#3 : 回る歯車
この物語はフィクションです
#3 : 回る歯車
エレベーターで3Fまで上がると、まさにSPといった風貌の大柄な男が2人、エレベーターホールで待ち構えていた。蝶野〇洋かと思ったわ。
「左に進んで突き当たりの部屋だ。」
蝶野〇洋のひとりがそう言い、進むよう促す。
促されるまま、コツコツと足音を立てて目的の部屋に進んだ。
「第二会議室」
ここまで意味がわからないほど厳重な警備の中、ある種の脱獄をしてきたが、未だに俺の身にこれから何が起こるのか、見当もついていない。ひとつ察せるのは、これから普通では無いことが俺らに起きる、ということか?
神田が前に出て、ドアをノックする。
「入ってください。」
丁寧な声が聞こえ、俺らは「第二会議室」へと進んで行った。
「初めまして、私の名前は日暮勝平。総務省の方で仕事をしているものです。神田和明さん、そして春島陽平さんですね。話には聞いています。千葉刑務所から、ですよね。」
丸メガネをかけた誠実そうな役人は続ける。
「横浜の方からもう1人、あなた方のような人が来ます。少々道の方が混んでいるようで、少しここで座ってお待ちください。」
何が何だか一切分からない、総務省?官僚?もしかして国絡みの話なのか?
それから2分もしないうちに、エレベーターホールの方から足音がし、力強いノックが聞こえた。
入ってきたのはスキンヘッドで色黒、強面の髭ヅラをぶら下げた夏の工事現場にでも居そうな男だった。
「石和智也さんですね。横浜の方からでしたか、お話は聞いています。こちらの2人は神田さんと春島さん。千葉からです。」
強面の髭ヅラは気まずそうに会釈をし、促されるまま席に着いた。
「3人揃ったようなので、私の方から話をさせていただきます。」日暮は切り出した。
「まず初めに、ここでの会話は録音されています。そして、ここで話した内容に関しては他言無用であり、これは私からではなく、総務省、そして日本政府からの命令です。」
なかなかにおっかない話だが、3人は聞き続けた。
「そして、これからあなたがた3人には非常に危険で、命の保証の出来ないことを依頼しますが、代わりに刑務所からの出所、そして身の自由を保証します。」
「機密事項ですので、これからの話を外部へ知らせてしまう可能性がある人、そしてこの話を聞いた上で依頼が受けられない可能性のある人は、この場で刑務所の方に戻って頂きます。」
「この話を聞かず、刑務所に戻る方は今この場で私に。」
誰も動かなかった。
「つまり、皆様これからの依頼を受けていただけるということで宜しいですか?良ければ続けさせていただきます。」
日暮は、常人では理解のできないようなことを依頼してきた。
不定期投稿
まだまだ続きます。