#4 : にわかには信じ難い話
この物語はフィクションです。実際の人物、団体、その他諸々には一切関係ありません。
#4 : にわかには信じ難い話
総務省勤務の官僚、日暮は続ける。
「重ね重ねにはなりますが、これから話す内容は国家機密事項であり、口外は禁止します。これは日本政府からの命令であり、破った場合はそれ相応の対応をさせていただきます。」
仰々しい文面を読み上げ終えると、真面目な面をこちらへ向け、話を続けた。
「皆さんは、リベルエネルギー、をご存知でしょうか。」
俺と石和は顔を見合わせたが、神田は知っているようだった。神田は口を開く。
「日本の企業が発見、開発したエネルギーの最大活用についての技術の総称。そんな感じでしたよね。」
日暮は大きく頷き、続けた。
「日本政府はこのリベルエネルギーの実用化に向けて、株式会社真芝エネルギーに多額の出資、人員の派遣を行い、昨年の11月時点で実用化1歩手前、という所までこぎつけていました。このペースで開発が続けば、発電などの分野での活用が大きく期待されていました。ニュース等でも度々話題になっていたかと思いますが。」
ここまで説明されたが、石和はいまいち理解していないようだ。俺もよくわからんけど。
「さて、そんなリベルエネルギーですが」日暮が続ける。
「実用化に向け、本格的な試験を始めた11月、何者かによって技術や試験データが盗まれ、悪用が懸念されていました。もっとも、これは公表されていません。」
「盗まれただけ、で終わればよかったのですが、今年1月、北海道のとある村で、複数の熊による襲撃事件がありました。発表では2頭の熊による襲撃、ということになっていましたが、実際には9頭による襲撃でした。」
「その熊には、リベルエネルギーを利用し、生物の持つエネルギーを最大化する、真芝エネルギーと国の開発した特別な端末に酷似したものが装備されていました。つまるところ、流出したリベルエネルギーの技術は、テロに利用された訳です。」
にわかには信じ難い話だ。質問する暇もなく、日暮は続ける。
「あなたがたには、このリベルエネルギーの端末を装備して頂き、この端末を装備した『リベルビースト』と呼ばれる動物の殲滅、そしてこの技術を盗み利用した組織の特定、壊滅を目指していただきます。」
「やってくれますか?まぁ、この時点で拒否権は残念ながらありませんが。」日暮は少し苦笑いし言った。
俺は戦慄した。手に汗が滲む。でもやるしかないんだろ?
「やります。やらせてください。」
神田と石和も同じ言葉を続けた。
「ありがとうございます。皆さんにはこれから、装備する端末がどのようなものか、開発者から説明を受けてもらいます。」
ドアが開き、細身の男と女秘書が部屋に入って来た。日暮が紹介する。
「こちら、真芝グループ総裁、兼、真芝エネルギー社長の真芝仁一さんです。」
紹介を受け、細い目をこちらへ向けた真芝が口を開く。
「君たちには私と共に敵の討伐をしてもらう。」
君たちはライダーだ。
国を守るため、共に戦おう。
まだまだ続きます。
不定期投稿です。