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異端の紅赤マギ  作者: みどりのたぬき
第3章:雷速姫と迷宮街編
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第96話:雷速

出来るだけ、連日投稿出来る様に頑張ります。

無理だったら、優しく微笑んでください。

 「お前の姉ちゃん、ちょっと頭イカれてるだろ・・・」


 「・・・ハハッ、良く言われるよ」


 俺がドエインに耳打ちすると、ドエインは苦笑いを浮かべてそう言った。


 「貴様ら!何を話してる!さっさと着いて来い!!」


 俺とドエインが会話している所を目にして、ドエインの姉は今にも切り殺さんとばかりにサーベルを振り上げて怒鳴った。


 何なんだよ、この女・・・


 何故こんなにも常に怒っているのか理解出来ずに居ると、その間にもドエインの姉が他の兵士を呼び寄せ、俺達はあっという間に取り囲まれていた。


 「あ、姉貴!・・・い、いや、大隊長!話なら俺だけでいいだろ!?」


 「いいや、駄目だ」


 ドエインが抗議するが、姉は駄目だと即答した。


 「な、何でだ!?」


 「お前、この娘を聖女と言ったな?その時点でこの娘には聖女騙りの容疑が掛けられた。それに関して仲間達にも話を聞くと言うのがそんなに変な事か?」


 「そ、それは・・・」


 ドエインは自らの失言を悔いている様に苦虫を噛み潰した様な表情をするが、俺はそんなドエインに言った。


 「ドエイン、大丈夫だ。任せとけ」


 俺はそう言ってドエインを見てサムズアップして笑った。


 「・・・す、すまん」


 「大丈夫だよ、マジで余裕過ぎて欠伸が出るぜ」


 俺は態とドエインの姉に聞こえる様に言う。

 それを聞いたドエインの姉は俺を睨み、それからニヤリと笑って言った。


 「・・・良いだろう。たっぷりとシゴいてやるから覚悟しておくが良いッ」


 本気で嬉しそうにするドエインの姉を見て俺は心の中で吐き捨てる。


 この変態がッ

 何で俺の周りには変態女しかいねぇんだ!?


 アリシエーゼとモニカを思い出しながら悪態を付くと、アリシエーゼがクシャミをしている所を目撃する。


 「・・・クシュッ、うーむ、何だか寒い気がするのう」


 「そうですか?」


 「うむ、それとも誰か妾の噂でもしておるのかの」


 「噂ですか?何で噂をするとクシャミが出るんですか?」


 なんて会話をアリシエーゼとモニカがしていたが、俺は其方をチラ見しつつ、内心冷や汗をかいた。


 「まぁ、その変はお主には分からんよ。じゃが、妾の噂となると・・・どうも楽しい噂では無さそうじゃが・・・」


 そう言って突然、アリシエーゼは俺の方を振り向いた。


 いぃぃッ!?

 何でそこで俺の方を見る!?


 俺は更に冷や汗をかきながら何とか平静を保つ様に表情を作ってアリシエーゼが視界に入らない様にした。

 するとアリシエーゼは俺の方に歩いて来るのが感じ取れ、ほんの少しだけ恐怖した。


 「どうした?大丈夫かの?」


 「え?あ、うん、別に大丈夫だ。それより悪いな、何か変な事になっちまった」


 「別にお主のせいでは無かろう。それにもう、どうにでもなる様に()()()も済んでいるのであろう?」


 流石、アリシエーゼ


 とほくそ笑みながら俺はアリシエーゼに答えた。


 「あぁ、とりあえず面白そうだから、ドエインの姉は何もしていない」


 「・・・またお主は」


 そう言ってアリシエーゼは呆れた表情をするが、心底嫌がっている訳では無さそうであったので、とりあえずはこのまま流れに乗ってみる事にした。

 先に歩き始めたドエインの姉が此方を振り返りまた怒鳴っていて、それに触発されてか俺達を取り囲んだ兵士も俺達に早く歩く様にせっつく。


 さて、超絶ドSのドエイン姉、どうしてくれようかな・・・ふふ


 「・・・旦那、顔から邪悪さが滲み出てるぞ。あれでも俺の姉だ、お手柔らかに頼むぜ」


 「邪悪って!?失礼だな。まぁ、お前の姉が俺達の敵にならない事を俺も祈るよ」


 「・・・・・・・・・」


 俺がそう言うと、ドエインは何とも複雑そうな表情をした。


 「そこの二人!無駄口を叩くなッ!!」


 「へいへい」


 またドエインの姉に怒られつつ俺達は門を潜り、ミザウアの街へと入った。

 門の所にある詰所の様な所に入るのかと思っていたがそこには入らず、そのまま中央の目抜き通りを通って進んだ。


 「何処に行くんだ?」


 「・・・大隊の指揮室が奥にあるんだ。たぶん、そこだろう」


 ドエインはそう言って辺りを見回す。

 俺も釣られて辺りを見るが、目抜き通りは他の街等と変わらず、商店や宿屋、酒場等が立ち並んでおり、所々左右に道が枝分かれしているが、そちらは民家等があった。

 暫く進んで目抜き通り通りの中間辺りに来ると、ドエイン姉は右に曲がり、俺達もそれに着いて行った。

 道を曲がると、民家等が立ち並ぶ区画とは違い、大きな建物が沢山並ぶ区画へと入った事に気付く。

 建物はどれも大きく、中央の扉は観音開きの様な作りのものが殆どで、そのどれもが扉が開け放たれていた。


 「あぁ、ここは倉庫街なのか」


 「あぁ、ホルスに運ばれる物、その逆にホルスから運び込まれるものは一旦この倉庫に保管されて検閲を受けるんだ」


 何でそんなシステムにしているんだろうと思うが、ダンジョン産のアイテム等は国が全て把握しておきたいと言った背景もある様であった。


 「ダンジョン産の武器とかも一杯あるかな?」


 「そりゃあるだろ―――おい!まさか!止めてくれよ!?」


 俺はまだ何も言っていないのだが、ドエインは顔を青くして俺に言った。


 「・・・いや、まだ何も言ってないだろ」


 「旦那なら上手く出来るかも知れないが、バレたら終わるぞ!?」


 「・・・いや、だからまだ何も―――」


 「さっきから五月蝿いぞ!馬鹿者がッ!!」


 俺とドエインが問答をしていると、ドエイン姉が飛んで来て、鞘に入ったサーベルで頭を叩いた。


 「あッ痛てぇ!!何で俺だけ!?」


 「はぁ・・・いいからさっさと歩け」


 ドエイン姉は呆れた表情をしてらそれだけ言うとまた先頭に戻って歩き始めた。

 仲間達を確認すると、皆若干引いていると言うかビビっていたが、アリシエーゼとモニカとパトリックは飄々としていた。


 ユーリーと篤も平気な顔してるな


 ユーリーは元々、常に眠そうな顔で感情が読み取り辛いが、篤はきっと、自身の中での何かの勝負でモニカに軍配が上がった事から、ドエイン姉に一切興味が無くなったんだろう。

 絶対そうだ。


 「よし、では一旦全員に話を聞く。お前ら、此奴らを会議室に連れて来い!」


 倉庫街を奥へと暫く進むと、倉庫で使う建物とは違った石の頑丈そうな外壁に囲まれた建物が複数立ち並ぶ、敷地が見えて来て、その外壁の中央にある鉄製の大きな門の前に来るとドエイン姉は周りの兵士に命じた。


 「ハッ!」


 命じられた兵士に促され、門を潜り、警備隊の大隊指揮施設等が入っていると思わしき敷地へと足を踏み入れた。

 ドエイン姉は何か用事があるのか、俺達が連れられて行くのを見送る形になったが、俺がドエイン姉の横を通り過ぎる際にいきなり俺の耳元に顔を寄せて来て言った。


 「・・・お前、さっき何かやっただろ」


 その声色は、怒っているとかそう言った感情は読み取れず、ただ魅惑的な音階の様に感じたが、俺は嗤って答えた。


 「何かってなんだよ」


 俺の表情を観察しながらドエイン姉は少し考えてから口を開く。


 「・・・まぁいい。楽しみだよ。嗚呼、本当に楽しみだ」


 そう言ったドエイン姉の顔は狂気に満ちている様に感じられ、俺の心音が一段高くなった気がする。


 「・・・俺も楽しみだよ。変態」


 俺はそう言って鼻を鳴らし、ドエイン姉の元を離れた。


 「お、おいおい!姉貴にそんな口聞くんじゃねぇよ!絶対俺にとばっちりが来るだろうが!」


 ドエイン姉と離れてからドエインが慌てて俺に言って来るが、心配する所はそこからと少し呆れた。


 「だって、絶対に変態だろお前の姉」


 「・・・否定はしない」


 俺の言葉に過去を思い出しているのか、ドエインは表情の抜け落ちた顔で返した。


 「それにしても、なんじゃあの小娘は。お主を狙っておるのか」


 俺達の横に来たアリシエーゼが憤りながらそんな事を言う。


 「男女の色恋とかそんな話じゃ無いだろうがな」


 俺がそう言うと、アリシエーゼはふむと一つ頷き、ドエインに言った。


 「ドエイン、お主の姉はどんな女じゃ」


 アリシエーゼの質問にドエインは唸って考える。


 「うーん・・・一言で言っちまえば、出来る姉だよ」


 「出来るって仕事がって事がか?」


 「いや、全てがだよ」


 ドエイン曰く、姉は幼少の頃から何でも出来るパーフェクト女子だった様だ。


 「ムルラー家はさ、俺と姉ともう一人兄がいるんだが、兄弟の中では何時もトップだったよ。勉学も武術も全てにおいて」


 そんなパーフェクト女子の姉は、幼少の頃から貴族の在り方に関して独自の考え方を持っていた様だ。


 「貴族とは弱き民の為に在り、弱きを助け、弱きを護る為だけに存在する。そんな事が口癖で俺や兄ばかりでは無く、父や母にもずっとそんな事を言っていた。まだ十にもならないそんな時から毎日の様に永遠にだぜ?」


 そう言って少し悲しそうな表情でドエインは言った。

 ちなみに、ドエインと姉は歳は二つしか離れていないとの事だったので、ドエインが二十三なので、姉は二十五となる。


 「うちの家はさ、貴族と名乗ってはいるが、領地持ちでも無い、ずっと内政のしかも事務方をしてきたうだつの上がらない唯の役人貴族なんだよ。それをさ、姉貴は良しとしなかった。事ある毎にずっっと父に言い続けて来た。さっきの言葉をさ」


 弱きを助けって奴か


 「一応、男爵以上だからさ、世襲制なんだが、家は長男が基本的には継ぐんだが、姉貴はムルラー家を大きくして名を上げるって言って勝手に色々やってたよ」


 本来なら十代で何処かの貴族に嫁ぐなりして、貴族の女としての役割りを求められ、自身もそれを受け入れて全うするのが普通の様だが、ドエインの姉は自分自身で何かを成そうと、親の反対を押し切り、軍に入隊し、自身の力だけで大隊長まで上り詰めたそうだ。


 それだけでもこんな貴族制の世界だ、女性と言うだけで相当な努力をして来たのだと伺える。


 「たださ、姉貴は今の地位では満足してねぇんだよ。軍上層部に食い込もうとしてんだわ、絶対」


 そう言ってドエインは、はぁと溜息を一つ付いた。


 「凄いんじゃねぇの?そんな野望もあったっていいじゃねぇか」


 俺はドエイン姉を肯定してみるが、ドエイン自身は否定的だった。


 「絶対に無理だろ・・・ってか、唯の弱小貴族が何夢見てんだよって言いたいぜ」


 そう言ってまたドエインは溜息を付くが、それを聞いていた周りの兵士は若干顔が強ばった気がした。


 唯の脳筋かと思ったが、色々考えて準備を進めてるんだろうな


 印象がそんな印象に変わったが、ドエイン姉が何を企もうと、何を成そうと俺が目下興味があるのは俺達に敵対するのかどうかと言う事だけだったので、あまりその辺りは考えない様にした。


 「まぁ、唯の力押しの阿呆では無い事は分かったよ」


 「・・・あぁ、そうだな。でもまぁ、姉貴、めちゃくちゃ強くて剣の腕もこの国でも上位に食い込むぞ、きっと」


 マジかよ・・・


 「そうなのか、まぁ強そうではあったな・・・」


 「あぁ、この国では、雷速のリラって二つ名まである程だ」


 雷速・・・

 なにそれ!?

 めちゃくちゃカッコイイじゃねぇか!?


評価、感想、レビュー、ブクマ等頂けると小躍りします。

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