明書が必ず保管されています。それらを押収できればやつらの犯罪を立証できるでしょう」


「しかし馬車にも屋敷にも、かなりの数の私兵どもがついているんだ。俺たちの件があって以来、やつは護衛に冒険者を使わなくなった。私兵どもは平均でレベル80くらいらしい。国軍の一般的な兵士のレベルは70前後で、90を超えたあたりから精鋭と呼ばれることを考えたらそれなりに強い部類に入るだろう。俺たちのほうが私兵どもよりもレベルは高いから一対一でやられることはないが、さすがに10倍以上の敵となると分が悪いんだ。だが貴明ほど図抜けた戦力がいれば必ずやつらの守りを突破できる」


「それに件の貴族は、例の綱紀粛正時に現皇帝ビスマルク5世の手をすり抜けているから、皇帝は何とかやつの尻尾を掴みたがってる。先代同様誠実で実直な男だからな、ビスマルク5世は。俺たちが多少派手にやらかしても見逃してくれる可能性が高い」


ユリウスの言葉を継ぎ、ガリウスとグレンが説明してくれた。


「そこまで条件がそろってるのならためらう理由はないな。わかった、協力させてもらおう!」


貴明はそう言い切り、ガリウス達と協力して奴隷売買の件に終止符を打つことを誓い合う。実行は三日後、深夜にこの付近を通る奴隷を乗せた馬車を強襲し奴隷を救出しつつ指輪を強奪。貴族が逃亡を図る前に屋敷を襲い身柄および関係書類、まだ売買されていない奴隷の身柄を確保、保護する。


それらのことを決めた後貴明たちは軽い宴を催し、ことが終わればガリウス達は冒険者に戻ること、貴明はこちらで冒険者登録することなどを話しながら、その日を越していった。




そしてこの出会いが、この頼みを聞いたことが、貴明の運命を大きく揺るがすこととなり、彼らやこれから出会う仲間たちと長く付き合うこととなるのだが、今の貴明達にはそんなことは想像もつかなかった。


4連休中はまた投稿することができませんが、今日明日でできるだけストックを作り予約投稿できればなぁ、と考えてます。


誤字脱字、感想等ありましたらお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ