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窓際騎士レリアの捜査記録  作者: スライム小説家
「騎士」

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23/33

23話

「オルレア、フリージア! 2人とも無事で良かった……」


 レリアは2人の無事な姿を見て安堵する。だが、2人は相変わらず剣呑な表情を浮かべていた。


「安心するのはまだ早いっスよ、たいちょー。戦いはまだ始まったばかりなんスから」

「ええ。暴徒の大半は武器も持たない貧弱な民間人ですが、裏切った衛兵や騎士は油断なりません」


 そう話すと2人は剣を構える。前方から暴徒達が迫ってきていた。


「たいちょー、連中がくるっスよ!」

「相手は民間人です。出来る限り殺害は避けたいですが……危なくなったら躊躇いなくやりましょう」

「あ……ああ、分かっているとも」


 迫り来る暴徒達を観察する。やはりどこからどう見ても民間人である。


(精神魔法で操られてでもいるのか……?)


「うがああああああ!」

「えひ、ひへへへへへへ!」


 正気ではない様子でかかってくる暴徒達。その濁った目は焦点が合わず、見るものをどことなく不安にさせる。


「何にせよ、戦うしかないか……行くぞ!」

「はい!」

「了解っス!」


 レリア達は、戦場に足を踏み入れた。




「あひゃああああああ!」

「邪魔だ、退け!」


 掴みかかってきた男を蹴り飛ばして、暴徒達に突っ込む。


「うおおおお!」

「神の為にぃぃぃぃ!」


 何人もの暴徒が掛かってくる。だが、対するレリアに動揺はない。


「まずはお前からだ!」


 真っ先に突っ込んできた男を一旦避けて、背後を取る。その首根っこを掴み上げると、男はあっさりと宙に浮いた。


「は、離せぇ! 何をするつもりだ!」


 男はじたばたするが、後ろから首を掴まれた状態なのだ。大した抵抗は出来やしない。


「何をするって……こうするんだよ!」

「うわぁぁぁぁ!」


 レリアはそう言うと、掴み上げた男をそのまま投げつけた。巻き込まれた暴徒達はもみくちゃになってしまった。

 だが、レリアは一息つく暇すら無い。別の暴徒達が彼女の前に立ち塞がる。


「ま、まだこんなに居るのか……」


 2人の様子を伺うと、多くの暴徒を相手取っただけあって、やはり疲れている。


「いくら何でも多すぎるっス!」

「まずいですね……」


 レリア達だけでは無い。他の騎士達にも疲れが見えるし、既に何人か倒れている者も居るようであった。


(倒れている連中、生きていれば良いのだが……)


 その時。


「どうやら困っている様だな」

「あたしらも力を貸してやるよ」


 突如として男女の声が聞こえた。レリアは反射的に振り返り、目を見開いた。


「ファウルハイト団長! それに……フレイ!」


 そこに居たのは、不仲なはずの親娘であった。




「ど、どうして2人がここに。というか、もう大丈夫なのか? ……色々と」


 そんなレリアの疑問に、フレイは笑いながら答える。


「お互い、腹を割って話したんだ。親父がなんであんな事をしたのか……全部教えてもらったよ」


 全部。その言葉にレリアは思わず、ファウルハイトを見つめる。だが、彼は何の反応も示さなかった。


「……親父のやった事に納得は出来ねえけど、理解はしたさ」

「そ、そうか……」


 ファウルハイトが何を思って動いていたのか。それをレリアも知りたかったが、今はそんな事を考えている場合では無かった。


「それより、あたし達も手伝うよ。この人数はあんたらだけじゃキツそうだしな」

「目の前で部下がやられるのを見ている訳にはいかん。私も戦わせてもらおう」


 2人ともやる気満々といった様子であった。それに触発されるように、第六騎士団の騎士達も奮起する。


「団長も参戦するとあらば、我々も頑張らねば!」

「フレイ様の為にも、もう一踏ん張りしますかね!」


──戦況は、あっという間に覆った。




「どりゃあああっ!」


 ファウルハイトの手によって、最後の暴徒が地面に叩きつけられる。周囲には死屍累々といった様子で、気絶した暴徒達が伏していた。

 見渡す限りの人の山。最後まで立っていたのは、レリア達の方だった。


「……我々の勝利だ!」

「うおおおおおおお!」

「団長おおおおおおお!」


 歓声を挙げる騎士達。興奮した様子で騒ぐ彼らの横で、レリアは大きなため息を吐いた。


「はぁ……やっと、終わったか」


 疲れ切った様子でレリアがそう言うと、オルレアとフリージアが近づいてくる。


「お疲れ様です隊長! 獅子奮迅のご活躍、流石です!」

「たいちょーってめちゃくちゃ強いっスよね。このぷにぷにのどこからそんな力が……」


 キラキラとした目でレリアを見つめるオルレア。レリアの二の腕を掴んで、不思議がるフリージア。

 こんな時でもブレない2人に、レリアは少しホッとした。


「やっぱり凄えんだな、あんた」

「ええ、あれ程の実力とはね。流石『緑風の懐刀』なだけあるわ」

「……フレイにローズか。君達こそ流石の実力だったよ」


 背後から話しかけてきたフレイやローズも混ざって、レリア達が話していると。


「……騎士の皆様、ご無事でしたか。それは良かった」


 遠くの方で、ファウルハイトに男が話しかけるのが見えた。


「あ、あの人……」

「うん?」


 驚いた様子のローズ。それに釣られてレリア達もそちらを見る。


「おかしな様子の者達が、屋敷に向かうのが見えまして。心配して見に来たんですよ」


 濁った瞳、痩せ細った体。それはアネモネの父だった。

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