#6 : 魔改造
この物語はフィクションです。実際の人物、団体、その他諸々には一切関係ありません。
#6 : 魔改造
新宿通りを進み、四谷三丁目の交差点を右へ。
彼らを載せた車は滞りなく流れる東京の道を進んでいく。
小高い丘を登ると、やがて都会の喧騒からは少し離れた閑静な住宅街へと移ろいでいく。
霞ヶ関を出てから40分。車は一際目立つ高層建築物の前で止められた。
「ここは?」
「真芝エネルギー第2研究所、だそうです。」
日暮が手元のバインダーに目を向け、答えてくれたが、彼もよく知っている訳では無さそうだ。案外何も知らされていないんだな。
「行きましょう。」
日暮に引き連れられ、3人もついて行く。
地味ながらも調和の取れた研究施設らしいロビーで、日暮が受付?のような人と真面目ヅラで言葉をいくつか交わし、書類や封筒を提出していた。俺たちは少し待たされるようだ。
小さな椅子に腰をかけ、置いてあるパンフレット類に目を通す。
「さすがは研究施設、何言ってるかわかんねぇな」
この場に相応しくないヒゲがパンフレットを見て何か呻いている。
俺たちが読み始めるのを見て、神田もパンフレットのある台を漁る。
『リベルエネルギーが創る未来と可能性』
彼が手にしたパンフレットの中には、これから俺らに入れられるであろう端末についての記述もあったそうだ。障害や病気に悩まされる人が、少ないエネルギー量で生き永らえる、そんな使い道が想定されていたらしい。皮肉な話だ。
そろそろ目を通し終えるか、と言ったところで、日暮、そしていつから居たのか真芝が俺らの元へやって来て案内された。
案内され、廊下を進むが、やはり厳重なセキュリティが備えられていた。扉ひとつ開けるのにも真芝がパスワード、指紋、そして虹彩認証を通し、やっと鍵が開く。そんな作業を2度3度繰り返し、1つの研究室へたどり着く。
『第11番研究室 管理責任:真芝仁一』
促され、4人は研究室へ入る。
「こっちだ。」
真芝に呼ばれ、奥の部屋へ進むと、そこには医療ドラマで見るような、さながら集中治療室のような仰々しい部屋があり、医師のような身なりをした男が4人ほど待ち構えていた。
振り返ると、衛生服に着替えを始める真芝がこちらを鋭い目つきで、しかしながらニタリと笑ってこちらを見つめた。
「誰から行こうか?」
まだまだ続きます。
不定期投稿です。