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プロローグ1

初投稿ですがよろしくお願いします!誤字脱字、感想等ありましたらお願いします。

まずは説明回です。

深い森の中に俺はいた。まわりを見渡しても人っ子一人いない。代わりと言ってはなんだが、時折遠くのほうから獣のものらしき低いうなり声や遠吠えが聞こえる。


「なんだってんだこりゃ…」


呆然としながらも、俺は状況を確認すべく先ほどまでの自らの行動を振り返る。





確かに俺はさっきまでゲームをやっていた。日本が世界に誇る大手ゲームメイカー、ワールド・セントラル・クリエイティブ(通称WCC)社が2035年に発売した世界初のVRMMORPG、フロンティア・オブ・エデン(FOE)。サービスが開始されてから3年たち、国内だけで約150万人のプレイヤーがおり、常時20万人がプレイしている。少子高齢化対策が進み、人口が1億6000万を数える今の日本で、およそ100人に一人が参加している計算となる。このFOEで、上位プレイヤーと呼ばれるのは約9000人しかいないとされるレベル200オーバーのプレイヤーだ。その中でカンストであるレベル255に達しているのはわずか数百人しかおらず、そのうちの一人であるこの俺、つい最近19歳になった大学生である岡本貴明は、いつものごとく大学の講義が終わると同時に一人暮らしのアパートに戻り、既にダイブしているであろう自らのギルドメンバーと合流すべく、自らのアバターである「クロード・ランベルク」となって、ギルドホームがある「カナンの街」にダイブするのであった。




このFOEの世界観は、おおざっぱにいえば中世の地球に近い文明レベルのとある惑星となっている。コンセプトは剣と魔法であるため当然魔法が存在し、簡単なライト(周りを明るく照らす)などの魔法は基本的に誰でも使える。このタイトルの特徴は、俗にいう剣士、魔法使いなどといういわゆるジョブが存在しないことだ。プレイヤーはレベルが上がるたびに手に入るスキルポイントを使って武器術、体術、魔術、調教術のどれかにポイントを振り、自分好みのキャラクターを作っていく。武器術は剣や槍、刀や双剣や弓、ハンマーといった武器の扱いに関係し、これを上げた場合各武器の扱いが上昇する。体術は素手での戦闘で無類の力を発揮するほか、スタミナの上昇、基礎身体能力の強化、体力の自然回復力の増加、調教術で仲間にした魔獣に騎乗するときにボーナスが付くといった特典がある。魔術は各種魔法スキルの扱える魔法の威力や範囲に影響し、MPの自然回復力が増加する。調教術は対魔獣戦においてスキルレベルに応じてダメージボーナスが付くほか、自分のレベルと調教術のスキルレベルを足して2で割ったレベルの魔獣までなら、単独で戦い敵のHPをぎりぎりまで削れば一定確率でその魔獣をテイムすることができ、戦闘に仲間として参加させることができるうえ、何度もたたかわせればテイムモンスターのレベルが上昇しさらに強くすることができる。


スキルポイントはレベルが1上昇するごとに1獲得する。スキルの上昇限度は100であるため、レベル250のプレイヤーの場合、武器術100、体術50、魔術50、調教術50、といった振り方になる。そうして基本スキルを上げたあと重要になってくるのが熟練度だ。各武器や火、水、風、土の四元魔法には熟練度がスキル同様100まで存在し、一つを使い続ければそれが特化されていく。たとえば武器術を上げれば武器全般の扱いがうまくなるが、その中でも剣を使い続ければ剣の扱いがさらに上昇する、という具合だ。魔術に関しては、火魔法の熟練度を上げた場合炎魔法と光魔法、水魔法の場合氷魔法と治癒魔法、風魔法の場合雷魔法と嵐魔法、土魔法の場合地魔法と錬金魔法へと派生する。派生条件は魔術スキルが50以上であり、各四元魔法の熟練度が60以上であること。ちなみにHP(体力)やMP(精神力)、AGI(敏捷)、STR(力)などの各種ステータスはレベル上昇とともに一定値上昇し、その後魔術に振るかそれ以外に振るかでHPやMP の伸び方が変化する。


またこのFOE、固有技という概念が存在しない。正確に言えば、すべての技や魔法がプレイヤーのオリジナルなのだ。自らのスキルや熟練度数値から換算し、発動が可能とシステム的に認められた技や魔法は、プレイヤーがその技を正確にイメージできたなら実際に再現することができる。発動した技は自らが名づけた名前でシステムに登録し、今後の戦闘などでは技の正確なイメージを持ちつつ名前を上げればシステム的に効果を持った技が発動する。当然似通った効果を持つ、中には完璧に同じ技がかなり生み出されることになったが、実際の戦闘でこれらが発動する機会はそんなに多かったわけではない。考えれば当然のことだが、目の前に本当に生きて自ら考えて動いているがごとき魔獣の群れがいるとき、全力で戦いながら技を正確にイメージするのは並大抵のことではない。よって実戦で使われる技や魔法は、プレイヤーたちが苦心して考え出した俺必殺技ではなく、汎用性が高く容易にイメージできる簡単なものが主流となり、裏を返せば高度な技を使えるプレイヤーは総じて高レベルプレイヤーとなった。


次にステージだが、この世界には4つの大陸があり、そのうちの1つであるリベラ大陸が、プレイヤーが活動するエリアだ。ほかの大陸にも文明が存在するらしいのだが、いまだにリベラ大陸すら探索が完了していない現状では、アップデートは当分先になるのではないか、と言われている。ちなみにリベラ大陸の大きさは北アメリカ大陸とほぼ同じ、ほかの大陸はユーラシア大陸サイズが2つ、オーストラリア大陸サイズが1つとなっている。


このリベラ大陸には大小15の国、および自治領が存在し、各国が覇権を握ろうと争いあったり、戦争の災禍から身を守ろうと小国同士で同盟を結び大国の脅威から逃れようとしている。プレイヤーは自分の好きな国からゲームを開始することができ、まずは冒険者として世界に降り立つ。その後は完全に自由であり、そのまま世界を放浪しながらダンジョンや未開の地を探検する冒険者であるのもよし。傭兵として各地の戦場で暴れるもよし。開始国に仕官し、他国を侵略するもよし。犯罪者となり各国の騎士団やプレイヤーに追われながらもPKや盗賊行為をするもよしとなっている。


仕官した場合、レベル150で騎士団長、魔術隊長となり、レベル200で将軍、魔術団長、レベル250で大将軍、宮廷魔術団長という役職に就くことができる。ちなみに軍の最高位である元帥はNPCしかなれない(しかしNPC最強の元帥のレベルは150という何とも奇妙なことになっている)。


騎士団長位以上になった場合や傭兵団長となった場合、その部下はプレイヤーでもNPCでも自由となっている。NPCでも部下であれば鍛えてレベルを上げることもできるが、やはりプレイヤーに比べると臨機応変な対応をとることができず、捨石的な扱いを受ける場合が多い。それでもNPCが新たに生成されるまでは一定の期間が必要であるため、戦争で大敗してしまった場合戦力が一時的に低下してしまい、その隙に他国の侵略を受けることになるため、過度の捨て駒扱いは暗黙の了解でタブーとされている。また将軍位以上になると国から領地を与えられ、うまく内政をして発展させるとNPC領民が増加し収入増加や兵員補充が容易となる。内政は自分で行ってもよいが、とあるプレイヤー魔術団長が自力で開拓しようとした結果、領地が経営破綻してしまい一時的に国に没収されるということがあったため、今ではNPCの代官を雇い任せるのが主流だ(ちなみにその魔術団長は借金のかたに自身の装備の一部を支払うことになり、泣く泣くレア装備を手放すこととなった)。


以上のことだけ見ると、冒険でレベルを上げたあと国に仕官したほうがいいように思えるが、WCCはそういうプレイヤーを嘲笑うが如き制約を課してきた。まず騎士団長位になるには、最低でも100の戦場に参加し、そのうち40回は勝利しなければならない。さらに参加するだけではなく、すべての戦闘で20人は撃破する必要がある。一般的な規模の国家間の小競り合いが双方3000から5000人であり、双方ともに百人単位でプレイヤーが混ざっているのを考えると意外とシビアな条件なのである。また、国に仕える役職であるため、定期的に発生する戦闘時にダイブしている場合強制的に戦場へ連れて行かれる。リアルが忙しいからとあまりにも長期間参加せずにいると、国から除隊命令が下ったり功績がリセットされたりするため、なかなか将軍位まで昇進できないのだ。よって将軍位になれるのはごく一部の廃人プレイヤーのみ、というのがもっぱらの評判である。よって、多くのプレイヤーは身軽な冒険者や傭兵、犯罪者となって、数人でギルドを作ったり傭兵団を組織して、戦争や行商まがいのことを行うのである。


そんな世界での貴明の身分は、傭兵団兼犯罪者ギルドや野生の魔獣モンスターから街を守る自警団の団長である。知り合いのプレイヤーが将軍職に就いているため、その領地の中の一等地にギルドホームを格安で購入させてもらう代償として、領内の治安維持に協力したりどうしても勝ち目のない戦争で援軍として参加している。団員はプレイヤー50名、NPC200名の計250名と、傭兵団の中では大勢力に分類される規模だ。




「あ、団長おつかれさまです!」


カナンの街にダイブした俺を待っていたのは副団長の影月かげつきだった。傭兵団設立初期からの仲間であり、頼もしき相棒の一人である。


「おう、やっぱり先に来てたか。待たせてごめんな」


「いえいえ、今日は無理言って僕に付き合ってもらうんですから気にしないでください!それよりすみません、わざわざダイスケさんとの会合をキャンセルさせてしまって」


ダイスケとは俺の親友でありカナンの街の領主でもある、ヴェルディア王国軍将軍を務める男だ。ギルドホーム購入時にはいろいろと便宜を図ってもらった。


「気にするなって。元からそんな大した事案はなかったし、お前がレベル250の壁を突破するほうがよっぽど大事だよ。」


そう、影月は今日FOE最大の難関といわれるレベル250越えに挑戦するのだ。俺はその挑戦を見届けるため、ダイスケに断りを入れて影月についていくことにしたのである。


 よくわからないであろうから説明するが、このFOE、レベルを上げるのが従来のMMORPGに比べて相当困難なのである。必要経験値もさることながら、実際の戦闘がなかなかにシビアなのである。スキル上昇で基礎はシステムがアシストしてくれるのだが、いざ戦うのは自分自身であるため、コツをつかむのには相当な訓練と本人のセンスが必要だ。それに加えレベルが上がっても、無双はできても無敵とはならないのだ。このゲーム、レベルが10違うだけでも1対1の勝負でははっきりとした差が生まれるのだが、システム上ダメージ0が存在しない。つまり数で囲んでしまえば最悪レベル50のプレイヤーでもレベル255の俺を倒すことすら可能なのだ。実際数値が違うだけで相手にまったくダメージが通らないのはさすがに面白くないため、この設定そのものに対しての不満はプレイヤー側からは出ていない。しかしここで問題なのが、レベルを上げるために戦う魔獣が、大抵群れで行動しているかパーティで挑んでも歯が立たないほど強いかのどちらかなのである。


つまり安全マージンを取っていても油断すれば死ぬことはあるし、そもそも安全を取っていてはいつまでもレベルは上がらない。かといって自分と同じレベルの魔獣を相手にした場合、単体でも苦戦する相手が群れているのである。しかもAIがかなり優秀なため、パーティを組んでも向こうの連携についていけず為す術もなく負けることが多いのだ。リアル志向のプレイヤーには好評なのだが、このシステムのためにいまだにレベルが100に満たないプレイヤーも多い。


 そんな中、われらが副団長こと影月はレベル250の大台に達したわけだが、ここでレベル上げ最大の壁に突き当たる。レベル250からレベル251~255へ至るためにはいくつかの条件をクリアしなければならないのだが、そのすべてが破格の難易度なのだ。まず第一に、武器術と魔術、体術と調教術などの、複数のスキルを合わせた複合技を自分より高レベルの相手に対して使い単独で勝利すること。第二に、聖域と呼ばれるエリアに入り邪神級ユニークモンスターを単独で討伐。最後に聖域にランダムで配置されている聖杯を見つけ、聖域最奥部にある祠に持っていくことだ。とはいえレベル250以上の魔獣など聖域にしかいないのだから、これらの条件はすべて聖域で達成が可能だ。しかしやらなければならないことがひどすぎる。ただでさえ戦闘時の発動が困難なオリジナルスキルを自分より強い相手に使うのですら厳しいのに、それを複数のスキルで構成しなければならないのだ。つまり目の前の敵と戦いながら、武器の動きを頭で浮かべながらそれに伴うように魔法をイメージし、実際に高速で動いている魔獣に命中させる。どれだけ大変なことであるかがわかるだろう。しかし最低でもこれができなければ、本来数十人のパーティで挑むべき邪神相手にはダメージを効率よく稼げず、レベル200オーバーの魔獣が蔓延る聖域で彷徨いながら聖杯を探すことなど不可能だ。しかもこれを5回も繰り返さなければならないとレベル255まで上がらないというのだから、サービス開始から3年たちながらいまだにレベル255に到達できたプレイヤーがごく一握りなのもうなずける。


 しかしこの壁を突破した時の特典はすさまじい。レベル250まで到達した後はレベルが上昇してもスキルポイントが1上昇する、ということがない代わりに、以下のボーナスをレベルアップ時に一つ取得できるのだ。



1.武器術、体術、魔術、調教術のうち一つを100まで上昇させる(何度でも選択可)


2.各術の攻撃力や調教成功率などの効果1.5倍


3.対魔獣戦闘において先制してアクティブな攻撃をしない限り完全隠密


4.HP、MP等各種ステータスの総量1.5倍


5.対魔獣や対人戦闘における勝利時の敵ドロップアイテム率10倍


6.ユニークモンスターの調教可能


7.自領の税収2倍


8.対魔獣戦闘において敵にダメージを与える度与えたダメージ量の5%分HP回復


9.戦闘時死亡した場合10%の確率で総HPの1%で復活


10.世界が輝いた!(HP、MPの自然回復速度5倍)



ちなみに俺が取得したボーナスは「1」を2回、「2」、「4」、「6」だから全術のスキルレベルが100に達しているうえAGIやHPといった各種ステーテスも上昇しており、下手な一個軍団すら圧倒しかねないアバターとなってしまった。しかも狂ったかのように熟練度も上げまくったため、もとは日本刀か双剣を使った剣士だったはずなのにほかの武器や魔法もあらかたマスターしてしまった。領主をやっているダイスケは、「自領の税収2倍」のほかに「世界が輝いた!」を取得したらしい(実際取得時に世界がものすごく神々しく輝いて見えたとか)。




「ところで影月はもしレベル251に上がったら何のボーナス取るんだ?」


今俺たちは聖域にいちばん近い街であるヴェルディア王国最南端の都市ユースガルドへとステーション(各街に設置してある都市間をつなぐワープゲートがある施設)からジャンプしたところだ。ここから街道に沿って南下していけば聖域にたどり着くことができる。


「そうですねぇ。まだ考えてないんですけど、とりあえず今後もレベル上げすることを考えたらやっぱり戦闘系ですかね」


「やっぱそうなるよなぁ。でもとにかく選び直しはきかないから後悔しないようにな。俺みたいに…」


「ははは、団長はせっかくユニークモンスターをテイムしようとしたのにいまだに成功しませんもんね」


そんなことを話しながら街道を歩いているうちに、目的地である聖域が見えてきた。ここから先は単独行動となるのでこいつとはお別れだ。


「んじゃ、俺はここまでだな。屋敷で成功報告まってるぞ!」


「あんまりプレッシャーかけないで下さいよ。とにかく全力はつくします。せっかく見送りまでしてもらいましたからね!」


と、表面上は落ち着いて見える影月だが遠ざかってゆく奴の全身がぶるぶる震えているのは俺の気のせいだろうか。そうか気のせいか。




「さて、俺もそろそろ移動するかな…」


完全に影月の姿が見えなくなった後、俺は今後の予定を思い出した。現在わが傭兵団「黒金の翼竜団」は以前参加した他国との大規模戦闘でNPC団員を十数名失っており、今現在戦力補強の真っ最中なのだ。それに伴い新規のプレイヤー団員やNPC団員を募集したのだが、思いのほか入団希望のプレイヤーが多かったため選抜をすることとなったのだ。


しかし今日の入団希望者との面談までもう少し時間がある。どうやって時間をつぶすかについて真剣に悩みだした俺の視界にそれが入ったのはその時である。


「あれ?あんなところに道なんてあったか?」


それは小さなけもの道であった。どうやら聖域の森に続いているようだが、いままでレべリングや素材集め、資金調達でなんども聖域に来ている俺が見たこともない道がこんな入り口近くにあるとはにわかには信じがたい。


「運営のアップデート?いや、それなら連絡がアップされてるはずだよな…」


格好の暇つぶし(?)を見つけた、見つけてしまった俺は、その道の先を見るために森へと入っていった。その時の判断を下した俺を、ついぞ殴る機会が訪れなかったのがわが人生最大の無念である。






「さてさて、そろそろ何か見えてくるかな?」


けもの道を進むこと15分。街道はとうの昔に見えなくなり、生い茂る木々によって日の光を見ることすらかなわない。


「しかし妙だな。いつもならとっくの昔に敵とエンカウントしてるはずなんだが…」


いま俺がいるこの森が聖域であるならば、本来ならすでに1回か2回は魔獣と遭遇しているはずなのだが、魔獣はおろかノンアクティブの野生動物すら見当たらない。この後の予定までまだ時間的に余裕はあるが、そろそろ何か出てきてくれないと俺の精神状態が暇過ぎて何かしらのエラーを起こしてしまいそうだ。


「おっ、ようやくか。あれは…祠?」


ついにけもの道が途絶え小さな空き地に出た。その奥に小さな祠が見えるのだが何か様子がおかしい。こんな森の中にひっそりとたたずんでいるのにもかかわらず、その祠に寂れた雰囲気が全くないのだ。ゲームなのだから経年劣化がないのは当たり前なのだが、演出になみなみならぬこだわりを持つWCCの開発スタッフたちが、こんな場所にわざわざ設置するオブジェクトに真新しい見た目のものを配置するだろうか?


「試験的に作ったエリアを間違えてアップロードしてしまったとか?それならありえなくはないかな?」


となるとうかつに近づかないほうがいいかもしれない。不確かなデータに干渉すると下手したらキャラクターデータがバグってしまう可能性もあるのだ。俺の作った「クロード・ランベルク」は並大抵の時間では到底至らないほどの労力と時間を費やして完成させたアバターだ。こんなことで損失してしまうのはあまりにも惜しすぎる。


「ま、後でGMに報告でもしておきますかね」


そう思いながら踵を返し、森から出ようとしていた俺の耳に何やら妙な声が聞こえてきた。

それは神秘的であり、おごそかであり、そして圧倒的な何かを聞くものに印象付ける声であった。


『対象者確認。座標固定完了。異界のゲート開きます』


何を言っているのかは全く分からなかった。しかしその声を聞き終わった直後、俺の体を浮遊感が包み込み吸い込まれるかのように祠の中へと引き込まれていった。





その直後、現実世界から貴明の姿は完全に消えていた。


一話書き上げるのがこんなに大変だとは…

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